上海万博は、空前の7300万人の来場者数を数え、閉幕した。経済効果は、2兆円ともいう。中国の胡錦涛主席は、経済大国としての足がかりとして万博の成功に自信を見せた。日本館には、連日長蛇の列をなしたが、万博の開催期間中に尖閣沖での漁船衝突事件や反日デモなどが起こり悪化した。日本関連のイベントや日中双方の訪問団の受入れ延期や注視という、友好ムードに水を差し、後味の悪さを残した。
政治的にも閉幕直前の29日にはハノイで日中首脳会談を拒否。前原外相を名指しで批判、握手を求めても応じず、ポケットに手を入れたまま。険悪なムードが漂った。人民元や南シナ海をめぐる問題で米国に対してもレアアースの禁輸で揺さぶりをかけ、民主化運動家のノーベル平和賞受賞でも猛烈に反発し、制裁措置を発動、ノルウェーの政府高官の訪中を禁止した。
恩家宝首相は、万博の閉幕スピーチで「共に手を携え、人類の平和と発展を目指す万博の理念を広げよう」と呼びかけたが、国際社会からの孤立化が懸念される。国際協調を実現できるかは、中国自身にかかっている。
