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2010/7/26

『彼とわたしの漂流日記』  映画道

『彼とわたしの漂流日記』
김씨표류기/Castaway on the Moon

2009年韓国映画 116分
脚本・監督:イ・ヘジュン
撮影:キム・ビョンソ  編集:ナム・ナヨン  音楽:キム・ホンジプ
出演:チョン・ジェヨン(キム・ソンゴン)、チョン・リョウォン(キム・ジョンヨン)、ヤン・ミギョン[特別出演](女キムの母)、パク・ヨンソ(チンチャ楼出前持ち)、ク・ギョファン(公益要員1)、イ・サンイル(公益要員2)、ミン・ギョンジン(アパート警備員)、チャン・ナミョル(バスの運転手)、イ・ジョンウォン(幼いキム氏)、イ・サンフン(キム氏の父)、ホン・ミニ(キム氏の母)、チャン・ソヨン(キム氏の恋人スジョン)、イム・チェソン(遊覧船乗客)、ウォン・チャンヨン(面接官1)、ワン・テオン(面接官2)、ソン・ソングン(面接官3)





キムは不運が重なって多額の借金を背負い、ソウルの中心を流れる川・漢江に身を投げる。しかし気がつくと、生態景観保護地域として一般人の立ち入りが制限されている川の中の無人島に漂着していた。彼は再び自殺を試みるが、サルビアの蜜を口にし、生きる希望を見出す。彼はアヒルのボートを住処にして、無人島で暮らし始める。漢江の対岸の高層マンションに住む“わたし”は、3年間引きこもっている。半年に1度行われる訓練空襲は20分間、全国民が一斉に屋内に避難し、交通もストップする。そのとき彼女は、島で自殺を試みるキムと、砂浜に書かれた“HELP”の文字を見つける。彼女はキムを地球外生命体だと思い、観察を始める。ジャージャー麺が食べたくなったキムは、トウモロコシの畑を耕し始める。2ヶ月間観察を続け、砂浜の文字が “HELLO”に変わったことに気づいた“わたし”は、キムへの手紙を入れたワインボトルを流すため、3年振りに外へ出る。3ヶ月後、キムがまいた種が芽を出す。同じころ、キムはワインボトルを見つける。“HELLO”と印刷された手紙を見て、自分が誰かに見守られていたことを知る。3ヶ月と17日後、砂浜の文字が“HOW ARE YOU?”に変わる。“わたし”は、再び返事を届けに行き、キムのためにジャージャー麺の出前を注文する。出前の店員はキムにジャージャー麺を届けるが、彼は受け取らず、ジャージャー麺は希望だと彼女への伝言を頼む。ある晩、市内を台風が襲う。畑はめちゃくちゃになり、キムの住処も流される。翌日、島の浄化のために島を訪れた作業員が彼を発見し、島から出るよう告げる。無理やり対岸へ連行された彼は再び自殺をするため、バスで63ビルに向かう。それを見ていた“わたし”は、キムの乗ったバスを追いかける。そのとき、訓練空襲が始まる。停車したバスに乗り込んだ“わたし”はキムに向かい、“キム・ジョンヨン”と名乗る。【「キネマ旬報映画データベース」より】

『ヨコヅナ・マドンナ』のイ・ヘジュン監督、単独監督デビュー作。

トム・ハンクスさん主演の『キャストアウェイ』やもうすぐ公開の『東京島』など漂流もの数あれど、川の中の無人島に漂流するというのは前例がないのでは。
この映画に出てくるパム島は生態景観保護地域で一般の出入りは禁止されており、今回の撮影も特別に砂浜だけに限って許可されたとか(森のシーンは別の場所で撮影)。
漢江に身投げした男がそんな無人島に辿り着くという設定がまず面白い。
泳げないキム氏は魚を獲ろうにも銛で足を突いて失敗。頭を洗っていたら、海に流れ出した洗剤で魚が浮かんでいてようやく食糧ゲット。翌朝になると、その魚を食べた鳥が死んでいてタンパク質を補給、といった具合に無人島生活に馴染んでいく。

一方、女性のキムは顔のあざのために高校を中退、3年間引きこもって他人の写真を使ってブログを書いている。母親に何か欲しいものはあるかと聞かれれば、メールで返事をする。
夜になると月を撮影するのを日課としているが、半年に一度の訓練空襲の時は(現在でもやってるんだねぇ…)、誰もいない街にレンズを向ける。それがきっかけで無人島生活を送るキム氏を発見するのだが(誰も見ていないと思って下半身丸出し。笑)、この設定が最後にも効いてくる。

男性のキムが砂浜に書いた「HELLO」に対し、女性のキムは「HELLO」とだけ印刷した紙をワインボトルに入れて届けようとする。3年間まったく家から出ていなかった女性が、おもちゃのロボットで警備員の気を引いた隙にアパートを飛び出し、フルフェイス・ヘルメットと傘で身を隠しながら漢江に向かい、無人島目がけてワインボトルを投げる。
彼女にとってそれがどれだけの冒険であったことか。

キム氏が木に引っかかったそのボトルに気づくまで3ヶ月(笑)。
そこから徐々に2人の交流が始まり、「HOW ARE YOU?」、「FINE, THANK YOU. AND YOU?」といった中学校レベルの英会話のやりとりが続く。
だが、「WHO ARE YOU?」という問いかけには答えることができない女性。

男性のキムも女性のキムも現実世界には居場所がない。
男性のキムはようやく見つけたと思った自分の居場所を追われ、女性のキムもネット世界での居場所を失う。現実と向き合わなければならなくなった時、2人はバスの中で遂に出会う。
傍目から見たら、美男美女とは程遠くみすぼらしい格好の2人だが、これほど美しくてピュアな出会いの場面は近年記憶にない。特に女性のキム役のチョン・リョウォンさんのひたむきさが胸を打つ。

正直、キャスト的には集客力に欠けるが、見逃してしまうには惜しい作品である。キャストが地味なのに日本で一般公開されたということはそれだけ作品の質が高いという証左でもあるのだが、やっぱり話題作に目が行ってしまうわなぁ(ぶつぶつ)。


★★★1/2

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