オウム事件―真相等を知るには  カルト・宗教・犯罪

このブログは一つ下の記事で随時更新しています。

「真相が明らかでない」なぞと大仰に言うならば、まずは認定されていることは何なのか知ってるんでしょうね、と言いたくなる。

1、2018年6月成立、8月解散の「真相究明の会」については、深笛義也氏が、下記に読みやすくまとめて下さっています。
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24403.html
「2018.08.14ジャーナリズム麻原彰晃の死刑執行を批判する「真相究明の会」森達也氏に、被害対策弁護団・滝本太郎氏が反論」

2、麻原法廷の様子を、興味深い動画アニメで見られます。
「麻原法廷物語1―9話」2018.7-9、ユーチューブにアップ
http://sky.ap.teacup.com/takitaro/2387.html

3、判決例は、私が使っている有料サイトLEX・DB検索にてこんな数あります。
・オウム真理教にて、234件です。
・オウム真理教&刑事にて、88件です。
・オウム真理教&刑事&サリンで、61件です。
・オウム真理教&刑事&薬物で、33件です。
・なおオウム真理教&民事で、146件です。
―裁判所の判断文章のうち判例集に出ているだけでもこんなにあります。日本の司法において、歴史上、最も多くの関係者が長時間関与し、費用もかけたものです。刑事は「厳格な証明」、民事は「証拠の優越」により裁判所の判断が出されました。


4、うち、地裁判決は下記にアップしています。
http://www.cnet-sc.ne.jp/canarium/trial/4-6.html
・そのうち、認定された教祖の指示の抜き出しなどはこちら。
http://aum-kazoku.boy.jp/?page_id=228 )
・また、教祖がまとめて話した1997.4.24の意見陳述要旨はこちらにあります。
http://www.cnet-sc.ne.jp/canarium/10-7.html

5、買うならば、
・判例タイムズ1151号138頁〜251頁―松本死刑囚の2004.2.27東京地裁確定判決文
・判例タイムズ1232号
134頁〜190頁―確定経緯や訴訟能力に関する東京高裁2006.3.27控訴棄却、同2006.5.29異議審決定、最高裁の2006.9.15決定の3つ
誰でも購入できます。1つ2000円しません
―うち東京高裁の決定文は、松本死刑囚の法廷での不規則発言など裁判経過とその段階までですが本人状態を詳細に記載してあり、実に興味深いです。

6、 「真相究明」を言うならば、まずはこれらを読み込んでいって下さい。少なくとも麻原刑事法廷の地裁判決、高裁各決定、最高裁決定とかは読んでほしいです。
 まともな「文化人」「知識人」であらんとするならば、ほとんど何も見ないで意見を言うなんてないはずと思いたいです。そんなことでは、他の事柄についての発言も、信頼性を失います。

7、また、森達也氏の著作「A3」授賞への2011.9.2抗議書は下記
http://sky.ap.teacup.com/applet/takitaro/20110903/archive
その後の「創」言説を経ての2015年7月文書は下記にあります。
http://sky.ap.teacup.com/takitaro/2052.html
原稿形式では、xb_unv2015.v.docx

 森さんは、「反論」すると言いながらつまりは反論なきまま。まして「弟子の暴走ゆえに無罪」という一審弁護団に賛同とするとしつつ、教祖の指示があったこと書いてあるとし「動機を知りたい」という。頭が割れる。この二律背反の指摘につき、答えないまま。
 そのツイッター内での、悲しいほどの逃げ論法は下記に保存しました。
http://sky.ap.teacup.com/applet/takitaro/20180905/archive
https://sky.ap.teacup.com/takitaro/2528.html
 森さんは、2018.8あたりから、対外的には「死刑論議」「訴訟能力」問題のみを言っているる、と。今も、アレフ勧誘において、「A3」は「弟子の暴走故に無罪」と書いてあるから、「真相は分からない」として厳然と使われているのにね。


8、 また、三女さんがらみが注目されるのが、原告を三女さん、被告をアレフとする名誉毀損訴訟で、2018.9.14さいたま地裁判決があり、下記ブログに記載したように、三女の教団アレフへの関与が認められるなどし、全面敗訴となっています。東京高裁に上訴中
https://sky.ap.teacup.com/applet/takitaro/20190130/archive
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2019/4/18

まともかどうか  日常のこと

『まともかどうか』−人、会社、社会、国家、宗教団体−の判断規準につき、こう思う。

●人は、周辺のヒト、モノ、カネがどういう内容か。
●会社は、働く人がそれなりにやりがいがあるかどうか、税金を正しく納入しているかどうか。
●社会は、弱者や子どもが大事にされているかどうか。―彼らが幸せな社会は多くが幸せなのだから。
●国家は、○○主義ではなく、権力が相応に分散しているかどうか。―権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗するのだから。
●宗教団体は、弱者や非信者の現世の幸せも祈っているかどうか。―あの世のことも「神」も押し付けられてはかなわないから。
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2019/4/17

弁護士たるもの  ほか  カルト・宗教・犯罪

弁護士たるもの、「疑わしきは被告人の利益に―法解釈についても―」なのだから、無罪判決に対し、よく検討した上で批判することはあっても、新聞報道程度で公に批判する文章は書けないと思っていた。
 勿論その事件の被害者側として証拠などもつ弁護士ならば別です。まして判決文を入手していない弁護士までも無罪判決の批判を公にするとは驚き。
 なお、名古屋地裁岡崎支部の無罪判決は、「準」の要件である「抗拒不能」が議論されたのであり、強制性交罪の「暴行・脅迫」要件の課題そのものではないんです。市民も、まして議員さんらは十分確認しつつ見解形成をされたし。
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2019/4/17

最大株主は年金、日銀  カルト・宗教・犯罪

 年金財政が日本の最大の株主だということ自体が大変な話なんだけれど、今度は日銀が最大の株主になりそうとのこと。
 論理的には社会主義国だなあ、それも倒産間際の社会主義国だなあ。
 新円発行と、故祖父が言ってた預金封鎖の、どちらが先なのだろうか


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43792260W9A410C1EA2000/
日銀は、日本株に投資する上場投資信託(ETF)を年間約6兆円購入。保有残高(時価ベース)は3月末時点で28兆円強、東証1部の時価総額の4.7%に相当。同じペースで買い続けると20年11月末には約40兆円に。現在6%超を保有すると見られ、最大株主の年金積立金管理運用独立行政法人を上回る
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2019/4/17

名古屋地裁岡崎支部の無罪判決の件など  憲法・社会・官僚・人権

歴史から得た智慧
「表現の自由」等は、他の権利を侵害しない限り保障される。憎ったらしい相手の自由を含み、自分も奴らの自由のため助力する。自分が憎まれる者になる可能性も知りつつ、そして批判もまた自由と。


以下、最近、ツイッターに書き込んだことの修正転載です。備忘録までに。

(名古屋地裁岡崎支部で準強姦罪無罪判決の件―暴力も少し前まで認定できたが14歳からの性的虐待をもとに、本来熟睡中などを示す「抗拒不能」が要件となる「準」で起訴した案件。)

1、判決文に接した伊藤先生がより事案を知りましょうが、それ誇られても。お陰で報道されなかった「2017年8月と9月の性交の前」「7月後半から、8月の性交の前日までの間、こめかみのあたりを数回拳で殴られ、太ももやふくらはぎを蹴られた上、背中の中心付近を足の裏で2、3回踏みつけられた 。」と判明

2、この事件での、伊藤和子弁護士の報告もまたごく一部です。それにて分かったと思っては、間違っていましょう。つまり、伊藤弁護士の判決紹介で概要が出ていると考えては大間違いです。無罪判決てのは、やたら長く書いてあります。要旨でも、例えば下記リンク先のような感じになるんです。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/320/006320_hanrei.pdf

3、私は、伊藤弁護士報告にて、直前まで暴力があったとのことなので、「抗拒不能」を要件とする「準」から強制性交罪への訴因変更が課題になったのかどうかを知りたいが、まだ回答なし。

4、いえ小倉先生、虐待されてきた人まして14歳から父に性的虐待されてきた女性の心理を捉えるに、本来、熟睡、酩酊、精神障害などの場合を指す「抗拒不能」ではありますが、同様に捉えてもいいのではと思いもします。それは新たな判例。そのためにこそ、検察は強制性交ではなく、「準」に拘ったのかもと。

5、思い起こすのは明治時代の「電気窃盗」。「電気は財物」と立法化される前、無罪としていた下級審判決もあったが、大審院は窃盗有罪にした。
 それに比べれば「抗拒不能」を拡げることは容易かも。★違うのは、明治憲法下ではないこと、電気窃盗と異なり177条に訴因変更すればいい話だったかもとの点

6、何度もすいません。判決文をもっているのは、知る限り伊藤先生しかないので1つ教えてください。「判決文の記載からは、訴因なり変更につき議論があった形跡はないのですが、もしあるならどんな記載ですか」、これは内容ではなく訴訟手続のことで、秘密にする必要はないと。どうぞお教えくださいませ。

7、集会の参加者の一部とその他の方とで、この裁判官訴追運動が始まっているのでしょう。確かに一部でしょうが、この無罪判決批判・法改正運動にリンク→裁判官の批判→ならば訴追を、という流れが相当にあろうと。伊藤和子弁護士のツイッターに、訴追運動を止めるようしっかり動いてくれること求めているのですが。マッチポンプとならないために、一つの責任だと。
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2019/4/15

「強制性交」と「準強制性交」  憲法・社会・官僚・人権

 名古屋地裁岡崎支部での「19歳女性に対する父による準強制性交」−中学2年生当時から性的虐待があり学費を出してもらっていたことなどから抗拒不能として、強制性交罪ではなく準強制性交罪で起訴−の無罪判決についての補充です。

 判決文に接することが出来たという伊藤和子弁護士の記載によれば、起訴された事件の「2017年8月と9月の性交」では物理的な抵抗はないが、「7月後半から、8月の性交の前日までの間」「こめかみのあたりを数回拳で殴られ、太ももやふくらはぎを蹴られた上、背中の中心付近を足の裏で2、3回踏みつけられた 。」
ということでした。

 その他報道などされて知られている以外にも、実に色々な事実が判決文には記載してあるはずですが記載なく、記者クラブに配られたと思う「判決要旨」も出ておらず、もとより証拠は見れていないので、下記はあくまで推察です。

すなわち、下記の高松高裁判決S47.9.29及び大審院T13.11.7からして、有罪とする可能性を高めるために、刑法178条「準強制性交」ではなく177条「強制性交罪」で起訴する又は訴因変更をすべきだったところ、これをしなかったからという可能性が相当にあるのではと思いました。

 それは、検察側の凡ミスか、178条準強制性交の「抗拒不能」概念を拡げて今後役立てようとする判例づくりのために178条にこだわった感覚があったのかも、と推測します。


 177条と178条は、強盗と窃盗のように大小の関係ではなく、選択的になってしまうので、「どちらかで有罪にせよ」という起訴ができないものです。

 私は、立法論的には、重なる部分がどうしてもありこの事態が生じてはならないから、
@ 特例的に両方での起訴を認めるとか、
A 統一した条文に入れ込むとか、
B 更にその中では「抗拒不能に近いもの」と「反抗を著しく抑圧するに近い暴行または脅迫」で成立させるという併せて一本みたいなことも可能、という条文にしたらどうかなあ、と思ったりもします。

 なお、177条につき「暴行・脅迫」ではなく「同意」要件とするのは、むしろ、高松高裁事例などは無罪になると思われ、妥当ではないと思うんです。


 下記に2つの判例をやや詳しく転載します。


  **********
 高松高裁S47.9.29(判例タイムズ291号276頁、最高裁に上告したが判例集で見つからない、そのままだったのだと思われます)
要旨
 強姦罪における脅迫が姦淫時より約2週間以前に加えられたものであり、しかも、女子が男子に事前に電話連絡をして時刻と場所を指定し、その結果行なわれた姦淫が、外観上はごく自然で通常の男女間の情交と認められるような状態のものであつても、それが、犯人の右脅迫によつて、被害者が精神的に抗拒する気力を失つていることによるものであるときは、強姦罪が成立する。

控訴を棄却した理由の関係部分
 男女間で姦淫の行なわれるにあたり、事前に女子が男子に対し電話連絡をし、女子自ら姦淫の場所と時刻を指定し、その結果同場所で行なわれた姦淫も外観上は極く自然で通常の男女間の情交と認められるような状態においてなされているものであつても、

前記場所等の指定および自然の状態で行なわれたかのように見える姦淫が、それ以前に加えられた犯人の脅迫行為によつて、被害者が精神的に抗拒する気力を失つた状態に陥り、その状態が継続していることによるものであつて、犯人が被害者のその状態に乗じ強いて姦淫した場合には、

たとえ、脅迫行為時と姦淫時との間に一四日間の経過があり、姦淫行為が外観上は通常の男女間におけると同様な状態で行なわれたとしても、脅迫と姦淫行為との間の因果関係は中断されることなく存在するのであつて、脅迫による刑法一七七条前段の強姦罪が成立するというべきである。

 被告人は、被害者が万引でつかまり警察へ申告されるのをおそれているのに乗じ、同女に対し前記の脅迫を加えて同女を畏怖困惑させ、同女をして精神的に抗拒する気力を失わせる状態に陥しいれたうえ情交の承諾を余義なくさせ、その状態が続いている状況のもとで同女が被告人の指示に従い同被告人に電話をした際、同被告人の求めにより同女に情交の場所として旅館某を指定させ、次いで同旅館において同女が精神的に抗拒する気力を失つていて同被告人の意のままになるのに乗じて強いて姦淫の目的を遂げたのであるから、被告人の右一連の所為は、刑法一七七条前段の強姦罪にあたることが明らかである。*****

 また、同女が捜査機関に対し被告人からの前記脅迫の被害を告訴しなかつたことは所論指摘のとおりであるが、同女は自己が万引したことを警察に知られることを最も怖れていたのであり、右脅迫被害を警察に届出ることは同時に自己の万引の事実を警察に申告する結果になることは明らかであるから、同女に対して右の告訴を強いることは自己の万引(窃盗)を自白させるに等しいことであり、被告人は同女の弱身に付け込んでの犯行であつて、
 
精神的に抗拒の気力を失い思い迷つていた同女に対し右の告訴をしなかつたのを責めることは酷であるから、右の告訴がなかつた事実を捉えて、本件姦淫につき合意があつた証左とすることはできない。***

 なるほど、弁護人ら主張のとおり、暴行・脅迫の行為時と姦淫時との間には一六日間の経過があり、その間に同女が被告人と情交関係を結ぶため三回にわたつて同被告人に電話しており、前記ホテル某客室での情交が外観上は極く自然にみえる状態において行なわれていることは所論のとおりである。

しかしながら、被告人は、同女が万引でつかまり警察や同女の内縁の夫にその事実を申告されるのをおそれているのに乗じ、同女に対し、前記暴行・脅迫を加えて同女を畏怖困惑させ、同女をして、精神的に抗拒する気力を失わせる状態に陥しいれたうえ情交の承諾を余儀なくさせ、その状態が続いている状況のもとで三回にわたつて自己指定の日に電話をさせ、次いで同ホテルにおいて同女が精神的に抗拒する気力を失つていて同被告人の意のままになるのに乗じて強いて姦淫の目的を遂げたのであるから、被告人の右一連の所為は、刑法一七七条前段の強姦罪にあたることが明らかである。 

 *********
大正13.11.7、大審院判決、大審院刑事判例集3巻783頁―当時の最高裁です。当時の罪名は強姦罪です。
 「暴行・脅迫」により抗拒不能にして姦淫した場合は、「準」ではなく強制性交罪になるという判例です。

 これは、睡眠中の女性(そもそもの抗拒不能)に対する準強姦致傷被告事件であり、被告側の上告理由は、指を入れたが抵抗されたことに拠る傷害は「準強姦強制猥褻の致傷事件」ではなく「傷害罪に止まる」という主張で、これを認めず準強姦致傷だとした判決でした。
 
 すなわち、睡眠という「抗拒不能」が先にあって、偶々の暴行による傷害は「準強姦」の際の傷害だから「準強姦罪致傷」となる、逆に言えば偶々ではない暴行・脅迫は−それにより抗拒不能となっても−「強姦罪」だ、という意味の判例となっているものだろうと。
 以下読みやすくするために、行替えをしつつ出します。

大審院刑事判例集3巻783頁 要旨
「抗拒不能ニ乗シ姦淫スルニ方リ偶偶暴行ヲ加フルコトアルモ
単ニ姦淫ノ附随行為ニシテ其ノ手段ト為リタルモノニ非サルトキハ
刑法第178条ニ問擬シテ処断スヘキモノトス」

内容
「原判示事實ハ被告ハ前略女子乙(當二十一年)カ他ノ子女ト共ニ同家六疊ノ間ニ寢臥シ居タルヨリ之ヲ見ルヤ直ニ劣情ヲ催シ乙ノ睡眠中ニ抵抗不能ナルニ乘シ姦淫セント欲シ
同人ノ陰部ニ指ヲ挿入シタルニ乙ニ於テ
飛ヒ起キ大聲ヲ發シタル爲其ノ目的ヲ遂ケサリシモ
同人ノ陰部ニ全治五十餘日ヲ要スル傷害ヲ負ハシメタルモノナリト云フニ在リテ
原判決ハ前點ニ於テ説明シタルカ如ク
刑法第百七十八條ノ強姦罪ニ因リ乙ノ陰部ニ傷害ヲ負ハシメタル犯罪事實ヲ認定シタルモノトス

然リ而シテ人ノ抵抗不能ニ乘シ姦淫スルニ方テ
偶暴行ヲ加フルコトアルモ其ノ暴行タルヤ單ニ附隨的ニシテ姦淫ノ手段ト爲リタルモノニ非サルトキハ
刑法第百七十八條ノ強姦罪(滝本注:準強姦罪の趣旨です)ノ成立ヲ妨クルコトナシ

故ニ叙上ノ罪ヲ犯スニ方リ此ノ種ノ暴行ヲ加ヘ因テ人ニ傷害ヲ負ハシメタルトキハ
同法第百八十一條ノ罪(滝本注:致傷罪の趣旨です)ヲ構成スルモノト論斷セサルヲ得ス
原判示事實ハ前段所掲ノ如クシテ
被告カ睡眠中ノ乙ノ陰部ニ指ヲ挿入シタルハ同人ノ意思ニ反シ其ノ身體ニ有形的ニ力ヲ加ヘタルモノニシテ即チ暴行ニ外ナラス

然レトモ被告ハ乙ノ睡眠中抵抗不能ニ乘シ姦淫セント欲シ唯指ヲ同人ノ陰部ニ挿入シタルニ止リ
之ニ依リ乙ノ身體ヲ抑制シテ姦淫セントシタルニ非スシテ
單ニ附隨的行動タルニ過キサルヲ以テ
其ノ所爲刑法第百七十八條ノ強姦罪(滝本注:準強姦罪の趣旨です)ニ該當スト雖

之カ爲ニ被告ハ乙ノ陰部ニ傷害ヲ負ハシメタルコト原判決ノ判示スル所ナレハ
其ノ所爲刑法第百八十一條ノ罪(滝本注:致傷罪の趣旨です)ヲ構成スルモノトス
原判決ハ畢竟叙上ノ趣旨ニ於テ判示シタルモノナレハ
所論ノ如キ不法アルコトナシ論旨理由ナシ」
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2019/4/14

判決内容にて裁判官訴追要求とのこと。  憲法・社会・官僚・人権

https://www.change.org/p/父親の娘への性行為無罪判決は許せない-司法は-裁かれるべき者が正しく裁かれる裁判-の実現を-裁判官訴追委員会御中-名古屋地裁岡崎支部-鵜飼祐充裁判長の罷免を求めます?recruiter=59784731&utm_source=share_petition&utm_medium=facebook&utm_campaign=psf_combo_share_initial&utm_term=psf_combo_share_abi&recruited_by_id=d4537250-e9ff-0130-13a1-002219670981
「父親の娘への性行為に無罪判決を出した、名古屋地裁岡崎支部の鵜飼祐充裁判長の罷免を!〜法が変っても裁く側の「解釈」で変えられてしまう!「裁かれるべき者が正しく裁かれる裁判」の実現を!」というキャンペーンについて。

 暗澹とした気持ちです。

1 裁判内容により裁判官訴追をもとめるなど、司法・裁判官の独立を侵害する蓋然性が高いからです。裁判官の独立は、他の権力や最高裁行政からも独立させて、各(各裁判=訴訟法上の意味での)裁判所の独立を守る貴重な原理であり、近代憲法の根本だからです。これが認められなければ、他の権力が一部国民の権利・法的を恣意的に剥奪しようとする時、裁判官が憲法と良心に従った独立の判断が出来なくなってしまうからです。

 また、そもそも合議体で出された判決は、3人の合議によるものであり、その裁判長が決めるものではありません。ひょっとして裁判長裁判官は有罪判断だったのかもしれないのです。

2 さて、名古屋地裁岡崎支部の19歳女性被害者への父の行為についての裁判は、「暴行・脅迫」を要件とする「強制性交罪」での起訴ではなく、「抗拒不能」を要件とする「準強制性交罪」での裁判ですから、「暴行・脅迫」のハードル問題とは違うものです。この点が、広く誤解されているように感じます。

 そして「抗拒不能」は、その場で具体的に被害者に判断能力がないと思われる熟睡、泥酔、精神障害などの場合を言うものです。

3 重要なことには、伊藤和子弁護士の判決紹介では、なんと下記のとおりの直前の暴行が認定されているものでした。
曰く「2017年8月と9月の性交」では物理的な抵抗なしだが「7月後半から、8月の性交の前日までの間」「こめかみのあたりを数回拳で殴られ、太ももやふくらはぎを蹴られた上、背中の中心付近を足の裏で2、3回踏みつけられた 。」と。

4 これを知って、なんで検察側が「強制性交罪」に訴因変更を求めなかったのか、と大変疑問に思いました。そのようにすれば、より有罪になる蓋然性があったとも思われるからです。

 判例では、高松高裁S47.9.29判決にて、「約2週間以前の脅迫、女子が男子に電話連絡をして時刻と場所を指定した上での姦淫が、右脅迫によつて、被害者が精神的に抗拒する気力を失つていることによるものとし、当時強姦罪として有罪」というものもあるんですから。

5 刑法177条強制性交罪と178条2項準強制性交は、訴因を変更しないまま有罪判決を出せる関係にありません。
強盗罪と窃盗罪のように「暴行脅迫がなければ窃盗」とか、殺人と傷害致死のように「殺意がなければ傷害致死」という大小の関係ではなく、「暴行または脅迫」と「抗拒不能」は選択的な関係にあるからです。

6 「暴行・脅迫」により抗拒不能にして姦淫した場合は、「準」ではなく強制性交罪になります(当時は「強姦罪」でしたが大正13.11.7大審院判決)。すなわち、今回の問題は、上記からすると検察側にある可能性が高いと思われるものです。

 それもあってか、検察側は上訴したのであり、控訴審で強制性交罪への訴因変更を求め、これを高裁が認めて有罪になる可能性も高いと思われます。

7 そもそも、本件では判決文はまだごく一部の関係者が持つだけです。伊藤和子弁護士は入手したようですが、匿名化するなどしてその全文を示すことはしていません。刑事の判決文は言渡しの日には出来上がってなくても良いので、法廷で読みあげられたものが判決文全体は限りません。

 また「判決要旨」は判決当日に記者クラブに渡されたとも思われますが、それがそのまま報道されていないようです。せっかく裁判所が社会にそのまま伝えていいという配布したものが出されいないのです。報道が「判決要旨」のごく一部なのは、私もしばしば経験してきました。困ったことです。

8 父が子を姦淫するなどもとより許されないことですが、日本刑法も含め多くの国では近親相姦罪というのはありません。養親子の場合はどうするか、兄弟姉妹はなど親族範囲を容易に決められず、両者ともに処罰するのかなど問題が多く、むしろ弱年者への姦淫を当然に強姦罪とすれば足りるとしたからとも思えます。
 日本は昔から13歳未満との姦淫は、それ自体で有罪としてきました。

9 また、強制性交罪で「暴行・脅迫−判例上強盗罪のような抵抗を抑圧する程度ではなく、抵抗を著しく困難にする程度として弱いもので足ります−」というのを「同意」要件に変更するのは、その証明(立証責任をどちら側にするにしても)があいまいに過ぎ問題が多すぎると思えます。

 むしろ、前に掲げた高松公判の事例などは、女性側が時刻と場所を指定しているのですから、同意がないとはとても言えず、無罪になってしまいます。

10 なお、先年、刑法179条により、18歳未満被害者への「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じ」た場合、強制性交罪等と同様に処罰されます。

 私は、立法論としては、よく検討した上でこれ改正していく―年齢ではなく監護者概念を拡げるとか―方策はあるのでは、と思ったりはします。

(追伸―強制性交罪と準強制性交罪については、一体的な条文とできないか、又は選択的訴因のままでも許すということができないか、とも思います。)

11 以上の次第です。本件は、他の性犯罪事件と同様、被告人弁護側として、たとえ無罪判決だったとしても、記者会見などして色々と弁明できる類型ではありません。

 過去、再審無罪となった事件のみならず、少なくない冤罪だった性犯罪事件につき、被疑者逮捕当時や一審有罪判決などの当時には、社会から被告人らには罵声が浴びせられました。
 それは有罪とは認めないが、倫理的には到底許されない行為をしていたものが多く、また人違い事案であっても、多くは誤解されやすい前科などある被告人だったからです。
 
12 冒頭事件のおぞましさの故に無罪となったことの怒りを感じることはよく分かります。その怒りは「正義」に基づくものですが、「正義は時に暴走する」ことがあることも、また知られたことだと思います。

 罪刑法定主義、刑事法の厳格解釈の原理、「疑わしきは被告人の利益に―法解釈にあっても―」は、近代刑法の根本です。

 そして、裁判内容の故に、裁判官の訴追を求めるというのは、以後裁判官を著しく委縮させ、冒頭に記載した通り、憲法の重要な原理である司法・裁判官の独立を侵害する恐れが多分にあります。このようなことがあれば、他の案件特に「統治行為論」を打破しようとしたり違憲立法審査権など行使しようとする裁判官が委縮することは目に見えています。

 どうぞ、改めて、よくご検討くださるようお願い申し上げます。

以上 
           
 2019年4月14日 弁護士滝本太郎

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