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2006/8/30

『祇園囃子』  映画道

祇園囃子(ぎおんばやし)

1953年日本映画 85分
監督:溝口健二  脚本:依田義賢  原作:川口松太郎
出演:木暮実千代(美代春)、若尾文子(栄子/美代栄)、河津清三郎(楠田)、進藤英太郎(栄子の父・沢本)、菅井一郎(佐伯)、小柴幹治(神崎)、浪花千栄子(お君)、石原須磨男(幸吉)、志賀廼家弁慶(助次郎)、伊達三郎(今西)、田中春男(小川)、毛利菊枝(女紅場の教師)、柳恵美子(かなめ)、小松みどり(お梅)、小林加奈枝(髪結)、大美輝子(八重)、橘公子(菊春)、小柳圭子(芸妓)、前田和子(女中)、種井信子(舞妓)、三田登喜子(舞妓)、上田徳子(舞妓)、不二輝子(小女)、久松京子(小女)、岩田正(富坂)、牧龍介(崎谷)




祇園では名の売れた芸妓・美代春の元に、母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願にやってくる。美代春は栄子の父でメリヤス問屋の沢本に使いをやるが、零落した沢本は栄子の面倒は一切見ないと保証人になることを拒否する。それでも美代春は栄子の熱意に負け、彼女を舞妓に仕込む決心をする。一年の修行期間を経て、栄子は舞妓として店出しすることになるが、美代春はその費用三十万円を祇園一流のお茶屋「よし君」の女将から借りる。美代栄として初めて座敷に出た栄子は、車輛会社の専務・楠田にすぐに気に入られる。実は栄子の披露目の費用は楠田から出たものだった。楠田は得意先の某官庁課長・神崎と上京する事となり、美代春と栄子も同行する。その夜、楠田は美代春に、彼女に入れ込んでいる神崎の相手をするように言い、自分は別室に栄子を呼んで接吻しようとするが、栄子に唇を噛み切られる。これを聞いた「よし君」の女将は、楠田の商談がまとまらなかったのは美代春のせいだと言い、用立てた三十万円を返すまで二人の茶屋への出入りを禁じる。


「歴史は女で作られる」とはよく言ったもので、金と権力を持った男が何によって動かされるかというと、結局のところ女なのだ。
と同時にそうした駆け引きの犠牲となるのもやはり女なのであるが。

栄子は極めて現代的な娘で、劇中にも出てくる“アプレゲール”そのもの。
当然、伝統やしきたりを重んじる祇園の世界においては、基本的人権などと口にする栄子は異質な存在で、旦那を取るということがどんなことかもまだ理解できていない。
そんな彼女が好きでもない楠田に迫られて彼の唇を噛み切ったのは当然の結果ではあるが、そのために美代春が神崎と一晩をともに過ごすことになる。ここにいたって初めて栄子は舞妓として生きるとはどういうことかを知ることになる。
いつしか姉妹のような絆で結ばれていく二人。
ほのかに祇園囃子が聞こえてくるのが巧い。
ここには女性の悲哀ばかりでなく、したたかさすら感じさせられる。

劇中の美代春と栄子の関係は、そのまま木暮実千代さんと若尾文子さんに重なる。
若尾さんはデビュー2年目で20歳。大女優への一歩を踏み出したばかりで実に初々しく、初めて座敷に出て、酔い潰れて帰ってくるあたりが可愛い。
舞妓の世界でも代々その技が引き継がれていくように、若尾さんがこの作品で木暮さんから学んだことも多かっただろうが、堂々と先輩女優と渡り合っているのは流石。
進藤英太郎さん、菅井一郎さん、浪花千栄子さんといった脇も見事。
お三方とも『近松物語』にも出演していたのだけど、まったくイメージが違うからびっくりさせられる。特に進藤英太郎さんは素晴らしい。
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