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2010/6/23

『BOX−袴田事件・命とは−』  映画道

『BOX−袴田事件・命とは−』

2010年日本映画 117分
脚本・監督:高橋伴明
脚本:夏井辰徳[雨やどり]
プロデューサー:西健二郎  プロデューサー・撮影:林淳一郎
美術:丸尾知行  編集:菊池純一  音楽:林祐介
ナレーション:飯塚昭三
出演:萩原聖人(熊本典道)、新井浩文(袴田巌)、石橋凌(立松警部)、葉月里緒奈(熊本京子)、村野武範(裁判長・石井判事)、保阪尚希(高見判事)、塩見三省(土肥弁護人)、岸部一徳(横井教授)、ダンカン(松本刑事)、須賀貴匡(典道の後輩・白岩孝祐)、吉村実子(袴田きぬ)、中村優子(袴田日出子)、雛形あきこ(橋口ちず子)、大杉漣(検察官・吉川)、國村隼(死刑囚)、志村東吾(大久保検事)、上田耕一(所長判事・藤原)、掛田誠(酒店店主・雨宮)、三上寛(小学校教師)、浜田晃(国会議員・菊川)、テイ龍進(黒柳刑事)、迫英雄(住吉刑事)、法福法彦(春田刑事)、遠藤みつき(さつき)、松本勝(味噌工場従業員・佐野)、横須賀裕治(市川刑事)、柿澤司(橋口雄一郎)、原菜乃華(典道の長女・幼少時代)、笈木陽莉(典道の次女・幼少時代)、岡山優花(典道の次女・小学生時代)、草野誠(石井判事の息子・石井信一)、福井英史(レフェリー)





昭和11年、二人の男の子が生を受けた。ひとりは佐賀県鳥栖市で生まれた熊本典道。ひとりは静岡県浜名郡雄踏町で生まれた袴田巌。太平洋戦争を経て、戦後へ。典道は司法試験に合格し、将来を嘱望された裁判官として静岡地方裁判所へ赴任した。巌は、アマチュアボクシングからプロゴクシングへ。期待されながらも挫折。静岡県清水市の味噌工場で働いていた。二人の人生が、交わることなどありえなかったのだ。昭和41年6月30日未明。清水市の味噌工場が放火され、その焼け跡から一家四人が刺殺され焼死体で発見された。捜査にあたった立松刑事は、容疑者として一人の男に目星をつけた。元プロボクサーであり、味噌工場で働いていた袴田巌である。従業員のほとんどが橋口味噌工場の親戚や友達ばかりなのに、巌だけが遠州生まれのよそ者であること。殺された専務は柔道2段だったが、それとわたりあえる格闘技をやっていた者であること。巌は妻に逃げられ、多少の借金があるのではないかと噂されていたこと…。物証は少なく、捜査は難航を極めていた。警察は巌を一度は逮捕するが、証拠不十分で釈放。しかし、再度、巌を逮捕。犯行を頑強に否認していた巌だったが勾留期限3日前に一転自白、起訴された。典道は、主任判事としてこの事件の裁判を担当することになった。しかし、巌は第1回公判で起訴事実を全面否認。以後一貫して無実を主張することになる。混沌とする裁判。その中で、警察の取り調べに疑問を持った典道は、その供述調書を調べはじめる。すると、最初は殺された橋口の妻と肉体関係を持った巌が、妻から頼まれてやった犯行だという自白が、幼い子どもと老母と一緒に暮らすための資金欲しさからの犯行へと、自白の犯行動機が日替わりで変わっているのだった。警察が巌の自白を強要した。典道は、自白の信憑性を疑ったのだ。立松刑事をはじめ、幾人もの関係者が証言したが、決め手を欠いた裁判は長期にわたった。しかし、犯行から1年あまりが過ぎた昭和42年9月13日、法廷に警察から新証拠が提出されたのだ。裁判に衝撃が走った。事件当時に捜査した工場の味噌樽をもう一度捜査したところ、血染めの犯行着衣が発見されたというのだ。巌が真犯人なのか? それとも証拠は警察の捏造なのか? 裁判は巌の有罪に傾いた。典道は、自白だけでなく、新証拠にも意図的なものを感じ、巌に有罪判決をくだすことに反対した。「この五点の衣類に、何らかの意図的なものを私は率直に感じます。もし、これが新たなる犯罪を生んでしまったらなら、それは我々の罪ではないのですか?」この裁判で、われわれ日本の法曹界が裁かれている。常に法廷は裁判官が裁かれている。しかし、裁判官の多数決で、巌は有罪という結論が出た。三人の裁判官のうち有罪判決に反対したのは典道ひとりであった。しかも、反対した典道が主任判事である慣例として、死刑判決を言い渡す判決文を書かなければならなかった…。典道の苦しみが始まった。この裁判の後、典道は裁判官を辞職。後輩・白岩の紹介で大学で刑事訴訟法を講義しながらも、自ら警察による証拠を実証し、無罪にするために有効だと思われる実験の報告を土肥弁護士に送った。しかし、それでも典道の苦しみは去ることがなかった。「もういかんちゃ…俺は殺人犯と一緒っちゃ…俺を死刑にしてくれんね」昭和55年11月19日、最高裁上告棄却。12月12日、巌の死刑が確定した…。【公式サイトより】

昭和41年に起きた袴田事件を基にした冤罪をテーマにした作品。

袴田事件のことは聞いたことはあったが、詳しい内容までは知らず、何よりいまも再審を請求中という現在進行形の出来事だというのは恥ずかしながら認識していなかった。そんな全然無知無知かたつむりの私のような人間のためにも、この作品は今作られるべき映画だったと言えるだろう。

多くの冤罪事件がそうであるように、警察の初動捜査や取調べのいい加減さがこの事件を引き起こした。極めて不自然な新証拠によって冒頭陳述が変わってしまうのには啞然とする他ないが、袴田巌が犯人であるという思い込みがそこにはある。
袴田が容疑をかけられた背景には、工場内で一人だけ遠州生まれだったことやボクサーくずれだったこと、借金があったことなどがあるが、そういった出生や職業に対する差別意識についても本作は注意を喚起している。
ただし、あくまで本作は袴田事件が冤罪だという前提に基づいて作られていることには気をつけた方がいい。これだけを見れば誰だって冤罪だと思うが、実際のところはどうだったのかを判断するのはもっとじっくりこの事件のことを調べる必要がある。この映画を見て冤罪だと思い込むのも一つの先入観であり、それでは袴田死刑囚を犯人だと決めつけた警察や検察、裁判所と何ら変わらなくなってしまうから。

実際の出来事と忠実ではない部分もある。
登場人物の名前が変えられているのはまだしも、熊本判事と袴田死刑囚が同じ年に生まれたことになっていて、最後にも「2人とも73歳である」という一文が出るが、実際には2歳違うらしい。上京する際に同じ列車に乗り合わせるというのもねぇ。
ちょっとその辺りはマイナス要素と言えなくもないが、この作品では袴田事件をモチーフとして、「人が人を裁くこと」の重みを訴えかける。昨年から導入された裁判官制度では我々も人を裁く立場に置かれることになるわけだが、本職である裁判官ですら何十年も苦悩する死刑という判決を、果たして一般市民が簡単に下していいものなのだろうか。「○」か「×」か何かのアンケートに答えるようにはいかないだろうに。

萩原聖人さんは地味にいい仕事してるなぁ(笑)。

しかし公式サイトの「袴田事件とは?」の内容がほとんどWikipediaの記事の引き写しというのはどうなのよ。参考文献の明記もないし、ついでに言うとストーリーの中で「講義」が「抗議」になってるし。


★★★

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