僕は本を寝かせるという行為をよくする。
少しだけ読んで、また後で読もうと思い、時間を置くということだ。
例えば深夜特急は何年も寝かせて、読み始めたら一気に読み終えてしまった。
古くは宮本輝の道頓堀川。
意識的に寝かしたのではなく、文頭の文章が好みでないと思い、何年も読むことなく放置していたのだか、ふと本をとってみると、とても心に刺さる文章と内容だった。
今では一番好きな作家となっている。
彼の錦繍という本も何年も寝かせた本だった。
この本は寝かせた本のなかでは例外的に特に好きな本ではない。
さて、今回久しぶりにこのブログに書こうと思わせてくれた本は風のマジムという原田マハの作品である。
寝かせた期間は短く二週間ほどである。
ここ何年間で一番好きな本になった。
僕は沖縄には仕事でしかいったことがなく、沖縄好きというわけではない。
だけど、南大東島の風が見えたし感じられた気がする。
そして、泣けた。
泣かそうという意図も感じたし、作られた話というのもわかるのだが、とても僕の中に溶け込んでいったのだ。
とにかく、この作品のモデルとなった。純南大東島産のラムを飲みたいと思ったし、沖縄にいきたいし、南大東島のサトウキビ畑に身を置きたいと感じた。
とりあえず、300ミリリットルのコルコルグリーンラベルを買おうと思う。
そんな行動を僕に行わせてくれる本だった。
思えば数年前にこのラムをテレビで特集していたのを見たときが、この本を読み、寝かし、この行動を起こさせるフラグになっていたのだろう。
さらに遡ればグアテマラで4ヶ月間過ごした時にビールの次に身近だったロン(スペイン語でラムの意)が僕を導いたのだと思う。
さらに昔を思えば、学生時代に飲んだきっと安物のラムの苦い思い出が僕にラムというものを特別なものにしているのだて思う。
そんな本以外にもいろんな記憶や思いを寝かした結果、とても印象的な作品になったのではないかなと思う。

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