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2007/5/5

『ブラックブック』  映画道

『ブラックブック』
ZWARTBOEK

2006年オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー映画 144分
脚本・監督:ポール・ヴァーホーヴェン  原案・脚本:ジェラルド・ソエトマン
出演:カリス・ファン・ハウテン(ラヘル・シュタイン/エリス・デ・フリース)、セバスチャン・コッホ(ルートヴィヒ・ムンツェ)、トム・ホフマン(ハンス・アッカーマンス)、ハリナ・ライン(ロニー)、ワルデマー・コブス(ギュンター・フランケン)、デレク・デ・リント(ヘルベン・カイパース)、クリスチャン・ベルケル(カウトナー将軍)、ドルフ・デ・ヴリーズ(公証人スマール)、ピーター・ブロック(ファン・ハイン)、ミヒル・ホイスマン(ロブ)、ロナルド・アルムブラスト(ティム・カイパース)、ジョニー・デ・モル(テオ)、ディアーナ・ドーベルマン(スマール夫人)




1956年10月、イスラエル。小学校教師のラヘル・シュタインは、カナダ人牧師の夫と旅行に来たロニーと再会して、オランダでの日々を思い起こす。1944年9月、ナチス占領下のオランダ。元歌手だったラヘルはユダヤ人であることを隠して暮らしていた。ある日、ラヘルが湖で禁止されている英語の歌を聴いていると、ロブという青年に声をかけられる。その直後、隠れ家が爆撃されたラヘルは両親や弟の行方も分からないまま、ロブのもとに身を寄せる。ラヘルがレジスタンスに参加しているファン・ハインに助けを求めると、金や宝石が必要だと言われる。翌日、公証人のスマールの事務所を訪れたラヘルは、父が彼に預けた金と宝石を受け取る。ファン・ハインの手引きで向かった船着場で、ラヘルは両親と盲腸の手術を受けたという弟のマックスに再会する。一家とロブは船に乗り込んでファン・ハインに別れを告げるが、ドイツ軍の襲撃に遭い、とっさに川に飛び込んだラヘルを除く全員が射殺される。レジスタンスに協力する農民に助けられたラヘルは、チフスで亡くなった死体を装って棺に入って検問を潜り抜ける。彼女は髪をブロンドに染め、エリス・デ・フリースと名前を変えて、ヘルベン・カイパースをリーダーとするグループで働き始める。5ヶ月後、エリスは危険な任務に就くことを打診され、それを引き受ける。元医師のハンス・アッカーマンスと恋人を装って仕事を終えたエリスは、その帰途の列車の中で検査官の目を逃れるためにルートヴィヒ・ムンツェ大尉の個室に飛び込む。切手収集が趣味だというムンツェは彼女を招き入れて、コレクションを見せる。数日後、輸送していた武器が見つかり、ヘルペンの息子ティムらがドイツ兵に連行される。ヘルペンはエリスにムンツェに近づいて欲しいと頼む。エリスはスマールからムンツェが探していたヴィルヘルミナ女王の切手を受け取ると、早速ナチスの諜報部を訪ねる。ムンツェは再会を喜び、彼女をパーティに招待する。エリスはその会場で、ピアノを弾いていたギュンター・フランケン中尉がユダヤ人を皆殺しにした将校だということに気づく。エリスは気分が悪くなるのを悟られないように務め、ドイツ語の歌を披露し、喝采を浴びる。その夜、ムンツェに抱かれたエリスは、フランケンの愛人ロニーとともに働き始める。ある日、エリスは諜報部でスマールと出くわす。彼はムンツェと人質解放の交渉をしていたのだった。エリスは彼から盗聴器を受け取り、ヒムラーの肖像画の裏に仕掛ける。そのおかげで、レジスタンスのメンバーはフランケンとファン・ハインが組んでユダヤ人を罠にかけていたことを知る。ハンスはヘルベンらの反対を押し切り、ファン・ハインの誘拐を目論むが失敗する。信心深いテオは、ファン・ハインが放った地獄という言葉に過敏に反応して
彼を撃ち殺す。その夜、エリスはムンツェに銃を突きつけられ、すべてを話すように迫られる。翌日、カウトナー将軍をともなってフランケンの事務所に現れたムンツェは彼の金庫を検めさせるが、フランケンが隠していると思われた財宝は見つからず、逮捕されてしまう。ヒトラーの誕生パーティが行われる中、レジスタンスのメンバーはティムらを救出するために内部に潜入するが、待ち構えていたドイツ兵に襲撃される。命からがら戻ってきたハンスたちは、フランケンがエリスをねぎらっている声を聞き、彼女が裏切ったのだと思い込む。捕らえられた彼女は、翌朝、ムンツェとともに銃殺刑に処されることになる。

ポール・ヴァーホーヴェン監督の最高傑作。というか、今までヴァーホーヴェン監督って傑作と呼べるような作品、撮ってたっけ?(爆)

全篇、ダレ場なし。
ユダヤ人ヒロインの数奇な運命が次から次へと転がって行き、いささかも飽きることがなかった。何があっても屈しないヒロインを演じるカリス・ファン・ハウテンさんの力強い眼差し(特に川の中から肉親を殺した将校を見るとき)が印象的。

作品としてはもちろん、ナチ占領下のオランダがメインとなるわけだが、監督が本当に撮りたかったのはむしろ、自由を取り戻した後のような気がする。
人々は通りに出て、お祭り騒ぎで浮かれているが、一方でナチスに協力した同胞たちを売国奴として寄ってたかって私刑に処する。
エリスとムンチェも牢獄から抜け出せはいいものの、大手を振って街を歩ける立場ではない。ムンチェは当然として、エリスもドイツ軍のために歌っていたということで裏切者のレッテルを貼られる。捕らえられた彼女には耐え難いほどの屈辱が与えられ、中でも糞尿を頭からかぶせるなど、実にえげつない。
ここに人間の愚かしさが現れている。
やっていることはナチスと同じ、いやむしろそれ以下。痛みを知っているはずの人間が、また別の人間に同じことを繰り返す。
「苦しみに終わりはないの?」と叫ぶ彼女の姿が涙を誘う。
そこへハンスがやってきて、彼女を救ったかと思いきや……。

エリス、いやラヘルはその後、イスラエルのキブツに住むわけだが、ここにも監督の意図を感じる。イスラエルというのは言うまでもなく、ユダヤ人が作り上げた国である。ラヘルが暮らす地域もユダヤ人犠牲者の資金により設立されたという看板が立てられている。その一方で、その地を追われたアラブ人(=パレスチナ人)がいることを私たちは忘れてはいけない。
人間の醜い争いには終りがない。銃弾が飛び交う中で映画が幕を閉じるのも、そのことを象徴しているかのようだった。


★★★★
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