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2010/7/23

山本弘『去年はいい年になるだろう』  読書道

『去年はいい年になるだろう』

著者:山本弘
出版社:PHP研究所
出版日:2010年4月2日





2001年9月11日、24世紀から「ガーディアン」と名乗るアンドロイドたちがやってきた。圧倒的な技術力を備えた彼らは、世界中の軍事基地を瞬く間に制圧し、歴史を変えていく。しかし彼らの目的は、人類の征服ではなく、「人を不幸から守ること」だった――。ガーディアンのもたらした情報によって、本来の歴史で起こった自然災害、テロ、戦争、大事故などが防げるようになった一方、未来の自分からのメッセージに翻弄され、人生が大きく変わってしまう人も多くいた……。主人公は45歳のSF作家、山本弘。10歳年下の妻・真奈美と5歳の娘・美月とともに幸せに暮らしていたが、事件翌日、美少女アンドロイド「カイラ211」の訪問を受け、 AQ(知り合い)に選ばれたことを知る。未来の自分からのメッセージと作品データを、カイラから受け取る主人公。それは、彼の人生に大きな波紋を起こしていく。【出版社公式サイトより】

と学会会長・山本弘さんによる歴史改変SF。

こうした設定のSF自体は特に目新しいものではないのだろうけど、主人公が作者本人というのはちょっと珍しいかも。その主人公は未来の自分から自分の作品の入ったCD-ROMを受け取るのだが、『アイの物語』、『神は沈黙せず』などのタイトルどころか作者の名前すら知らなかった私としては、それらの作品について2001年の「僕」がよく書けているだの何だのと自画自賛しているのはホンマかいなと思ってしまう。
他にも「と学会」のメンバーや唐沢俊一さんらが実名で登場するので、山本弘さんのファンであればあるほど楽しめる部分はあるのだろうが、ストーリー自体はそれなりに面白く読み進めることができる。

ただ、根本となるアンドロイドの行動はよく理解できなかった。彼らはたとえば2010年に出現したら、10年間活動をして、次に2009年に現れて更に10年間活動し、更に2008年に現れて…と繰り返し、今回2001年に現れたことになっているのだが、どうしていちいち本来の歴史から分岐した歴史を作る必要があるのかがよく分からない。
こういうパラレルワールドものは考えれば考えるほど訳が分からなくなってくるのだが、やはりタイムパラドックスの原則に従って、改変しないで欲しいよね(笑)。本来の歴史から枝分かれした歴史が多数存在するのはいいとして、じゃあ本来の歴史の立場はどうなるのと思ってしまう。この辺り、今ひとつSFマインドに欠けるせいか釈然としない。

この作品には「9・11テロ」がなければ、世界はもっとましなものになっていただろうかという大前提があるのだが、アンドロイドの出現によって歴史が変わったところで、結局は遥か未来からアンドロイドに恨みを持つエクスキューショナーたち(脳髄だけを取り出した人類)が現れて更に大きな災厄を巻き起こす。
現実問題として過去に起きたことを変えることはできない。
我々はそれを受け容れて日々を過ごしていくしかないのだ。

で、結局この作品って長い長い妻へのラブレターなのね(笑)。
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