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2011/5/29

『ひとごろし』  映画道

『ひとごろし』

1976年日本映画 82分
監督:大洲齋
製作:永田雅一  企画:金丸益美、西岡善信
原作:山本周五郎(新潮文庫版)  脚本:中村努
撮影:牧浦地志  美術:西岡善信  編集:山田弘
音楽:渡辺宙明  助監督:奥家孟
出演:松田優作(双子六兵衛)、丹波哲郎(仁藤昂軒)、高橋洋子(およう)、五十嵐淳子(かね)、桑山正一(宗方善兵衛)、岸田森(加納平兵衛)、永野達雄、西山辰夫、原田君事、石原須磨男、藤川準、堀北幸夫、沖時男、遠山欽、花岡秀樹、暁新太郎、津奈美里ん、倉谷礼子、市川海四郎、丸山清一、馬場勝義、諸木淳郎


   


越前福井藩きっての臆病者といわれている若侍双子六兵衛が突如、誰も引き受け手のない「上意討ち」を買って出た。相手は藩主が可愛がっていた御側小姓加納平兵衛を意趣あって斬り、退藩した藩のお抱え武芸者仁藤昂軒で、剣術と槍の名人であった。六兵衛には、もちろん剣の腕はあるはずもない。ある夏の日、妹かねのとめるのもきかず六兵衛は、太陽の照りつける北国路を昂軒を追って旅に出た。三日目に六兵衛は昂軒に追いついた。だが、その後姿を見ただけで心臓がとまるほど彼は恐怖にふるえあがった。その翌日、六兵衛はこともあろうに昂軒を追い越してしまい、昂軒に呼び止められた時、失神寸前の状態で思わず「ひとごろし」と叫んで夢中で逃げ出した。ところが、この一声が意外な効果を生んだのだ。往来の旅人や土地の人たちが、六兵衛の叫びを聞き、昂軒の容姿を見るなり大混乱を起こして、恐怖におののいて逃げまどった。それを見て六兵衛は急に元気づいて来た。昂軒が茶店へ入れば道の上から「その男はひとごろしだ。いつ人を殺すかわからないぞ」と喚きたてる。宿屋でも、飯屋でも、昂軒の行くところ、必死で六兵衛は叫びつづけた。相手の昂軒も手を束ねていたわけではない。六兵衛の前に立ふさがったり、時に不意を襲って「尋常に勝負しろ、侍らしくかかって来い」という。しかし六兵衛は、あくまで用心深く慎重で、同じ事を叫んでは素早く逃げた。そして昂軒の手のとどかぬ一定の距離を保ったまま、どこまでも追いつづけて叫んだ。街道や宿湯の人びとは、昂軒を恐れ、遠ざけた。彼はだんだん睡眠不足と空腹に追い込まれてノイローゼになっていく。六兵衛は自分が憶病であることを逆用したのだ。旅篭の女王人おようが六兵衛に味方して、昂軒を一緒に追った。富山では、藩の奉行所の与力宗方善兵衛が味方した。遂にグロッキーになった昂軒は、道端に座り込んで切腹するといい出した。六兵衛はあわてて止めた。「それは困る、私という討手がいるんだから」。そして六兵衛は昂軒の髷を切るという方法で、この上意討ちを首尾よく終えることに成功したのであった。【「キネマ旬報映画データベース」より】

松田優作さん時代劇初主演作品。

「ひとごろし」とはまた何とも物物しいタイトルであるが、この言葉が何度も繰り返されるたびに笑えてきてしまうのだから面白いものである。「人殺し」ではなくあえて「ひとごろし」としているのも、そうした柔らかさを醸し出している。

松田優作さんが主演だから、てっきり孤高の剣の達人にでも扮しているのかと思いきや、まったく正反対の臆病者。このままでは妹かね(おお、中村雅俊夫人)の嫁ぎ先がないということで上意討ちを買って出るも、お尋ね者の仁藤昂軒はまともにやって勝てる相手ではない。
そこで思いつくのが、仁藤に向かって「ひとごろし」と叫んで、精神的に参らせようという作戦。せこい、せこすぎる。未だかつてこんなせこい侍は見たことがない。
またその相手が丹波哲郎さんというのがナイスキャスティング。
ただ、最後がちょっとあっけなかったかな。

ちなみに山本周五郎さんによる原作は本作に先駆けること4年、『初笑いびっくり武士道』というタイトルで映画化されていて、主演がなんとコント55号。ドラマ化された際には三木のり平さんや植木等さん、舞台化されたときは森繁久彌さんが六兵衛を演じていて、やはりコメディアン向きの役なのね。

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