にじ 童話
にじ
「ただいまあ」
女の子が学校からかえってきました。
女の子は、この春、一年生になったばかりです。
「おかあさん。きょうね、虹がでたんだよ」
「あら。虹を見たの? よかったわねえ。おかあさんも見たわよ」
おかあさんは、せんたくものをたたんでいた手をとめました。
「どこで見たの?」
「あのね。校庭のてつぼうで、さかあがりをしていたとき」
おかあさんは、大きなケヤキのしたで、てつぼうをにぎり、思いっきりじめんをける女の子のすがたを、おもいうかべました。
「おかあさんは、どこで見たの?」
「おかあさんは、おうちのまえで」
「ふーん。よかった。虹をみつけたとき、おかあさんにも、おしえたいなっておもったの」
女の子はほっとしたようなかおでいいました。
「おかあさんもね。おしえてあげたいなあっておもったのよ」
女の子はとてもうれしそうです。
「にじはね。てつぼうに、さかさまになってもみえていたよ」
おかあさんは、女の子がてつぼうに、さかさまになっているすがたをおもいました。
「でもね。てつぼうのしたの水たまりには、虹はうつっていなかった」
「水たまりにうつるのには、虹はきっと大きすぎたのね」
おかあさんと女の子は、これまではいつもいっしょに、虹を見てきました。
手をつないで見たことも、なんどもあります。
でも、女の子が学校にゆくようになったので、きょうの虹は、二人がはじめてべつべつに見た虹だったのです。
これからはいっしょに虹を見ることも、少なくなってゆくでしょう。
でも、それが、子供がせいちょうしてゆくということなのです。
おかあさんはにこにこしながらも、心の中はちょっとしんみりしていました。

「ただいまあ」
女の子が学校からかえってきました。
女の子は、この春、一年生になったばかりです。
「おかあさん。きょうね、虹がでたんだよ」
「あら。虹を見たの? よかったわねえ。おかあさんも見たわよ」
おかあさんは、せんたくものをたたんでいた手をとめました。
「どこで見たの?」
「あのね。校庭のてつぼうで、さかあがりをしていたとき」
おかあさんは、大きなケヤキのしたで、てつぼうをにぎり、思いっきりじめんをける女の子のすがたを、おもいうかべました。
「おかあさんは、どこで見たの?」
「おかあさんは、おうちのまえで」
「ふーん。よかった。虹をみつけたとき、おかあさんにも、おしえたいなっておもったの」
女の子はほっとしたようなかおでいいました。
「おかあさんもね。おしえてあげたいなあっておもったのよ」
女の子はとてもうれしそうです。
「にじはね。てつぼうに、さかさまになってもみえていたよ」
おかあさんは、女の子がてつぼうに、さかさまになっているすがたをおもいました。
「でもね。てつぼうのしたの水たまりには、虹はうつっていなかった」
「水たまりにうつるのには、虹はきっと大きすぎたのね」
おかあさんと女の子は、これまではいつもいっしょに、虹を見てきました。
手をつないで見たことも、なんどもあります。
でも、女の子が学校にゆくようになったので、きょうの虹は、二人がはじめてべつべつに見た虹だったのです。
これからはいっしょに虹を見ることも、少なくなってゆくでしょう。
でも、それが、子供がせいちょうしてゆくということなのです。
おかあさんはにこにこしながらも、心の中はちょっとしんみりしていました。

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