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2007/5/2

『パラダイス・ナウ』  映画道

『パラダイス・ナウ』
Paradise Nowالجنّة الآ/

2005年フランス・ドイツ・オランダ・パレスチナ映画 90分
脚本・監督:ハニ・アブ・アサド  脚本・製作:ベロ・ベイアー
出演:カイス・ネシフ(サイード)、アリ・スリマン(ハーレド)、ルブナ・アザバル(スーハ)、アメル・レヘル(ジャマール)、ヒアム・アッバス(サイードの母)、アシュラフ・バルフム(アブ=カレム)、モハンマド・ブスタミ(修理工場アブ=サリム)、ハナ・シャーラン(ハーレドの母)




イスラエル占領地のヨルダン川西岸地区の町ナブルス。幼馴染みのサイードとハーレドは自動車修理工として働いていたが、客とトラブルを起こしたハーレドはクビになってしまう。サイードは預けていた車を取りに来たスーハに好意を寄せる。彼女の父親は自爆攻撃によって英雄として崇拝されていた。その夜、自爆攻撃を志願する若者を募集しているパレスチナ人組織の交渉代表者ジャマールは、サイードに明日、ハーレドとともにテルアヴィヴで自爆攻撃を決行することを告げる。朝の4時にスーハの家を訪れたサイードは、10年前に映画館を焼き打ちした話をする。翌日、二人は組織の隠れ家で自爆攻撃に望む決意をヴィデオカメラに収める。頭を刈り、髭を剃り、全身を清めて最後の食卓を終えた二人は、腹部に爆弾をくくりつけ、スーツに身を包む。二人はジャマールとともに車でイスラエルとの境界線に送り届けられてフェンスを越えるが、案内役として買収されたイスラエル人との接触に失敗する。ハーレドは引き返すが、サイードはそのままイスラエル領内のバス停の列に並ぶ。やってきたバスに乗り込もうとするサイードだったが、幼い女の子の姿を見て乗るのをためらって引き返す。ジャマールはサイードが捕らえられて裏切ることを考えて隠れ家から撤退しようとするが、サイードを信じるハーレドは彼の母親に会いに行き、スーハとともにサイードの行方を探す。一方、サイードもハーレドを探すために彼の母親に会いに行く。深夜、墓の前でサイードを見つけたハーレドとスーハは、サイードから彼の父親が密告者であったことを打ち明けられる。サイードとハーレドは翌日、改めてイスラエルに向かう。

自爆攻撃(自爆テロという言い方は止めて欲しいんだそうな)の指令を受け取った二人のパレスチナ青年の2日間を描く。
アカデミー外国語映画賞にもノミネートされたが、受賞させないようにという反対運動も起きたとか。ちゃんと観れば、テロを美化したものではないということは明らかなのになぁ。

本篇中で涙を流すほど感動するシーンというのはなかった。
だが、無音のまま流れていくエンディング・クレジットを見ながらズシッと心の奥底に何かがのしかかるのを感じていた。劇場を後にしてからはそれが更にじわじわじわと広まり、映画の内容を反芻していると思わずじわりとこみ上げてくるものがあった。
見終わった後の感覚としては、韓国映画『オアシス』に近いものがある。映画の登場人物のことがずっと頭を離れず、遣る瀬無さに襲われる。
もっと他に方法はないのかと誰もが思う。だが、主人公に取って最後に取る行動以外の選択肢はなかっただろう。それは理屈ではないのだ。

余談だが、サイードとスーハが映画の話をするシーンで、「日本のミニマリスト映画」というフレーズが出てくる。一体どんな作品のことだと思ったら、監督は青山真治監督の『ユリイカ』を念頭に置いてその台詞を書いたんだとか。
う〜む、定義がよく分からんぞ(笑)。

なお、四方田犬彦氏の『パレスチナ・ナウ』にはこの作品について詳述されているので、この映画をご覧になった方には一読をお薦めしておく。


★★★★
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