「古傷」とは、以前に怪我をした古い傷あとのことを云います。以前に犯した罪や過失、思い出したくない記憶を云うことがありますが、「古傷」は一度背負ってしまうとその後もチクチクと心や体に痛みを伴うことはご存知の通りです。
日本と中国の国交が回復して40年、尖閣諸島など古傷に触らないで友好を重ねた結果、経済的にも切っても切れない関係にまで発展してきました。今回、尖閣諸島を東京都が購入すると云う発想から、古傷に唐辛子を掛けた様な状態にまで発展した事態に、石原知事や山東昭子氏は、さぞ驚いたことでしょう。
それにしても日本政府は、面積からして5億円程度の土地を20億円(借地料の約80年間分)で購入すると云うのですから、政治解決かもしれませんが法外な値段で購入したものです。石原氏の所へ寄付が14億円も集まったと云いますから、仕方のないことかもしれませんが・・・・。これで日本中の地価も値上がりするのでしょうか?
中華人民共和国の建国記念日にあたる10月1日を挟んで大型連休を行い、中国政府の発表では、『中秋節、国慶節:9月30日から10月7日までの計8日間の休暇。9月29日(土)を振替出勤日とする』とし、この8日間、高速道路を無料とするそうです。
中国の富裕層が来る「日本ツアー」はキャンセルが相次ぎ、10万人にも及ぶようです。旅費別で旅行客が日本で使う金額は約17万円にも及ぶようですから、「古傷」に触ったおかげで大損害と云うわけです。予定していた観光客は香港へ向かい、2割増しの100万人にもなるようです。また、香港から日本へ向かう観光客は2〜3割減となる見通しだそうです。
一党独裁で厳しい秩序を保とうとする中国共産党ですが、その実、一枚岩ではないようです。各地で起こっている「反日デモ」も、実は中国政府に不満を持つ「反政府デモ」である場合が少なくないと云います。政府も毛沢東時代の「古傷」に触って欲しくないのが本音でしょう。
駐中国大使の乗る車が白昼堂々と襲われた事件など、背景には、「愛国無罪」の精神を教え込まれた中国の若者たちと、愛国教育を進め、権力闘争の渦中でうごめく中国の実力者たちの姿が見え隠れし、11月8日から北京で開催される第18回中国共産党全国代表大会で、胡錦濤(フーチンタオ)・国家主席(69)に代わって、習近平(シーチンピン)・国家副主席(59)が最高指導者になる状況に注目せざるを得ません。

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