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2010/6/24

『キャタピラー』  映画道

『キャタピラー』
CATERPILLAR

2010年日本映画 85分
企画・製作・監督:若松孝二
脚本:黒沢久子、出口出
撮影:辻智彦、戸田義久  編集:掛須秀一
美術:野沢博実  衣裳:宮本まさ江
音楽:サリー久保田、岡田ユミ  演奏:中本文、MITUKO、田中麻衣
主題歌:元ちとせ「死んだ女の子」
出演:寺島しのぶ(黒川シゲ子)、大西信満(黒川久蔵)、河原さぶ(村長)、石川真希(村長夫人・清子)、小倉一郎(ラジオの声)、吉澤健(父・黒川健蔵)、篠原勝之(クマ)、粕谷佳五(弟・黒川忠)、増田恵美(妹・黒川千代)、種子(弥生)、折笠尚子(登志子)、地曵豪[友情出演](軍人1)、ARATA[友情出演](軍人2)、飯島大介(司令部軍人)、小林三四郎(村の男1)、金子貴明(村の男2)、安部魔凛碧(中国の女1)、寺田万里子(中国の女2)、柴やすよ(中国の女3)、椋田涼(日本兵1)





一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に、「生ける軍神」と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることの無い久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。四肢を失い、言葉を失ってもなお、自らを讃えた新聞記事や、勲章を誇りにしている久蔵の姿に、やがてシゲ子は空虚なものを感じ始める。久蔵の食欲と性欲を満たす事の繰り返しの日々の悲しみから逃れるように、シゲ子は「軍神の妻」としての自分を誇示するかのように振る舞い始める。日本の輝かしい勝利ばかりを報道するニュースの裏で、東京大空襲、米軍沖縄上陸と敗戦の影は着実に迫ってきていた。そして久蔵の脳裏に忘れかけていた戦場での風景が蘇り始める。燃え盛る炎に包まれる、中国の大平原。逃げ惑う女たちを犯し、銃剣で突き刺し殺す日本兵たち。戦場で人間としての理性を失い、蛮行の数々を繰り返してきた自分の過ちに苦しめられる久蔵。混乱していく久蔵の姿に、お国の為に命を捧げ尽くす事の意味を見失い始めるシゲ子。1945年8月6日広島、9日長崎原爆投下。そして15日正午、天皇の玉音放送が流れる中、久蔵、シゲ子、各々の敗戦を迎える。【公式サイトより】

寺島しのぶさんがベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞して話題となった若松孝二監督最新作を先行上映会にて鑑賞。

タイトルの「キャタピラー」とは「芋虫」のこと。
四肢を失って戦場から戻ってきた主人公を芋虫に見立てているわけだが、これは当然、江戸川乱歩の「芋虫」からのイメージ。ベルリン国際映画祭時の報道では「芋虫」が原作という情報もあったように記憶するが、実際のストーリーはだいぶ異なっているし、原作のクレジットもない。ま、『ジョニーは戦場へ行った』も乱歩が原作とは書いてないしね(笑)。

この日は若松監督、寺島しのぶさん、大西信満(しま)さんの舞台挨拶つき。寺島さんは銀熊賞のトロフィーも披露。
そこで若松監督が言っていた「国家を信じてはいけない」という言葉に尽きる。
四肢を失い、食欲と性欲のみが残った久蔵はもはや人間とは呼べない。勲章と自分の活躍を伝える記事だけが辛うじて彼が人間であることを証明するもの。ところがそんなものは戦争が終わってしまえば、何の役にも立たない。生きるよすがを失った彼が選ぶ道は一つしかない。
それにしても寺島しのぶさんはもんぺ姿がよく似合う(笑)。

中では篠原勝之さん演じるクマという人物が興味深い。実は最初の台本ではなかった役で、急遽、旧知の仲である監督に呼び出されて演じることになったとのこと。
精神に異常を来たしており、赤い襦袢を着てあちこちに出没するのだが、終戦を迎えた途端、「戦争が終わった! 万歳!」と村中を駆け巡る。村長の話では戦争になるたびにおかしくなるとのことで、異常者のふりをすることが彼なりの反戦の姿勢だったのだろう。
国家を信じなかった彼の生き方が実は一番賢いのかも。

『実録・連合赤軍』に続いて、若松監督の思いが込められた一作。ただ、一つの映画として観た場合、少々起伏に欠けたきらいはある。85分と比較的短めの作品だからまだよかったが。


★★1/2

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