これは、2650地区の刀根さんがまとめられたもので、CLPの採用にはよい資料になると思います。
2007年発行の「ロータリー情報マニュアル」にも掲載予定です。
本ブログでは4つに分け披露します。ご意見を戴ければ幸いです。
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CLPに関するクラブよりの質問(1/4)
(RI2650地区各クラブよりの質問)
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Q1
CLPを採用するメリットが見えてこない。今までの組織でも、会員増強には力を入れているし、奉仕プロジェクトも盛んにやっている。広報や財団活動も頑張っている。それなのに何故CLPが必要なのか。これは瀕死の状態のクラブを救うだけの妙案でなく、大きなクラブでも適用できるというが、活発に活動しているクラブでは、さらにどのようなメリットがあるのでしょうか?
A1
CLPに基づいた新しい推奨クラブ細則が発表されましたが、その冒頭に「本細則は単に推奨されるにすぎない。従って、ロータリークラブは、標準ロータリークラブ定款、RI 定款、RI 細則、およびロータリー章典と矛盾しない限り、クラブ自身の事情に応じて変更することができる。」と書かれています。これまで、十分に活力を持ってクラブを運営管理している所は、無理をしてCLPを採用する必要はありません。
しかし、時代の変化とともにクラブ委員会構成の簡素化や機能性、効率化が求められております。また、「会員満足度アンケート調査」やクラブ理事メンバーによる「クラブ活力テスト」を実施する事は必要だと思います。RIで述べている、9つの手順について検討する事も意義があると思います。それぞれのクラブでクラブに適したCLPの良い部分を取り上げれば良いのではないでしょうか。
その上で、菅生浩三元RI理事が述べているように、クラブとしてのCLPに対して色々な対応をとるべきだと思います。
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Q2
四大奉仕を実践するための組織が、新しい5つの常任委員会組織というのはよく理解できない。特にロータリーの金看板と言われている『職業奉仕』が忘れ去られるのではないだろうか?
A2
現在、各クラブの職業奉仕委員会活動が必ずしも、シェルドンが提唱した初期の職業奉仕理念の実践とはいえない部分もあります。就職相談、職業指導、優秀社員表彰などは本来の意味での職業奉仕活動ではありません。むしろ社会奉仕活動の範疇に入るものと考えられます。
本来の職業奉仕の理念を学ぶ機会を各クラブの中で持つことは大変重要であり、各クラブでどのような形にせよ職業奉仕理念を研鑽する委員会あるいは担当を置くことが必要と思われます。
また、会長が例会で常に奉仕理念の提唱を行ったり、ロータリー情報委員会が奉仕理念について解説する機会を設けることも重要です。
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Q3
CLPは組織を合理化し、奉仕理念の実践に重点を置いているように思うが、肝心のロータリーの奉仕理念の研鑽が忘れ去られているように感じる。これでは他のボランティア団体と違いがなくなるのではないか?
A3
1927年に開催されたオステンド大会で、ロータリーに四大奉仕の考え方が導入されましたが、それ以前は、ロータリーの諸活動をクラブ内諸活動とクラブ外諸活動に二分して考えていました。
すなわち例会内活動は親睦を前提とした奉仕理念の研鑽、例会外活動は奉仕活動の実践と、明快に区別されていると同時に、先ず例会内活動において奉仕理念を研鑽した後に、それぞれのコミュニティにおける例会外活動において、奉仕活動を実践するように順序づけられていました。例会内活動によって高められた心を持って、それぞれのコミュニティに戻り、そこで奉仕活動の実践をするのが理想的なロータリー・ライフです。
例会内活動はロータリー運動を成立させるための必要条件として、定款や細則の規制下に置き、例会外活動は充分条件として、ロータリアン個人やクラブの自由裁量権に委ねていたのです。
この一連の流れを、「Enter to learn, go forth to serve. 入りて学び、出でて奉仕せよ」と表現しています。その後、職業奉仕の理念が確定し、対社会的活動が徐々に盛になり、また、新たに国際的な活動が始まるに連れ、例会外活動を合理的に再編成しようという
動きがでてきました。奉仕活動の主体がロータリアンかクラブかの論争に終止符を打ったのが決議23-34 ですが、この決議は、奉仕活動の主体はロータリアンであるとしながらも、サンプルという条件をつけながらも、クラブにも方活動実践の責務を負わせた内容になっています。クラブが奉仕活動の実践に関与する場合、従来の例会外の活動という考え方だけでは、これらの活動を管理することが困難になってきました。
そこで、1927 年のオステンド大会においてロータリーの組織管理の合理化が行われ、実践上または管理上の利便から抜本的に再編成されて、現在の四大奉仕に基づいた委員会構成に変更されました。すなわち、目標設定委員会Aims and Objects Committee の下にクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕委員会を置き、理事をそれぞれの委員長に充てるというものであって、現在の委員会構成の原形ともなるものです。この方法はイギリスのロータリー群で早い時期からパイロット・プログラムとして試行されていたものが、1927 年にRI によって正式採用されたものです。
これによって、ロータリーの奉仕活動実践の実体と、クラブ管理運営の実体とがマッチして、奉仕活動の実践がやりやすいようになりました。
奉仕活動実践分野をクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕と名づけましたが、この「奉仕」という言葉は多分に語呂合わせの感があります。何故ならば、それぞれの分野における「奉仕」の意味合いが全く異なるからです。クラブ奉仕の「奉仕」はクラブを維持管理するための活動であり、その受益者はもちろん会員です。職業奉仕の「奉仕」は自らの事業を維持発展していくための科学的な経営方法と結果として高められる職業倫理を表し、その受益者に会員も含まれます。社会奉仕の「奉仕」は弱者に涙する人道的援助活動を表し、国際奉仕はロータリアン同士の相互理解による国際平和を表し、その受益者はロータリアン外の人たちと言うことができます。これらの対象となる受益者も内容も全く異なった実践活動を「奉仕」という同じ言葉で定義したことは、いささか乱暴であると同時に、ロータリーの活動を一般社会の人はもちろん、ロータリアンからも判り難いものにしているのではないでしょうか。
さて、この四大奉仕に分類されて以降最も困ったことは、奉仕活動を実践する前提として行わなければならない、親睦と奉仕理念を研鑚する場が、四大奉仕のどの部分で行うのかが判らなくなってしまったことです。親睦委員会は本来は、どんなことでも語り合える純粋親睦をクラブ内で作り上げる役目を負っているはずですが、現実には親睦会などの派生的な親睦活動に終始していますし、本来は奉仕理念を研鑚する役割を負っているロータリー情報委員会は、ロータリーの諸規定を説明するクラブ奉仕委員会に属する小委員会に過ぎません。
今日、奉仕活動の実践だけが重要視され、例会出席の重要性やロータリーの親睦や奉仕理念の研鑚がおろそかになっているのも、このあたりにその原因があるのかも知れません現在、RI自体も世界的なボランティア団体を目指しているような雰囲気を感じますが、日本のロータリーだけでもCLPの機能的な委員会組織や4大奉仕委員会組織に関係なく、奉仕理念を研鑽する場をクラブが提供することが最も必要ではないでしょうか。

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