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2010/6/28

『春との旅』  映画道

『春との旅』

2009年日本映画 134分
原作・脚本・監督・アソシエイトプロデューサー:小林政広
エグゼクティブプロデューサー:奥田尚志
プロデューサー:紀伊宗之、小林直子
アソシエイトプロデューサー:脇田さくら
音楽:佐久間順平  撮影監督:高間賢治
照明:上保正道  美術:山﨑輝  録音:福田伸
編集:金子尚樹  助監督:石田和彦  音響効果:瀬谷満
装飾:鈴木隆之  衣装:宮本まさ江  ヘアメイク:小沼みどり
制作主任:棚瀬雅俊 タイトルデザイン:山田英二 メイキング:真利子哲也
出演:仲代達矢(中井忠男)、徳永えり(中井春)、大滝秀治(忠男の兄・金本重男)、菅井きん(その妻・金本恵子)、小林薫(元漁師・木下)、田中裕子(忠男の弟の内縁の妻・清水愛子)、淡島千景(忠男の姉・市山茂子)、柄本明(忠男の弟・中井道男)、美保純(その妻・中井明子)、戸田菜穂(真一の後妻・津田伸子)、香川照之(春の父・津田真一)、山本哲也(喫茶店マスター)、長尾奈奈(ホテル受付)





北海道の四月は、まだ寒い。七十歳を疾うに超えた老漁師・忠男は、孫娘の春と共に寂れた海辺に建つ粗末な家を出た。左足が不自由にも関わらず荒々しく先を急ぐ忠男。リュックを背に後を追う春。増毛駅からローカル線に乗って、そこから東北・宮城へ――。これまでは祖父と孫娘の二人暮らし。忠男の娘、つまり春の母親が、五年前に自死して以来、春が一人で忠男の世話をしてきたのだった。だが、勤めていた小学校が廃校になり、春は給食係の職を失った。春が東京に出て職を探すと言い出したので、疎遠になった忠男の兄弟たちを巡っての居候先探しの旅が始まったのだ。妻に先立たれて長い忠男の目的は、老いた独り身の居候先だった。二人が最初に訪ねたのは、養子に出た忠男の兄、高齢に至った重男夫婦の屋敷だった。兄弟の中でも最も反りの合わない重男に、まず当たってみた。返事はノー。なぜなら重男は老妻・恵子と共に、順番待ちしていた老人ホームに入居が決まったばかりだったからだ。忠男と春はすごすごと長男家を辞した。旅先の民宿で忠男は酒を飲んだ。二十年ぶりの酒の味。その昔、忠男は羽振りのいい豪気な漁師だった。いつまでも「ニシン漁よ、再び」と夢を見ているうちに、今では体を壊し、無一文の身になっていたのだ。二人は、忠男の父親の墓参りを済ませた後、弟・行男のアパートを探したが、その姿はなかった。ところが昼食を取りに入った定食屋で、店の女主人・愛子が行男の内縁の妻であることを知った。聞けば行男は、他人の罪を被って長く服役中の身だという。忠男が一番気の合う律儀な弟は、もはや娑婆に住む人間ではなくなっていた。「あの人は刑務所の中でしか生きられないのよ」愛子の言葉が忠男の耳に残った。二人はやがて、忠男の姉・茂子のいる鳴子を訪れていた。昔からしっかり者の姉は、鳴子温泉街で旅館を切回していた。忠男はこの姉だけには頭が上がらなかった。「働かざる者食うべからず」の言葉で忠男を諭す茂子は、代わりに春の手を借りたいと申し出た。やがては春を後継者にしたいとまで思った茂子だったが、春はその申し出を断った。忠男を一人にするには忍びなかった。二人はこうして茂子の許を辞した。「もう会えないかも知れねえけどな」弟の言葉に、見送る茂子の目に涙が光った。忠男と春の姿は、仙台駅前にあった。二人は、この地に養子に出て不動産業を営んでいる筈の弟・道男の会社を探したが、その場所は空き地になっていた。探しあぐねて疲れ切った忠男の我侭に、さすがの春も怒った。二人は、ようやく弟夫婦の住むマンションに辿り着いた。道男は、不況の煽りを食ってか、明らかに経営に失敗していた。今まで勝手放題、尊大に生きてきた忠男に反感を抱いてきた道男は、「今更何だ!」と、バカヤロウ呼ばわり。忠男と道男は、忽ち取っ組み合いの兄弟喧嘩になった。その夜、道男が取ってくれたホテルのスウィートルームに、祖父と孫娘は、居た。「駄目だったな、全部、駄目だった」と、呟く忠男。すると春が急に父親に会いたいと洩らした。仲違いこそあれ、忠男と肉親たちの絆に、春は反応していたのだ。兄弟のいる忠男が羨ましいと。翌朝、二人はフェリーに乗り、苫小牧の港に着いた。春の父、真一は、後妻の伸子と共に、静内の地で牧場を経営していた。伸子は、春が驚くほど亡き母に似ていた。忠男は、真一と春を父娘二人きりにして外へ出た。伸子はそんな忠男にこう問いかけた。「よかったら、お父さん、一緒に暮らしませんか」と。居間では真一の前で、春が堰を切ったように泣いていた。これまで健気に耐えていた悲苦が涙と共に溢れ出し、春の心を大きく変えていた。やがて忠男と春は、そっと真一夫婦の牧場を後にした……。帰途、二人が立寄った蕎麦屋は、他に客の姿もなく、うら寂しい店だった。以前、忠男は、一人娘、春の母親とここに来たことがあった。春を身籠った娘と共に、この地まで真一の実家を訪ねたことがあったのだ。――そこで春は、ある決心を忠男に告げた。忠男の老いの目に涙が溢れた。二人の姿は増毛へ向かうローカル電車の中にあった……。【「CINEMA TOPICS ONLINE」より】

小林政広監督最新作。

偏屈な老人と19歳になる孫娘のロードムービー。
冒頭の忠男のただならぬ様子から、波乱の旅の始まりを予感させる。
忠男は小学校しか出ておらず、漁師として見果てぬ夢を追い続けてきたような男。コーヒーすら飲んだことがなく、学会なんてものは知るわけがない。
5年前、忠男の娘であり、春の母親が自殺して以来、春が忠男の面倒を見てきたわけだが、恐らく春の母親は離婚して亡くなるまでまともに母親の役割を果たしてきたとは思えず、忠男が幼い春を育ててきたのだろう。
それが感じられるのが、箸の持ち方。仲代達矢さんが正しい箸の持ち方ができないはずはなく、徳永えりさんも同じような箸の持ち方をしているということは、監督の演出としか思えない。
がに股でひょこひょこ歩く姿もよく似ている。

旅を通じ、二人の絆は強まっていく。
二人は様々な人に会いに行くが、それらを演じるのが大滝秀治さん、菅井きんさん、小林薫さん、田中裕子さん、淡島千景さん、柄本明さん、美保純さん、戸田菜穂さん、香川照之さんと錚々たる顔ぶれ。もうこの人たちの演技を見ているだけで至福のひと時(柄本明さんだけは少々浮いていたが。笑)。

中でも私の琴線に触れたのは戸田菜穂さん。
春と同じく母子家庭に育ち、左耳が聞こえないという設定のこの女性は、初めて会ったばかりの忠男を「お父さん」と呼び、一緒に暮らすことを提案する。台詞は多くはないが、その表情だけで彼女のそれまでの人生を感じさせてくれた。

仲代達矢さんは『引き出しの中のラブレター』に続いて北海道の漁師役(本作ではもう引退しているが)。この演技形態は苦手な人には苦手かも。
徳永えりさんさんはベテラン勢の中にあって大健闘。
やはり私の目に狂いはなかった(笑)。

一つ引っかかったのは春の衣裳。
赤いジャンパーの下は黄色のタートルネックにオレンジのベスト、白のミニスカートというとてつもなくダサい格好(笑)。まぁそれだけなら、春の田舎臭さを出すためと捉えておけばいいが、旅の間中ずっと同じ格好というのはいくら貧乏暮らしとはいえ、ちょっと無理があったのでは。


★★★

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