今の世は「豊な社会」の弊害の中で暮らしている人が増たような気がするのです。何を勘違いしたのか人間としての道徳観などまったく考えない、お金を集めることにだけ集中した企業や個人が現れ、詐欺や盗みに近い組織犯さえ出没するようになりました。
一瞬の華美にあこがれ、自ら進んで常識では考えられない大金をたやすく手に入れられる日本の国の仕組みを、一体どう解釈したらよいのでしょうか。
働かず、学ばず、家に引っ込んだまま人とは接触せず、生活の一切を親の庇護に頼り、自分の人生を切り開く必要もない「極楽浄土」に過ごす人たちが増えたように思います。私は、働かなくとも食える極楽浄土のような社会を夢見ていましたから、これでよかったのか?・・・・・
仏教の世界では、極楽浄土と言うのがあると聞きます。「西方十万億土の彼方にあり、まったく苦しみのない理想郷で、今も阿弥陀仏が法を説いていて、阿弥陀仏を信じ、ひたすら念仏を唱えると、死後ここに迎えられる」ということです。
極楽浄土とは、「私たちの心のありようを気づかせるもの」で宇宙のどこかにある“場所”ではないということも聞いたことがあります。
戦後、私達はどん底の生活の中から一心不乱に豊な社会の実現を目指して努力し、アメリカに支えられ、属国ではないかとも言われ、我慢し働き続けてきました。そして今、得られた幸せな国、日本であると思いたいのです。極楽浄土にしたかったのですが、はたしてそうなったのでしょうか?

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