今、僕は司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでいる。
この中で、正岡子規が「美」についてこう語っている。
「美に基準はあるまァ。あしは、美に一定の基準なしと思うとるぞな。美の基準は、各個人の感情のなかにあり、同一人物でも時が経つと基準がかわる。あしは美に一定基準なしとおもうとるけん、なにが名文かは、それを読んで感ずる人次第ぞなもし、清さん(高浜虚子のこと)」
全くこの通りだと思う。
この文章は正岡子規の考えを司馬遼太郎が綴ったものであると考えられるが、うまく美について語られている。方言で語られているのだが、正岡子規の声が聞こえてくるようである。
この文章を僕は美しいと思ったのでした。

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