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2006/12/12

阿佐ヶ谷スパイダース『イヌの日』  演劇道

阿佐ヶ谷スパイダースPresents『イヌの日』
DOG DAYS

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【名古屋公演】
2006年12月12日(火)
名鉄ホール
指定:6,500円

作・演出:長塚圭史
出演:内田滋(広瀬幸治)、伊達暁(中津正行)、美保純(中津和子)、大堀こういち(五味哲彦)、村岡希美(石川陽子)、長塚圭史(西田明夫)、八嶋智人(宮本)、剱持たまき(菊沢真理恵)、中山祐一朗(井口孝之)、松浦和歌子(柴菜緒)、玉置孝匡(小笠原洋介)、水野顕子(高梨彩)、大久保綾乃(福本由希)

高校卒業後、定職にも就かずに遊んで暮らしている中津正行の家には、広瀬五味陽子明夫らの悪友が出入りしていた。十代で正行を産んだ母・和子は、息子に隠れて警察官の五味や陽子の恋人・明夫と関係を持っていたが、和之は母が仲間に入ろうとするのを快く思っていなかった。そんなある日、広瀬は中津からあることを頼まれる。それは、しばらく家を留守にする間、裏にある防空壕にいる人たちの面倒を見て欲しいというものだった。中津は17年前の小学5年生の時、同級生だった真理恵洋介、近所の中学生・孝之、同級生の妹の菜緒を防空壕に監禁し、地上では大変なことが起きていると信じ込ませていた。4人はいまだに子供のように風物を残すことに夢中になっていた。尻込みする広瀬だったが、100万円を渡されて引き受け、中津家に居候する。その頃、陽子は突然連絡が取れなくなった明夫の行方を捜していたが、新しい恋人の宮本を連れてやってくる。借金で住む家をなくしたという宮本も、家事をすることを条件に中津家に転がり込むが、広瀬は「何でもやります」という彼に防空壕の世話を押しつける。ところが宮本は防空壕の4人と意気投合、そのまま彼らと生活をともにするようになる。


2000年初演の作品を大幅改訂して再演。

舞台は1階部分に防空壕が広がり、上段左側に母・和子の部屋、右側に仲間たちが麻雀などをする応接間がある。
上段では始まっていきなり和子と五味がセックスをしていたり、明夫が陽子に金を借りたりといった生々しく俗っぽい世界が展開されるのに対し、防空壕は子供のままの孝之たちが無垢の世界を展開する。

俗世界を象徴する存在が、今回新たに書き加えられた母・和子。
中津の母親に対する想いは屈折していて、それが片想いの相手・真理恵を防空壕に監禁するという行為に走らせる。
だが、他者を介在させてしまったがために、無垢のままでいたはずの真理恵も母・和子のように男を連れ込んでは「触りっこ」をしたりする。
中津の理想郷は音を立てて崩れた。その場を逃げおおせることができても、地上が彼にとって「地獄」であり続けることには変わりがない。

そんな息子の行為を知りながら黙っていた母親の思いも複雑。
すべてが露見してもなお、その罪を被ろうとする。
それは「母親だから」。
余計な理屈など何もいらない。
母親だから、ただ息子に「好きだ」と言ってもらいたいから、だから息子のために何でもするという痛々しくも切ない母親を美保純さんが好演。

上演時間は休憩なしの2時間45分だが、シリアスな場面と笑いの場面がほどよく交じり合い、ぐいぐいと引き込まれていく。『LAST SHOW』と同じく人間の暗部をさらけ出すブラックでどぎつい展開でありながら、そこにいたってしまった人間の弱さ・哀しさを感じさせてくれた。


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