物騒な言葉だが(刀を振り回しておいて物騒だ・・・もないが・・・笑い)、刀法のひとつである。
一昨夜、帰りがけに本部に立ち寄り館長と懇談した。話の中で館長から“介錯刀を早急に自得せよ”との指示あり、帰宅後さっそく研鑚に入る。こういう場合、互いに訳を聞かないのが永年の慣習になっている。
清酒を一杯頂き、平打ちのうどん汁で夜食を済ませ手足を洗ってから抜きにかかる。余談だが、切り込む前なら腹ごしらえに、このうどん汁に白飯と地鶏のぶつ切りを入れ煮込んだのを飲み下すとよい。力がつく。
我ハ正座スル彼ノ左ニ座シ、調息後、機ヲ見テ静カニ抜刀。足ヲ引キテ右肩剣林ニ囲イ、吐気、手ノ内ヲ絞リツツ一気ニ斬リ下ス。掌、刀身ヲ返シテ血振イ、無構、膝ヲ着キ納刀。調息、起立シテ介錯ヲ終エル。
自刃が刑罰として制定され、介錯は重要な役割を担い様式化された。この刀法を修める場合に他の刀法と同じくふたつの大意がある。ひとつは、心の修練として研鑚する事。もうひとつは実際の刀法として修めることである。ようするに華法と実法を両輪として学ぶことだ。
昨日、土曜日出社後も地下で仮想標的を立て間合いの稽古をした。数本振るだけで全身から汗が噴出す。故あって自刃するものを早く彼岸へ渡す作法であるからいつもより心身ともに疲労する。前刀が始まりならば、この刀法はある意味で極みと云える。
午後から本部へ行き普段着のままで館長とこの刀法を振る。館長がなぜ私にこの刀法を自得せよと言われたかは、押して知るべしである。

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