2021/3/2

神奈川県弁護士会―死刑廃止の決議  カルト・宗教・犯罪

 本日の神奈川県弁護士会総会は、午後1時30分から始まり、第10号議案は、13分の休憩の後、午後3時10分から始まりました。決議案への質問が10個ぐらい、賛否では決議の反対論を4−5人、賛成論をまあ15人余りが話し、午後5時40分から議決となりました。

 出席者数は128人、委任状が3人まで可能なところ、総議決権数は390です。賛成が361、反対が21、棄権が6で、可決されました。それ自体として92%というかなりの比率です。

―滝本のメモ記録による説明―

1 会員数は昨日現在で1739人であり、361票はその20%でして、これにて会の意見として可決とされたこととなります。

2 驚いたのは、この決議を上程するにつき、犯罪被害者委員会からの意見があったこと、その内容も開陳されず、総会の席でその委員会関係者からこれが指摘され、併せて「遺憾です」という指摘がされたことです。

 その旨の指摘がなかったならば、総会参加者は知らないままとなり、もとより委任状提出者は知らないままに委任したということとなります。

 被害者参加弁護士の行動に法的拘束力がないのは当たり前ですが、犯罪被害者・遺族へのまともな説明ができるのか、この決議により弁護士への信頼がつなげるのか、十全の活動ができるのかが、心配です。

3 廃止決議をあげようとする方々は、相当な努力をして委任状を集めていたように私としては感じます。なにせ、出席者一人が平均3人の議決権を持っていたものでして。

 対して、反対意見の方のうちまあ私は、郵送で来た方の方の代理をしたのみ、受任者が足りなければ他の人に依頼しただけです。出席できないが、廃止決議につき反対して下さいと委任状を郵送してくれた、直接は知らない先生方を含め、力不足であることにつきここにお詫び申し上げます。

4 ガックリ来たのは、質問事項への追々明らかになってこよう回答は勿論のこととして、会場からの指摘により、決議の趣旨さえも、その場で直したことです。

 その他、国民世論での「将来も廃止しない」につき、資料では39.9%となっていたものを誤記であるとして54.4%とこの段階で修正するなどもありました。これは、決議の正当性を疑わせてしまうだろうなと思います。

5 その他、なんと決議に反対意見だとする人からも、決議が上がるならばどうにもこの文脈はおかしい、これは誤記でしょうという指摘が次々とあり、計10か所近くを訂正したものでした。

 これらは、決議の趣旨自体の変更を含め、シビアな弁護士会であれば「修正動議」でもないのに、執行部自体で修正を求めていいものかぁ、と疑義を言われるものでしょうが、そこはまあ当会ですから、よろしいかと。

6 総会は録音されており、後に速記録として出るものです。

 一般にも入手できるのかも知れません。決議案への質問が10個ぐらい、賛否では決議の反対論を4−5人、賛成論をまあ15人余りが話したので、相応の深い議論ができたかとも思います。

 私から見てそれはまずいよ、記録に残るんですよ、と言いたい発言もありましたが、それは致し方ないことであり発言者の責任です。おいおい、この問題の検討のためにご参照くださいませ。


質問事項 ―発言後の整理―記憶による。
1つ目の質問です
 国民世論として重要な数値において議案資料の5ページの「将来も廃止しない」につき、39.9%となっていたものを誤記であるとして54.4%とこの段階で修正して、決議を求めるとの姿勢に驚きを感じます。この資料を基に会員は考え、委任した者もあると思います。出し直しするのが適正だと思いますが、その気はありませんか。

2つ目の質問です
 弁護士は、今や、民事のみならず、すでに刑事訴訟の中でも被害者参加弁護士として、被害者・遺族の代理人弁護士として、刑事訴訟法316条の38により、論告することができることとなっています。私もこれに基づいて、被告人に死刑を求刑したことが何回かあります。弁護士は被害者参加弁護士となった時、被害者・遺族にも寄り添うべきものです。

 しかるところ、弁護士会がかかる決議をすれば、死刑求刑相当事件であっても、被害者・遺族が弁護士は気持ちを分かってくれないと先入観を持つだけでなく、被害者参加弁護士は死刑を求めにくくなることから被害者・遺族と信頼関係を結びにくくなります。

 私は、死刑が確定したが執行されていない事件の被害者遺族とも今もしばしば連絡を取ります。そんな弁護士も多いでしょう。その人に「自分が所属する神奈川県弁護士会では、3月2日、死刑廃止の決議が上がりました。」ととても報告できないし、何かの話題で話が出たらどういえばいいのか悩みます。

 そこで質問します。被害者参加弁護士が、この決議により、その職務を全うできなくなることがままあると考えられますが、それはどう考えますか。それとも、被害者参加弁護士として、死刑を求めることは決議に反した行為だけれども、必要であれば、堂々と死刑を求刑されるべし、それを被害者・遺族に積極的に説明すべし、という趣旨になりますか、明らかにされたい。

3つ目の質問です。
 神奈川県弁護士会の弁護士は、昨日現在1739人です。総会に参加するのは先ほどの議決権数でも372であり、21.39%に過ぎません。そこで問います。アンケートを実施したことはあるか。あるならば、その当会での数値を示されたい。

 というのは、5年前、つまり会員数が1500人代だった2016年7月28日実施の関弁連のアンケートが今回の資料の中にもない。これは異常です。

 より具体的に質問します。当時の新聞報道では、関弁連全体で、死刑存置に賛成が38%、反対が46%、保留が16%とされているが、その通りか、そして重要なことには、回答はわずか6%にあたる1404人だけであったとあるが、その通りか。そこで、この2016年アンケートでの、当会会員の回答率、死刑存置に賛成、反対また保留の数値を、直ちに明らかにされたい。

 また今回、回答率を高めるべく広く強く宣伝してのアンケートを実施した上で総会とすべきものだったと考えるが、いかがか。更にこのことにつき、総会での議論と賛否で見ていくべきとの考えもあるが、もしそうであれば、総会の委任状含めての参加人数がどの程度あれば、本日は20%に過ぎないが、また賛成比率がどの程度あれば、死刑廃止に向けた意義ある決議になると、執行部や関係委員会委員は考えるか。

4つ目の質問です。
 当会では、会内勉強会・討論会が、資料の90ページの下にあるとおり、開催されてきました。私も参加し、発言したこともあります。そこでどのような内容の議論が行われたかは、その要旨さえも会員に知らされてこず、今回の報告にもありません。
 会として、死刑の存廃に向けた議論を活発化させず、たた議論はしてきたというアリバイ証明をしてきたと思われても仕方がないかもしれません。

 そこで、質問します。それら討論の中で、今回の理由としては記載されていない、死刑は存置すべしという意見の理由として、どんなものがあげられていたか、ご紹介ください。

5つ目の質問です。
 神奈川県弁護士会、旧名称横浜弁護士会として卑怯だと考えないのか、ということです。

 被害者に寄り添うという観点から大切な当会の経験は、1989年11月発生、1995年に検挙の坂本一家3人の殺人事件です。当会は、弁護士会あげての救出活動を展開し、弁護士会がいわば被害者・遺族に極めて近い感覚をもつ位置づけだったと思います。その準当事者というべき事件の死刑囚とくに麻原教祖の死刑は2018年7月に執行されました。それまでの間、かかる死刑廃止の決議をあげる動きは、とんとありませんでした。

 しかるに今、決議を上げようとしています。弁護士会として卑怯だと考えませんか。あの裁判が始まった後、私を含めてより近い関係者らは死刑の存置、自らの立ち位置につき、大いに悩んだと思われます。当職も殺人未遂の被害者だったので、いくつかの法廷で述べてきました。悩みに悩み、坂本事件での被告人を含めて、教祖麻原についてのみ死刑を求め、他の者らは何としても死刑にしないように法廷で求めました。刑が確定した後も12人の死刑は執行しないように署名運動もしてきたところです。

 当会は、その死刑の執行から、わずか3年もたたない内の今、決議を上げようとしています。自らが近く関係する死刑事案があるうちは決議を上げようとせず、今になって「死刑廃止」にむけた決議を成立させる弁護士会になります。国民・県民から、卑怯至極な行為だと言われるとは考えませんか。執行部のお考えを聞きたい。

意見―発言後の整理―記憶による。
この決議に反対します。理由として、死刑の廃止に反対する理由2つと、この決議に反対する理由として4つを申します。

死刑の廃止に反対する理由

私は、死刑の廃止につき、それなりに悩む理由は2つです。


1つは冤罪の危険性です。一人の冤罪死刑もあってはならない、その通りです。

ただ、ただ申し上げたいのは、犯人性が明らかである事案も、まして争わず現行犯に近い事案もあります。それでも死刑にしてはならないのか、この意見を軽視しての決議は、弁護士会が国民から遊離するばかりだと考えます。

2つは、死刑執行人の苦悩です。

 私は縁あって死刑執行後の本人に、その娘さんの一人とともに会う機会がありました。立ち会った中には明らかに死刑執行についた刑務官もおられました。娘さんは刑務官らに父が迷惑をかけたことを詫びました。その刑務官は泣いておられました。

 死刑の執行は―主権者である国民の一人ひとりとして、それをお願いしているものだとつくづく実感しました。刑務官の苦悩、これを抜きにしては、死刑存廃の論議はできないものです。

 しかし、それでもなお、刑務官はそれを分かりながら職に就いた、としかいようがありません。

 死刑は、本人の命を価値なきものと判断するものではありません。
決議の理由10には、「この世に生きる値打ちがない生命があると宣言するもの」とありますが間違っています。自由慶賀本人の自由に価値があるからこそこれを奪うのと同じく、本人の命に高い価値があるからこそ、これを刑罰として奪うものです。

 死刑はその命が何にも代えがたい価値を持つからこそ奪うもの、極悪非道の行為をした者の中のごく一部から刑罰として奪わせてもらうものです。現実社会でしたことは、現実社会で責任をとってもらわなければなりません。死刑は廃止してはならないものと確信します。


会として宣言、特に出すことに反対の理由

今回、神奈川県弁護士会は、この決議を上げてはならないものと確信します。いかに、この3月7日から、遅れていた「第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)」が開催されるしても、アリバイ証明のごとく、会員の多くが意見を出し合わないままに、かような決議を上げてはならないと確信します。
具体的には、次の通り今回の決議は問題があり過ぎます。

第1 犯罪被害者にも寄り添わなければならない弁護士、弁護士会です。

 先に質問した回答は、とても犯罪被害者・遺族に話せる内容ではありませんでした。先ほどの質問で、当会の犯罪被害者委員会が、執行部に対して疑義、少なくとも資料の84のページの理由7について、削除するよう求めたことを知りました。その経過さえも資料に入っていません。

 実に異常です。とても犯罪被害者・遺族に話せない内容、その経緯をでなされる決議はまともではありません。しっかりと説明するできないままで、かような決議を上げてはならないと考えます。

第2 昨日現在、当会会員は1739人です。

 そのアンケートをしていない、2016年の関弁連の当会についての報告さえないという、異常なままでしていい筈がありません、総会での議論にしても、本日の参加者数は委任状を含めても372人ほどということです。20%程でしかありません。

 死刑を廃止させたい方々においても、これで力になるとでも考えているのですか。大間違いです。弁護士会が、犯罪被害者・遺族を軽視している、国民全体から遊離していると思われるだけです。大切なのは、アリバイ証明のごとく決議をあげることではなく、死刑を廃止することではなかったのですか。よく考えていただきたい

第3 このような決議を考える前に、やるべきことがあるからです。

 この決議をあげてしまってからではできないことです。すなわち、死刑判決に対する当然上訴制の導入と、拘置所での待遇改善です。一審の死刑判決にて、上訴しない被告人が何人もあります。しかし国が命をうばうのですから、また死刑冤罪は尚更に避けなければならないのですから、当然上訴とし、最高裁で最終判断すべきものです。また、今の死刑囚処遇は狂えと言っているようなものです。「ヒヤシンスや小動物ぐらい飼わせて、命を感じられるようにせよ」、そして昔のような前日までの本人と家族への知らせなどせよ、とすべきです。

 しかし、これらは今、ほとんど学者や弁護士会からの声として聞こえてきません。死刑自体の廃止ばかりを言ってしまっているから、としかいいようがありません。これらは、より説得性があり、国民の多数意見にもなり得る、つまり現実性あることです。
当会にあってこそ、今回の決議ではなく、それらの決議をするべきです。

第4に、当会として、坂本一家殺人事件につき、全員の死刑執行の後3年もたたない今、かような決議を上げるのは、当会として卑怯だからです。


 当会は、この事件において、いわば被害者・遺族に極めて近い感覚をもつものでした。いわば準当事者というべき事件です。

 2018年7月の死刑執行から3年も経ずして、かような決議を上げるのは、卑怯至極です。自らが近く関係する死刑事案があるうちは決議を上げようとせず、今になって「死刑廃止」にむけた決議を成立させる弁護士会となります。犯罪被害者・遺族に説明できず、県民・国民から遊離した弁護士会とされるだけです。、

 以上のとおり、死刑の廃止自体に反対する2つの理由、今回の決議についての4つの理由から、この決議に反対します。参加された方は、改めてよくお考えくださるようお願いします。
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