黒豆  エッセー

黒豆


この頃、目の調子がとてもいい。視界がじつにすっきりしている。

地図を開いても、メガネなしで見える。

太陽のまぶしい下にいても、目を細めたり、眉間を寄せたりしないでいられる。

ある日の午後、何気なく外を眺めていたら、数十m先にある柿の木の若葉が、ずいぶんくっきりと見えていることに気づいた。

もともと視力はいい方で、今も両眼とも一・五である。

だが、老眼が早かった。老眼症状だと気づいた時はびっくりした。

三十五歳と六ヵ月の夕方であった。

老眼なんて、六十歳くらいの人がなるものだと思っていたのである。

気がつかないでいたが、老眼とは近くのものが見えにくいだけでなく、ずっと遠くのものも何となくぼやけて見えるもののようだ。

なんと言ったらよいか、涙が過剰に分泌されているような感じである。

涙は眼球の表面をおおうものだから、あの涙の膜がいらぬレンズの役を果たしているような具合に、物が少しふやけて見える感じである。

涙の量が増えたとは考えずに、頬の筋肉が衰えて、目じりが下がり、それで涙の循環が悪くなっているのだろうくらいに考えていた。

そういう症状がすっかり消えた。

涙の分泌量は、頬の衰えとは関係がないようである。

これは、最近、黒豆を食べているからだとしか考えようがない。

ある時、母が「黒豆、黒豆」と言うので、保存がきくように酢黒豆を作ってあげた。

その時、ついでに自分の分も作った。
酢黒豆の他に、コーヒーのように挽いたものも作ってみた。

一日のうちのいつ食べるとは決めていないが、一日、一度か二度は食べている。

黒豆は、これまで、正月の時に作って、数日程度しか食べない食材であったから、この二ヵ月くらいで、すでに以前の何倍かは食べている計算になる。

つい最近、お昼のテレビでも、「黒豆コーヒー」なるものを紹介していた。

作り方は、「焙煎した黒豆をコーヒーミルで挽き、お湯をさして、コーヒーのように飲む」という説明だった。

きな粉状ではないから、豆の小さなかけらができる。

かけらといっても、煎った豆だからすごく堅い。

それがお湯を吸うことで、瞬時にやわらかくなるのだ。

コーヒーといわれれば、コーヒーの感じがする。

すごくやぼったい感じのコーヒーである。

この飲み方があまり好みでない人は、砂糖か蜂蜜などの甘味を加えたヨーグルトに混ぜて食べるといいかもしれない。

こちらは、ほとんどコーヒーヨーグルトのようになる。

お湯の時のように、豆はすぐにはやわらかにはならないから、歯の悪い人は前もって作っておく。

ヨーグルトが苦手な人でも、豆の苦味と焙煎の香りがあいまって、食べやすくなると思う。

黒豆の焙煎については先日も書いたが、その時見逃した人のためにもう一度。

酢黒豆の場合は、160度のオーブンで15分程度。

クロマメコーヒーの場合は、180度で15分程度。
こちらは炭焼きコーヒーのように苦味ばしるから、どちらも160度でいいんじゃないかと思っている。

途中、二回くらい箸などで豆をころがし、上下を返すと、さらに均一な焙煎ができる。

起き抜けから視界すっきりの爽快さは、心にも良い影響を及ぼしているようだ。





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