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2006/12/3

『ルート181〜パレスチナ−イスラエル旅の断章〜』  映画道

『ルート181〜パレスチナ−イスラエル旅の断章〜
ROUTE 181 : Fragments of a Journey in Palestine-Israel

2004年ベルギー・フランス・イギリス・ドイツ映画 270分
脚本・監督・製作・出演:ミシェル・クレイフィ、エイアル・シヴァン







イスラエル軍がパレスチナ自治区へ侵攻していた2002年夏、パレスチナ人映画監督のミシェル・クレイフィと、イスラエル人映画作家のエイアル・シヴァンは、1947年に国連決議181号で定められたパレスチナ分割線を「ルート181」という一本の道に見立て、境界線を辿る旅に出る。


告知した手前、観に行かないわけにはいかないでしょうということで、南山大学で行われた上映会へ行ってきた。
270分、4時間半という上映時間ではあったが、南部・中部・北部の三部構成で、それぞれの合間に休憩が入るため、さほど長さは感じなかった。2時間映画を三連荘することに比べたら楽勝楽勝(笑)。

もちろん、内容的にも濃密だった。
日本にいると、なかなかニュースでも詳しく取り上げられることもなく、漠然としか知らないパレスチナ問題について、現地に住む人々の生の声が伝わってくる。
国連決議案181号というのは、パレスチナをアラブ人地域、ユダヤ人地域、国連統治地域に三分割するもので、少数派のユダヤ人に対してパレスチナの3分の1以上を与えるという内容だったため、アラブ人側の猛反発を招いた。翌1948年、ユダヤ人が中心となってイスラエルが突然、建国を宣言したたけ、結局この分割案が実行されることはなかった。土地を追われたアラブ人はパレスチナ難民として、ヨルダン、シリア、レバノンなどに散らばり(イスラエルに留まった人もいて、下級民として差別されている)、アラブ諸国とイスラエルの間に第一次中東戦争が起きる。1993年、オスロ合意によりガザ地区とヨルダン西岸地区にパレスチナ自治区が設けられるが、イスラエル軍は幾度となく侵攻し(最近では今年6月)、いまだ独立は果たせていない。

このドキュメンタリーが特殊なのは、そのパレスチナ人とイスラエル人が共同で監督を務めている点だろう。決して、どちらかの視点に偏ることなく、むしろどちらかに偏ることの方が不自然だと教えてくれる。
複数の人が昔はユダヤ人とアラブ人が仲良くやっていたと口にしていたが、なぜそれが現在のような状況になってしまったのか。また、自分たちだけではどうにもならないという口調も目立った。結局、イスラエル人もパレスチナ人も、政治の犠牲者であり、疲弊しきっているのが感じられた。
映画は国境線の行き止まりで終わる。
ルート181を辿る旅の答えは出ない。解決を見出せない問題に対する閉塞感とともに国境線の無意味さを訴えかけてくるかのようだった。

もうひとつ印象に残ったのは、イスラエルの子供たちが石碑を読んでくれと監督たちに言われるが、それが何の石碑であるかを知らず、自分の生まれる前のことなんて知らないと口を揃えるところ。平和ボケした日本の若者が太平洋戦争や原爆のことを知らなくてももはや驚きもしないが(苦笑)、イスラエルの子供ですらこの程度の歴史認識しか持っていないのかと正直、唖然とさせられた。
そういった意味でも、こうしたドキュメンタリーの持つ意義は果てしなく大きい。


★★★
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