ツクツクボウシ  童話

  ツクツクボウシ          

お盆がもうすぐというころ、ようやくツクツクボウシが鳴きはじめました。

「ようやく鳴きだしたな」

おじいさんは葉をしげらせている大きな柿の木をながめながら、耳をかたむけました。

 ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ。
 ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ モウイイヨ モウイイヨ モウイイヨ。

じっと聞いていたおじいさんは思わずふきだしました。

ツクツクボウシはおじいさんが子供のころから、モウイイヨ モウイイヨと言ってから静かになるのです。

まるでかってにかくれんぼうをしてあそんでいるかのようです。

「お〜い。ツクツクボウシが鳴きだしたよ〜」

おじいさんは孫を呼び、ひざにのせました。

「よおく聞いてごらん。ツクツクボウシって聞こえるかな?」

「うん、ツクツクボウシって鳴いてる」孫が言いました。

ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ
ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ モウイイヨ モウイイヨ モウイイヨ

それっきりツクツクボウシは鳴きやみました。

あたりがシーンと静かになって、青い空だけが光っています。

「ツクツクボウシはどこにいったの?」

「ツクツクボウシはカクレンボのつもりなんだよ」

「へえ・・・」

「さがしにいってあげないと、また鳴きだすよ」

そういっているうち、ツクツクボウシはまた鳴きだしました。

「モウイイヨって言ってからなきやむから、よおく聞いててごらん」

ツクツクボウシ ツクツクボウシ ツクツクボウシ モウイイヨ モウイイヨ モウイイヨ

それっきりツクツクボウシはまた静かになりました。

「ほんとだ。ぼくさがしに行ってくるよ。あの木のどこかにかくれているんだから」

男の子が柿の木の下に立つと、セミはオシッコをして飛び立ってしまいました。



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