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2006/12/18

野田地図『ロープ』  演劇道

野田地図(NODA・MAP)第12回公演『ロープ』

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2006年12月5日(火)〜2007年1月31日(水)
Bunkamuraシアターコクーン
S席:9,500円  A席:7,500円  コクーンシート:5,500円

作・演出:野田秀樹
出演:宮沢りえ(タマシイ)、藤原竜也(ヘラクレス・ノブナガ)、渡辺えり子(JHNDDT)、橋本じゅん(カメレオン)、宇梶剛士(グレイト今川)、三宅弘城(AD)、松村武(サラマンドラ)、中村まこと(入国管理局ボラ)、明星真由美(明美姫)、明樂哲典(レスラー北)、AKIRA(レスラー南)、野田秀樹(D)
アンサンブル:梅原晶太、岡慶悟、奥山隆、亀岡孝洋、小島啓寿、沢井正棋、芹澤セリコ、多賀健祐、高木珠里、竹岡英征、野笹由紀子、萩原誠人、長谷部洋子、細川洋平、村上寿子

プロレスラーのヘラクレス・ノブナガは、父親が死んで弱小団体を継ぐことになったが、プロレスが八百長だと知って引きこもりとなる。試合を明後日に控え、タッグパートナーのカメレオンとレフリーのサラマンドラは心配するが、食事も摂ろうとしない。ケーブルテレビ局のD(ディレクター)とADはそんなヘラクレスを隠し撮りすることになり、JHNDDT(自分ひとりでは何もできないディレクターの妻)もついてくる。そしてリング下にはもう一人、コロボックルのタマシイが身を潜めていた。扉から出てきたヘラクレスに見つかった彼女は、末来からやってきたと言い、死んだ父からあらゆることを実況するように育てられたという。その後、Dたちにも見つかったタマシイは、ヘラクレスとグレイト今川との試合を実況することになる。サラマンドラのメッチメイキングにより、ヒール(悪役)を辞めたがっていたグレイト今川が勝つことになっていた試合だったが、突如現れたヘラクレスがグレイト今川を半殺しの目に遭わせる。そのリングサイドには入国管理局ボラの姿もあり、不法滞在者に目を光らせていた。TVクルーの3人は撤退しようとするが、ユダヤ人の社長から電話があり、もっと見せろと要求される。

野田地図、『オイル』以来3年振りの新作。

今回はプロレスの話ということぐらいしか事前情報がなかったが、もちろん野田さんがそのままプロレスの話を書くわけもなく、舞台上に置かれたリングが戦場に見立てられるのはある程度、想定内。
いつものような言葉遊びは少ないが、言葉の一つ一つが今現実に起きている様々な事柄を想起させる。単純に何がどれを象徴しているというようなものではなく、同じ人物、同じ舞台でもシーンによってその形を変える。実に豊潤な戯曲というより他ない。
例えばタイトルの「ロープ」。これはリングに貼られたロープであるのはもちろん、人間の理性も表し、時には国境線、時には戦線、最後には鉄条網に取って代わられる。ロープに投げ飛ばされて跳ね返ってくるレスラーは催眠術にかかったようなものだとし、人間ならば止まれるはずだと訴えかける。
更には「覆面」。覆面により、人間は理性を越えられるのと同時に、人間は顔の見えない相手になら何をしても心が痛まない。戦争とはまさにそうしたもの。具体的にはベトナム戦争が題材として扱われるが、アメリカ人にとってはベトナム人がすべて同じ顔に見えるというところでは、今年の夏に行ったベトナムで見た当時の惨たらしい写真の数々を思い出してしまった。そうして理性をなくした状態でなければ、とてもじゃないがあんな所業ができたものではない。
暴力を暴力とも思わず、何が正義なのかも分からなくなった人間が狂気に突き進む様を圧倒的な力で見せつける。
まだ整理がつかない状況なので思いつくままとりあえず。

宮沢りえさんは喉を痛めているのか、声が出ていないところもあったが、見せ場はきちっと惹きつけるあたりはさすがに華がある。最後の実況中継も頑張っていた。ただ、コロボックルという設定なら深津絵里さんで観たかったなぁ(笑)。
藤原竜也くんはいつもながらの安定感。
橋本じゅんさんは、グレイト今川との試合にフードをかぶって登場するなり「僕はキラなんかじゃない!」と叫ぶアドリブがあり、場内大爆笑。
そのグレイト今川役の宇梶剛士さんは『お父さんのバックドロップ』を彷彿とさせる悪役レスラー。かつて所属していた劇団3〇〇の渡辺えり子さんとの絡みがなかったのが残念。
えり子さんと野田さんは名コンビ。こういう夫婦いそうだなぁ。


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