2005/3/30

備忘録−私にとってオウムとは何だったのか  他の本など紹介

>私にとってオウムとは何だったのか
>早川 紀代秀 (著), 川村 邦光 (著)
>ポプラ社 1680円

 うーん、うーん、早川被告の文章は貴重。私であっても知らないエピソードもあった。たとえば、波野村の事件で逮捕起訴されて後、保釈制限によりしばらく実家にいたのたがその時の心情、石垣島セミナーの後自分たちでのオウムの船を操縦し本土に戻ったこと、エリツィンにもう少しで会えただろうことなど。

 直接関与した事件関係について細かく書いてないことに不満を覚える読者もいようが、それは朝日文庫の降幡さんの本など読めば法廷証言で多くでているから、良しとしよう。

 早川被告については、影の指揮者などとマスメディアは言いたがった。私は、いや単なる宗教好き、精神世界好きのおじさんなんです、と何度も言ったが容易に理解してもらえなかった。
 法廷証言をちゃんと聞いていれば分かっただろうが、フォローしている人もそうはいない。

 早川被告は、未だ宗教好きである。井上被告で一審判決のように「宗教に逃げることなく」という説示がされなかった早川被告であり、これが限度なのかもしれない。
 不満が残るのは確かである。同被告が「冥福を祈る」という発想を持つこと自体、被害者・遺族は許せない気持ちなのだから。吉村昭とか藤沢周平とか、読んで欲しいなぁと思う。

 川村氏の文章は、失礼ながらなっていないものだった。

1 最初の方の戦前の宗教弾圧の歴史の所など、オウム捜査をそれと同じ要素を持つというような、中京大学の池田昭教授の妄言と同じように言うのかと思ったら、違う。 何のために書いたのかよく分からん。

2 戦時体制での国民思想また、伝統仏教とくに日蓮主義の極端な利用が戦時体制に果たした役割を書くのかと思えば、まとまりがないまま。
 書くならば、戦時体制で伝統仏教は「慈悲の殺人は菩薩の万行にまさる」とも言った、ヴァジラヤーナの思想そのものである、とのみまとめればいいものであった。

3 文意があちこちにとんでおり、また麻原彰晃説法や早川ら証言の焼き直しの部分が多い。
 何を伝えようかまとまらないまま、または十分に考えない間に原稿用紙を稼いだ文章という感じを受ける。いかに論文ではないとしても、読者をバカにしているなぁと思った。

 参考にすべき書籍ではあります。
4



2005/4/1  0:45

投稿者:takitaro

あっ、お久しぶりです。

 そうですね、宗教好きは、まあそれ自体はいいのだろうけれど。TM瞑想は、私も実は30年ほど前から少しは知ってたりしてね。
 この本には、オウムに今入るような人のみでなく、真面目にカルト問題を考えようとする人が、意外に知らないエピソードもあるんだろうなぁと。

 変装して犯罪をし、女装して逃げるとか、そんな中に事件もあるのだが。

http://www.cnet-sc.ne.jp/canarium/

2005/3/31  20:05

投稿者:松本浩美

お久しぶりです。

私も読みました。

川村教授については同感です。
もっとも私の場合、最初に目次を見て嫌な予感がしたので、タイトルと見出しだけしか読んでいませんが。

でも、ご指摘の通り、早川の手記ということではかなり興味深かったです。他の幹部は当時20代で、ロクな社会経験もないお子ちゃま同然でしたが、彼らより10歳上の早川はオウムという組織、幹部をどのように見ていたのか、私もずっと疑問だったのですよ。いろんな人が「彼だけは冷静に見ていた」と指摘していますが、読む限りでは半々でしたね。やはり早川くらい社会経験があっても、ある程度出来上がった組織に後から入っていくとなると、すべてにおいて「そういうものだ」と考えるようになるのだなあ、と。これは林郁夫も同じなんだろうと思います。公判を傍聴した経験から。

早川の場合、年代がたまたま全共闘世代よりちょっと下だったために、宮崎某とかに「陰の実行部隊長」とかいろいろ言われましたけど、まったく違いましたね。もっとも、オウムのことをよく知っていれば、そんなこと思いもつかないのでしょうが、知らないからよけいにロマンチックな妄想をかきたてるんでしょうねえ。

余談ですが、早川みたいな「精神世界が好きな人」は、現世において珍しくありませんよ。特に、自営業の人の場合、船井幸雄や稲盛和雄の本から宗教や精神世界に魅かれる人がいます。
 斎藤貴夫さんの『カルト資本主義』でも、そこら辺が書かれており、宮崎某や山崎某に共通するような「革命よ、もう一度」といった雰囲気はまったくないのですけれど、でも、信じたい人は信じたいのだろうなあ……人権派も含めてね。

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