現在、「高年齢者雇用安定法」によって、定年が65歳へ引き上げられる経過処置期間中で、2025年4月からは、定年制を採用しているすべての企業は65歳定年制が義務と化します。
既に、大企業(従業員300人以上)では約1割が、中小企業(31〜300人)では約2割が65歳を定めていて、定年制そのものを廃止した企業も数%あり、改正「高年齢者雇用安定法」では、「70歳までの定年引上げ」「70歳までの継続雇用制度」などを努力義務になりました。
「歳を重ねても働きたい」という人は多いのですが、それらの人にとっては安心して働き続けられる制度で、思いとも合致しています。しかし、労働力の囲い込みを行おうとする思惑が見え隠れします。
また、過去の定年引き上げや定年後も継続して雇い入れる継続雇用制度の導入の議論は、厚生年金保険の支給開始年齢引き上げの議論と同時並行で進められてきました。定年制度は企業の専決事項であるはずですが、国の財政の都合で決められてきた経緯があり、論理に矛盾が生じていると思います。
定年後も働きたい理由が多いのは、「年金だけでは生活が苦しい」「社会の中で働けば心身ともに刺激を受け、健康維持、増進のため」が多く、シニア世代の働く意欲の根底には、生活を支えるためということのほかに、健康への意識の高さがあるのも見逃せません。
元気に暮らし、充実したシニアライフを送るためには、定年制の廃止も議論すべきではないでしょうか。

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