本会議のサイエンスパークの反響は予想以上に大きいが、こうした土地開発公社が抱える、いわゆる「塩漬け」になっているバブルの負の遺産は、名古屋市に限らず大都市ではどこの自治体も抱える問題となっている。そうした背景には@まず買取ありきで進められた必要性が極めて低い土地の取得A“土地の値上がり神話”によって不当に高額に設定された買い取り価格Bバブル崩壊後、10年を超えた土地の放置、処分の先送り、塩漬けによる後世への負担転嫁などが本質的な問題としてある。そのツケは、バブル崩壊の後遺症として今もたな晒しのまま誰も責任を明確にすることなく「含み損」を隠蔽してきた。バブルという時代のせいにしたまま四半世紀が過ぎたが、今こそこの「負の遺産との決別」しなければならない時期に来ていると思う。
土地開発公社を廃止した奈良市では、時価8000万円の土地が80億円で買い取られた例などが報告されている。2010年の「奈良市土地開発公社経営検討委員会」の報告の中で「モラルハザード・スパイラル」として以下、負の連鎖の原因を指摘している。
@高値で売却したい地権者
A市に対して買取要請・政治的圧力をかける議員、圧力団体、地域の有力者
B政治的に配慮し、圧力を容認する方向で担当部局へ指示する市上層部
C上司の指示に従い、盲目的にこれを受け入れる担当職員
Dその意向を受け、実勢価格と乖離した高額な鑑定結果を出す不動産鑑定士
E担当部局の決済をもとにほとんど審査もなく買取を決定する公社
F市の債務保証を受けて、盲目的に貸付を行なう金融機関
G適切な監視機能を果たしてこなかった議会、監査部局
H損失を顕在化させずに問題を先送りし続ける担当部局
大阪市などでもH23年度末で公社を廃止しているが、名古屋市でも3年後に土地の新規取得をやめ、10年後に公社の廃止の方針を示しているが、含み損は、400億円にも上る。もうこれ以上の先送りや無駄な税金投入は看過することができない。
