ポール牧さんが亡くなった。自殺だという。理由に関して色々と取り沙汰されているが、それに関してどうこう言おうというつもりはない。ただ、訃報に接しての雑感である。
氏とヰズミの間に、何らかの関わりがあったわけではない。が、過去に二度、偶々お目にかかったことがある。
一度目は、ヰズミがまだ高校生のとき。
恐らく部活か何かだったのだろう。休日の登校だったように記憶している。
いつものように正門を通ろうとすると、やけに狭い。無理もなかった。正門に、ドでかいベンツ(多分)が停まっている。門の前ではなく「門に」という感じ。正門に車がはまるように停まっているのだ。
「え〜? こんなとこに、こんな車を、こんなふうに……ハッ! ま、まさか……あっち系の人じゃ!?」
と思ったヰズミと、振り返りざまに目が合ったその人こそ、ポール牧さんだった!!
「こんにちは……ボクのこと、知ってる?」
もちろん存じ上げております。
当時すでに大ベテランであり、「コントラッキーセブンの」というよりもポール牧「個人」として、氏は認知されていた。その氏が、何故ヰズミの通う高校に姿を現わしたのかというと……
「いやぁ〜、懐かしいなぁ……」
そうなのである。氏は北海道出身でありながら、仏門修業の身として当地の寺院に住み込みながら通学していたのだ。氏が通っていたのは夜間部であり、のちに新設の高校として独立しているので、「先輩」と呼ぶのは必ずしも正確ではないかもしれない。第一、氏が懐かしがって見上げていた校舎は、二年前に新築されたばかりのものだ。
だが哀しいことに、突然目の前に「テレビの中の人」が3D出現して舞い上がっている田舎の高校生には、「ツッコミ」という発想などあるわけがなかった。
そして二度目は……また明日にでも。