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2007/5/29

『殯の森』  映画道

『殯の森』

2007年日本・フランス映画 97分
脚本・監督・製作:河瀨直美  撮影:中野英世  音楽:茂野雅道
出演:うだしげき(しげき)、尾野真千子(真千子)、渡辺真起子(和歌子)、ますだかなこ(真子)、斉藤陽一郎(真千子の夫)、山本優成(優成)




奈良県東部の山間地。グループホーム「ほととぎす」には軽度の認知症を抱えた老人たちが共同生活を送っていた。幼い長男・優成を亡くした真千子は、夫と別れて介護福祉士としてホームにやってくる。真千子は、妻・真子を亡くしてから33年、二人だけの世界に生きてきたしげきに興味を持つ。しげきの誕生日の夜、真千子が亡き妻の思い出の詰まったリュックサックを手に取ると、激昂したしげきに突き飛ばされて左手に怪我をしてしまう。主任の和歌子は真千子を車で家まで送り、「こうしゃんなあかんってことないから」と励ます。翌日、木から落ちて逃げ出したしげきを茶畑まで追いかけた真千子は、次第にしげきと心を通わせていく。ある日、真千子の運転で真子の墓参りへと出かけることになるが、途中で車が脱輪してしまう。真千子が人を呼びに戻っている間に、しげきは車を降りて歩き始める。真千子はすいか畑にいたしげきを見つけるが、しげきはどんどんと鬱蒼とした森の奥深くへと進んでいく。

第60回カンヌ国際映画祭にて審査員特別大賞グランプリを受賞した河瀨直美監督最新作。
劇場公開を前にNHK BSハイビジョンにて放送。

タイトルの「殯(もがり)」については最後に説明があるが、「敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間のこと。また、その場所」のこと。
しげきと真千子がさまよい歩く森はまさにそのような場所としてはうってつけで、この作品の主人公とも言うべき存在。

主人公のしげきは認知症を患っているという設定。
認知症だからと言って感情がないわけではなく、彼の場合は亡き妻に対する思いというのが他の感情よりも突出しているかのよう。
しげきに生きることについて問われた住職が、「あてもなく生きるのは空じゃなしに虚」と答えるシーンがあるが、しげきにとって妻を亡くしてからの33年はまさに虚そのものだったのかも知れない。

一方の真千子も長男を亡くして以来、心に深い傷を負った女性。
長男の死の原因は明らかにされないが、夫に「お前が手を放したから」と責められていたことや、川を渡ろうとしたしげきに向かって「渡ったらあかん。行かんといて! お願い!」と泣き叫んでいたことから、恐らく川に流されてしまったのだろう。
そんな二人が雨に打たれて濡れた体を焚き火で温めるのだが、真千子が震えるしげきの体をさすってやり、最後には裸になって温め合う。
住職とのやり取りの中で、真千子が住職に言われてしげきの手を握るシーンが出てくるが、その時とは比べ物にならないぐらい、二人は「生きている」ということを実感したことだろう。その体の温もりが伝わってくるかのようなシーンだった。


ちなみに私、今はなき京都朝日シネマにて河瀨監督の短篇『につつまれて』、『かたつもり』が上映された際、監督に握手してもらって少しだけお話したことがある。
まさかあの後、『萌の朱雀』でカメラドール、そして今回のグランプリを取るとは思っておらず…。
サインももらっておくんだった(笑)。
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2012/5/5  21:09

投稿者:法水

コメント、ありがとうございます。
北海道ではなかなかお会いするのも難しいかも知れませんが、今は気軽にメールで連絡できるのでいい時代になりましたね。私はやったことはありませんが、スカイプなら顔を見て話すこともできますし。

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