3月22日、基準地価が公示され、毎回思うのですが日本の土地政策の無さを感じます。今、商業地で空地を所有している小規模地主は、売って商売をしなかった人、相続人に土地を分配しなかった人、失敗するような商売をしなかった人、節約して相続税分を貯めて所有している人・・・・・ たちで、日本という国は、高度経済成長期の惰性で、未だに土地神話を信じている人がいるのかもしれません。
土地の場合は、価格が上がっても他の商品と違って海外から輸入できるものでもありませんから、供給を直ちに増大させることが出来ない「商品?」で、いったん地価が上昇し始めると期待感を増幅させると云う特性を持っています。
一方、農地は、終戦後、GHQの指揮の下、農地解放が全国的に行われ、実に7割余りの農地が地主から小作人のものにタダ同然で所有権が移転しました。
1970年代に自作農主義は放棄されたものの、適切な農地再編整備は行われていなく、高値で農地を買い取ってくれる公共事業やショッピングセンター、自動車産業などの工場建設用地を期待する農家は、転用機会を待望し、ひたすら既得農地を温存し、農地としての有効活用に関心を払わないのが現状です。
したがって、大規模農家育成は一向に進展せず、行政は、農地の実態がどの様になっているかも十分に把握できていないと云います。
土地全体からすれば年間取引されるのは、わずか数パーセント(1〜2%)程度の土地価格から新聞に載る市場価格、公示価格に影響を与えるわけですから、結果として大土地を保有する企業や大地主は膨大な含み資産の増減となるのです。それを元手に資金を調達したりするのですから、ほとんど架空の価値ともいうべき値段で他の資産を手に入れることが可能となり、実に怪しげなものです。
そんな怪しげな土地の公示価格を掲載した新聞を、冷ややかに眺めていました。

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