一時期「明治は遠くなりにけり」という言葉が はやったことがありましたが、明治どころか、「昭和も遠くなりにけり」と、感じる人もいるでしょう。
昭和の日といえば、自然を愛した昭和天皇の誕生日で、有名になった言葉、『雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない』がありました。
元は 植物学者牧野富太郎博士の言葉で、植物もそうですが、人もそれぞれの生き方があって、何らかの原因で住む所を失った人たちが暮す名古屋市の施設、「名城公園宿泊所」で、再就職の支援を行っていた頃、「俺はホームレスではない」と言う人がいました。
施設入所を拒んでいたのに、無理やりに連れてこられたそうで、毎日空き缶を集めて売り、夜は市内の公園の滑り台にシートを掛けて、その下で寝て過ごし、近くのコンビニエンスストアで弁当を買って食べ、自分では『自立して、十分満足な生活をしていた』というのです。
世の中では普通に雑草と言いますが「雑草という草はない」というように、一般的には「住居を失った人をホームレスと言います」が、彼は違うと言い「れっきとした個人事業主だ」と言わんばかりで、昭和天皇のお言葉「それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で・・・・」を思い出しました。
いわゆるプロの路上生活者で、昭和から平成の時代が終わる頃には極端に減りました。「昭和も遠くなりにけり」でしょうか。新型コロナ感染不況で、再びその様な人が増えなければ 良いのですが・・・・。

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