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2011/11/14

『恋の罪』  映画道

『恋の罪』
Guilty of Romance

2011年日本映画 144分
脚本・監督:園子温
撮影:谷川創平  編集:伊藤潤一  音楽:森永泰弘
出演:水野美紀(吉田和子)、冨樫真(尾沢美津子)、神楽坂恵(菊池いずみ)、津田寛治(菊池由紀夫)、児嶋一哉[アンジャッシュ](正二)、二階堂智(吉田正男)、小林竜樹(カオル)、五辻真吾(木村一男)、深水元基(AV男優マティーニ真木)、町田マリー(自分を刺した女マリー)、内田慈(土居エリ)、大方斐紗子(尾沢志津)、岩松了[友情出演](スーパーの店長)、大高洋夫(いずみの客)、矢柴邦博(解剖医)、裵ジョンミョン(「魔女っ子クラブ」大久保)、渡辺奈緒子(いずみの友人)、遠藤留奈(同)、陰山泰(美津子の父)、山本亨、松田章(酒屋主人)、鳥山昌克(ヤクザ)、川屋せっちん、光宣(カメラマン)、山中アラタ、龍坐、斎藤嘉樹、堀之内隼人(山下智)、八戸亮、兒玉宣勝、松本雅子、吹上タツヒロ、麻美(とも子)、松永裕子[現・松永晃幸](ひろこ)、浜田翔子(デリヘル嬢)、小滝かれん(同)、岸田茜、高橋慶子、町田佳代、仁村俊祐、恵美秀彦、田中和也、我妻三輪子、加藤裕月、尾畑美依奈(デリヘル嬢)、中谷梨紗、西川綾乃、大塚麻恵(デリヘル嬢)、三浦真由(同)、瀬戸ありさ、早月れい、溝口諭、池原丈暁、村山咲希、本田英之[男子]、本田彩乃[男子]、CYNTHIA CHESTON(娼婦)、ALE MERCURI、JENNY MICALIZZI、JESSICA CLAROS DOMINGUEZ、清水優、朝岡聡


   


殺人課の刑事、吉田和子(38才)。激しい雨が降る中、ラブホテルで浮気相手とセックスをしている最中、後輩刑事・木村一男から携帯に連絡が入る。渋谷区円山町の廃墟と化した木造アパートで女性の死体が発見されたのだ。マネキンと接合されている凄惨な変死体。壁には「城」と大きく書かれた謎めいた血文字があった。優しい夫と可愛い娘に恵まれながら、密かに心と体の渇きを抱えている和子。彼女は事件の被害者女性に私的な興味を覚えながら、捜査を進めていく……。専業主婦、菊池いずみ(29才)。ベストセラー作家の菊池由紀夫を夫に持つ彼女は、貞淑な妻として静かな毎日を過ごしていた。しかし仕事場へと夫を送り出した後は、家事以外に特にすることもなく、食事も大抵ひとりで取る。いつしかいずみは寂しさと虚しさを感じていた。そんなある日、近所のスーパーマーケットでアルバイト募集の貼り紙を見つけたいずみは、昼間、食品売場で働くことを決める。「いらっしゃいませ……ソーセージはいかがですか?」おどおどと慣れない試食コーナーに立つ彼女に、スーツ姿の土居マリが声をかける。モデルプロダクションのスカウトと聞いたが、翌日スタジオに出かけたいずみを待っていたのはアダルトビデオの撮影だった。しかし、その日からいずみは変わり始める。女としての喜びに目覚め、職場でもすっかり明るくなった彼女は、夫には内緒で自ら男を誘って寝るようにもなった。まもなく渋谷でカオルという名の若い男に声を掛けられたいずみは、道玄坂でひとりの女と運命的な出会いを果たす。その名は尾沢美津子(39才)。派手なメイクとファッションで街角に立つこの売春婦は、表向きの顔は東都大学で日本文学を教える助教授だった。誰もが認めるエリートとして生きる才媛の、裏に隠された過激な本性。昼と夜の二重生活を送る彼女にいずみは惹かれ、大学の講義にも顔を出し、行動を共にするようになる。「わたしのとこまでおちてこい」──まるで悪魔のようなささやきに導かれながら、いずみは美津子と共に廃墟アパートで男たちにカラダを売った。やがて、人々の業火がむきだしとなって渦を巻く美津子と、母親の志津に隠された戦慄の家族関係。いずみが美津子に誘われ、ともに勤めるデリヘル「魔女っ子クラブ」に客として電話をかけてきた由紀夫。これまで隠蔽されてきた人間関係の澱みがすべて晒される。カタストロフィーの時は近い。激しい愛憎がエスカレートして、互いに向けられる殺意。3人の女の行き着く果ては──。【パンフレットより】

園子温監督が『冷たい熱帯魚』に続き、実際に起きた殺人事件にインスパイアされて作り上げた作品。

園子温監督、絶好調。
次回作『ヒミズ』もヴェネチア国際映画祭で主演の2人がマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞するなど高い評価を受けているし、一体この快進撃はいつまで続くのか。

東電OL殺人事件に着想を得ている本作は、暴力描写や性描写に溢れているとは言え、決してセンセーショナルなだけではなく、詩人でもある園監督の本領が発揮されている。
劇中、繰り返されるのが田村隆一さんの「帰途」という詩。
  言葉なんかおぼえるんじゃなかった
  日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
  ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
この詩がいずみと美津子を分かちがたく結びつける。全集を買い揃えるほどの田村隆一ファンとしては、映像作品の中でこれほど重要かつ効果的な使われ方をしていて嬉しい限り。

ベストセラー作家の貞淑な妻を演じているいずみは、スカウトされたことがきっかけで女性としての本性に目覚め、昼は大学助教授、夜は売春婦をしている美津子が出会うことにより、深みに堕ちていく。
そんな2人に比べると、女性刑事の和子は一見まともに見えるが、実のところは何ら変わりはしない。劇中でも和子が後輩刑事にもし自分が売春していたらどうする?と聞くシーンがあるが、和子もいずみや美津子のようになっていたとしても何らおかしくない。
それが如実に現れているのが激しい雨が降る中、ラブホテルのシャワールームで、和子が浮気相手とセックスをしている冒頭のシーン(なお、雨とシャワーのシーンはこの後もたびたび繰り返され、その音が通奏低音となっている)。彼女には家庭があり、仕事も順調そうではあるが、満たされないものも抱えている。
そしてエピローグでは、ゴミを出そうとして収集車を追いかけるうち、和子は円山町に迷い込む。そこへ浮気相手から電話があり、どこにいるのかと聞かれて「分かんない」と答える。CHAPTERのタイトルは「おしまい」となっているが、むしろこれから新たな事件の「はじまり」を予兆させて映画は終わる。

『WAYA!』に続いての水野美紀さん出演作となったが、作品のテイストは正反対。本作ではどうしても残りの2人の印象が強くなってしまうが、抑制された演技で観客と彼女たちの橋渡し的役割を果たしていた。
園子温監督と結婚する神楽坂恵さんは前作に続いての熱演。
特に全裸で姿見を見ながら「いらっしゃいませ。ウィンナーはいかがですか?」と売り子の練習をするうちに段々テンションが上がってくるあたりが出色。
そんな彼女を堕落の道へと誘(いざな)うメフィストフェレス的役割を果たす冨樫真さんも凄いし、彼女と笑いながら「死ねばいいのに」などと言い合う大方斐紗子さんの怪演も忘がたい。


★★★★

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