ビワ  童話

ビワ


だれのものでもないビワの木がありました。

ビワは、川の土手の上に、ポツンと立っていました。

ずうっと昔に、川遊びにきた子供が、ここでビワを食べ、その種をここではきだしたのです。

運よく日あたりのよい土手だったので、ビワはそこに根をおろし、それから芽を出し、毎日すこしずつ大きくなりました。

今では、たくさんの実をつける、りっぱなビワの木になりました。

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実のなる夏になると、まず、たくさんの小鳥たちがやってきます。

子供たちもやってきますし、魚をつりにきたおじさんたちも、通りがかりに、ビワを三つ四つ食べてゆきます。

でも、ビワの木のまわりがにぎやかなのは、ビワが実をつけている間だけです。

年の暮れの花の時期にはアブがやってきますが、それいがいはもうだれも遊びにきてくれません。

さびしくなると、ビワは思います。

「どこかの庭先にあるビワなんかとはちがうんだ。ぼくは、だれのものでもないビワなのだから」

そう思うと、ビワはきゅうに気高いビワになったようで、きらいな西風に吹かれても、がんばることができました。

夏休みにはいったある日、二人の子供がやってきました。

ビワはたくさんの実をつけていました。

「食べたいだけ食べてもいいよ」

大きな子がいいました。

小さな子はびっくりしてききました。

「このビワ、だれのビワ?」

「だれのビワでもないよ。小鳥だって、サルだって、クマだって、だれだって食べてもいい、みんなのビワさ」

これを聞いて、ビワは枝をゆらすほどおどろきました。

だれのものでもないビワが、みんなのビワだなんて、これまで一度も思いついたことがなかったからです。

ビワは、強い西風にたった一人心ぼそく吹かれている自分を、ちょっと思いだしました。

それから、こう思いました。

西風はきらいだ。
でも、そんな時、これからは〈みんなのビワだ〉と思うことにしよう。

タグ: 童話 ビワ



2020/6/25  8:35

投稿者:カエデ

やまがっこうさん

どうもありがとうございます。
原稿用紙2枚程度で仕上げる練習をしていまして、余分な言葉をそぎ落とすと、情景も限られ、その反動で想像力をふくらませることも可能かなとか、いろいろ試行錯誤です。
昔の元気な子供たち、腕白の日常も描いたつもりですw。
つ、も、りw。
ビワの葉茶も甘くておいしいですね。
30歳代のころに住んでいた近所の方で、お腹のしこりが大きくなってきていたので、ビワの葉を温めて患部に当てていて治った方がおりましたね。
おばあさんでしたが、その方は昔お姑さんからビワの葉の効用を聞いていたことがあったので、最後の藁1本にすがってみたと言っていました。
女性だけの会合が1か月に一度あったのですが、その度ごとに皆さんにお腹を披露していました。

2020/6/24  21:25

投稿者:やまがっこう

カエデさん こんばんわ(^^♪

ビワのお話し、いろいろ考えさせられました。
いいお話しですね♪
栃木の自宅の近くにも実がたわわなビワの木がありますが、誰も食べ
てくれないようです。せっかくたくさん実をつけても、誰も食べてく
れないというのも寂しいですね〜、、

ビワの実は美味しくて大好きです。ビワの葉もいろいろと役に立ちま
すよね。ビワのお灸なんかも、身体の不調に効果があるそうです。

ビワもそうですが、柿や栗の実なんかも、庭先に実った果物とお話し
する子供たちが減っているようですね。

昔の風景が懐かしくなります。

2020/6/24  8:38

投稿者:カエデ

チャンコナベさん

どうもありがとうございます。
普通にブログを読む頭で読んじゃうと、ユーモアに気づかなくなりますから、コメントをいただきホッとしましたw。
童話は別仕立てのサイトを作った方がいいかもしれません。
最近、気ぜわしくて、この手のユーモアが湧いてきません。
余裕がなくなっているのでしょうね。
何か甘いものでも食べて、自分を甘やかしてみようかな、とか考えていますw。

2020/6/23  21:36

投稿者:チャンコナベ

今晩は
>だれのものでもないビワが、みんなのビワだなんて。。。
楽しく読ませていただきました
みんなのビワ⇒素敵なお話でした (●^o^●)

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