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2006/11/29

『Waiting』  映画道

『Waiting』
Attente

2005年パレスチナ・フランス映画 88分
脚本・監督・製作:ラシード・マシャラーウィ  脚本:オスカー・クロノプ
出演:マフムード・アル=マッサド(アフマド)、アリーン・ウマリ(ビーサーン・ナサール)、ユーセフ・バールード(リュミエール)、アブドッラハマーン・アブ・エル・カッサーム(アブ・ジャミール)、フアード・アル・ショマリ(フアード・アブ・ジアード)、シュクラン・ムルタジャ(アヌアール)、アベド・アスクーリ(バシール・イブラヒーム)




パレスチナ・ガザ地区。亡くなった父の遺品を片付けにきた映画監督のアフマドは、パレスチナ国立劇場の建設現場の監督にあたっているアブ・ジャミールに呼び出され、劇場に出演するパレスチナ人俳優をオーディションするため、撮影をしてきて欲しいと頼まれる。渋るアフマドだったが、アブ・ジャミールの姪でTVキャスターのビーサーン・ナサールとカメラマンのリュミエールとともにヨルダンの難民キャンプへと向かう。ところがオーディションに来たのは祖国に帰りたがっている素人ばかり。アフマドは撮影を中止しようと考えるが、父親を探しているというビーサーンのため、続行することに。続いて向かったシリアでは、アヌアールというパレスチナ人女性の手配で撮影が進められるが、アブ・ジャミールから予算が降りなくなったという知らせが入る。アフマドは、オーディションに来た人々に「待つ」というテーマを与えて撮影を続ける。シリアでの撮影を終えた夜、リュミエールとアヌアールは一晩を過ごすが、アフマドは難民同士の恋は叶うはずがないとすげない。翌朝、アフマドの言葉通りリュミエールが戻ってきて、一行はレバノンとの国境を越える。父アブ・ライルが再婚していたと知り、ショックを受けるビーサーンだったが、現在の住まいを訪ねる。そこには妻と自分にとっては弟にあたる男の子がいた。父はオスロ合意時にシリアに行ったまま、7ヶ月帰ってきていないという。その後、虐殺が行われたシャティーラに案内された一行は、バシール・イブラヒームという俳優を訪ねる。彼についていった難民救済センターで子供たちの食事の世話をしていると、ガザ地区で大規模な爆発があったというニュースが入り、崩壊した劇場が映し出される。アブ・ジャミールは無事だったが、彼から国境が閉鎖されたと聞かされ三人は呆然と立ち尽くす。


アラブ映画祭2006上映作品。

今なお抗争が絶えないパレスチナ。
自治政府は発足したものの、独立への道は長く険しい。
製作は2005年だが、アラファト議長の名前が出てきていたから、撮影は2004年に行われたのだろう。

タイトルの「Waiting」は直訳すれば「待つこと」。
アフマドがオーディションに来た人々に与える課題でもあるが、パレスチナ人全体が今までずっと自分たちの国を持つことを待ち続けてきた。
まだ存在していない国に国立劇場を作るというのも妙な話だが、パレスチナに戻りたい一心でオーディション会場へ来る人々や終盤のシュプレヒコールをあげる人々を姿を見るにつけ、何物にも変え難い故国への想いに心を突き動かされる。
劇中でアフマドが、地球の年齢を46億歳としたとき哺乳類が生まれたのが1年前で云々という話をして、パレスチナ人が待たされいるのはたかだか10分じゃないかと(数字はちょっとうろ覚え)ビーサーンを励ますシーンが印象的。

こうした切実な問題を扱いながらも、オーディション風景はどことなくユーモラスで笑いもある。ビデオレターのようにパレスチナにいる家族に向けてメッセージを喋り始める者、明日の朝までずっと待ってやると寝そべる者、妙な踊りを始める者…。
彼らはある意味、待つことには慣れているかも知れない。
だが、最後に出てきたレバノンの難民救済センターにいる子供たちは身寄りもなく、一人で待ち続けなければいけない。
何が起きてもおかしくない時代。
この先待ち続けて明るい未来はやってくるのだろうか。

これも『長い旅』同様、多くの人に観ていただきたい作品。
中東の知識がなくても大丈夫(私がいい例。笑)。
DVD化なんてしないだろうけど、こういう作品こそNHKが放送すべきなんだよなぁ。そしたら喜んで受信料も払うのに(笑)。


★★★★
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