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2010/8/25

『霧の中の風景』  映画道

『霧の中の風景』
Τοπίο στην ομίχλη

1988年ギリシャ・フランス映画 125分
原案・脚本・監督・製作:テオドロス・アンゲロプロス
脚本:トニーノ・グエッラ、タナシス・ヴァルニティノス
撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス  音楽:エレニ・カラインドロウ
出演:ミカリス・ゼーケ(アレクサンドロス)、タニア・パライオログウ(ヴーラ)、ストラトス・ジョルジョグロウ(オレステス)、イリアス・ロゴテティス(カモメ)、ミハリス・ヤナトゥス(駅長)、コスタス・ツァペコス(警官)、ディミトリス・カンベリディス(伯父)、ヴァシリス・コロヴォス(トラックの運転手)、ソクラテス・アラフォウツォス(オートバイを買う若者)、イェラシモス・スキアダレシス(兵士)





夜のアテネ駅。11歳の少女ヴーラと5歳の弟アレクサンドロスは、ドイツにいる父に会いに行きたいが、列車に乗る勇気はなかった。しかしある日、ついにふたりは列車に飛び乗り、切符がない2人はデッキで身を寄せて眠る。そしてヴーラは父に向けて話しかけるのだった。無賃乗車を車掌にみつかった2人は途中の駅で降ろされ、ヴーラは駅長に伯父さんに会うのだ、と答える。伯父の勤める工場のコントロール・ルームで警官に、ふたりは私生児で父はいない、と語る伯父の話を立ち聞きしたヴーラはショックをうける。そして警察署に連れていかれたふたりはそこから逃げ出し、夜行列車に乗り込み、旅を続けるのだった。山道で、ふたりはオレステスという旅芸人一座の青年の運転するトラックに乗せてもらい、町はずれの広場にやって来る。その夜、2人はオレステスから霧がかかったように白いだけで何も写っていないフィルムの切れはしをもらう。雨のハイウェイで2人はトラックの運転手の車に乗せてもらうが、翌朝アレクサンドロスが眠っている間にヴーラは運転手に犯される。ふたりの乗った列車に警官たちが乗り込んでき、逃げた工場でオレステスに再会する。ふたりはオレステスのオートバイで海岸を走り、テサロニキ駅にたどりつく。ふたりは夜の列車に乗ることにする。徴兵され軍に入るオレステスは、オートバイを売るためひとりの青年と出て行き、残されたふたりは追いかけてきたオレステスを振り切り、夜のハイウェイを歩く。北方の駅で、ヴーラは人のよさそうな兵士を誘い切符代を稼ごうとするが、彼は何もせず金を投げ捨てるようにして去った。列車に乗ったふたりは、旅券がないので夜、川べりで監視の目を盗んでボートに乗る。彼らに向けて放たれる一発の銃声。翌朝、霧の中で目覚めたふたりの前に、緑の草原と一本の木が現われ、ふたりは木に向かって歩き出すのだった。【「キネマ旬報映画データベース」より】

ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作。

幼い姉弟がまだ見ぬ父を求めてドイツを目指すロードムービー仕立てということもあって、テオ・アンゲロプロス監督の作品の中では分かりやすい部類に入るだろう。

ヴーラがトラックの運転手に犯されるというショッキングな展開があるが、ここで監督は運転手がヴーラを連れ込んだ幌の降りたトラックの背部を映し続ける。その中で少女に起きている悲劇とは無関係に、付近の道路では車が行きかい、助手席で寝ていたアレクサンドロスが姉を探しにやってくる。
そして運転手が降りた後、ヴーラは手についた血を眺め、やがておもむろにトラックの幌になすりつける。
その後、ヴーラは旅芸人のオレステスから距離を置き始める。恐らくは彼に対して淡い初恋のような感情が芽生えていたのだろうが、それすらも無残に打ち砕かれてしまった。
本当に恐ろしいのは、彼女が切符を買う金を手に入れるために、兵士に声をかけるくだり。彼女はもはや人間らしい感情すらも失ってしまったかのように見える。

姉弟の旅はドイツにいるという父親に会いに行くというのが目的だが、早々にそれは否定されてしまう。それでもラスト、文字通り霧の中の風景から徐々に一本の木が姿を現し、姉弟が手を繋いで木に向かっていく足取りにはほのかな希望が感じられた。

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