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2009/8/28

『空気人形』  映画道

『空気人形』

2009年日本映画 116分
脚本・監督・編集・プロデューサー:是枝裕和
原作:業田良家『ゴーダ哲学堂 空気人形』
撮影監督:李屏賓[リー・ピンビン]
美術監督:種田陽平  人形原型:原口智生、寒河江弘
音楽:world's end girlfriend  劇中詩:吉野弘「生命は」
出演:ペ・ドゥナ(空気人形・のぞみ)、ARATA(レンタルビデオ屋の従業員・純一)、板尾創路(空気人形の持ち主、ファミレス従業員・宮阪秀雄)、オダギリジョー(人形師)、岩松了(レンタルビデオ屋の店長・鮫洲)、富司純子(未亡人・千代子)、高橋昌也(元高校国語教師・敬一)、寺島進(交番のおまわりさん・轟)、余貴美子(受付嬢・佳子)、星野真里(OL・美希)、丸山智己(萌の父親・川上真治)、奈良木未羽(小学生・川上萌)、柄本佑(浪人中の受験生・透)、山中崇(秀雄の上司・岡部)、裵ジョンミョン[ペ・ジョンミョン]、桜井聖





川沿いの寂しげで小さな町。古びたアパートで“持ち主”である秀雄と暮らす空気人形は、空っぽな、誰かの「代用品」。ファミリーレストランで働く秀雄は、食事は2人分用意し、夜になると人形と一緒に風呂に入り、ベッドでプラネタリウムを見ながら語りかけ、同じ布団で眠りにつく。雨上がりのある朝、身支度をする秀雄の傍らで、人形は一度だけ瞬きをした。秀雄が出かけると、半透明の身体に日差しを受けて、ゆっくりと立ち上がり、少しずつ窓際へと向かう。アパートの軒から垂れる雫に指先で触れると、「キ……レ……イ……」と呟いた。メイド服を着て、おぼつかない足取りで町に出た空気人形は、いろいろな人に出会っていく。戻らぬ母親の帰りを待つ小学生・萌とその父親・真治。ニュースで見る事件を全て自分が犯人だと警察に名乗り出る元印刷会社経営者夫人・千代子。毎日毎日千代子の相手をしている交番のおまわりさん・轟。フラフラと町に出ては、大量の食糧を買い込む過食症のOL・美希。老いを受け入れられず、執拗に若さを求め続ける会社受付嬢・佳子。迫りくる死の訪れを感じている元高校国語教師の敬一。皆どこか心に空虚を持つ、東京の住人たち。その日、人形が最後に出会ったのは、レンタルビデオ店で働く純一だった。カウンター越しに目が合う二人。人形の瞳にお店の灯りが反射してキラキラ輝く。純一の背後には、「アルバイト募集」と書かれた紙が揺れている。レンタルビデオ店でアルバイトを始めた人形は、純一の心の中にどこか自分と同じ空虚感を感じつつ、日に日に惹かれていく。店長の鮫洲は、リストラされ家族から見放された寂しい中年男だが、憎めない人柄。常連客の浪人生・透は、DVDを探すふりをしてメイド服姿の人形を目で追っている。普通に見えて、どこか空虚な人間たちがここにも集まっていた。ある日、店長が質問した。「彼氏とかいるの? 好きな男……いるんでしょ?」「いいえ…」人形が生まれて初めてついた嘘。心を持ったから、ついた嘘だった。少しずつ純一から映画の知識を得、仕事にも慣れてきたある日、人形はバランスを崩して棚から飛び出たクギに手を引っかけてしまう。手首が裂け、人形の身体から勢いよく吹き出す空気に驚いた純一だったが、「見ないで……」という人形の言葉を遮るように、お腹の空気穴から何度も息を吹き込んだ。「もう……大丈夫だから……」息を荒げた純一が、空気人形を抱き寄せる。高揚する空気人形。誰もいないビデオ屋の床で、いつまでも抱き合う2人。人形は感じたことのない気持で満たされる。愛する人の息で満たされ、今までにない幸福感に包まれる空気人形。人形はついに秀雄の元から離れる決意をするのだが……。【公式サイトより】

是枝裕和監督最新作を特別先行上映にて鑑賞。

業田良家さん、是枝裕和監督、ペ・ドゥナさんという個人的にはこれ以上にない組み合わせ。この日は上映後に是枝監督の舞台挨拶もあったのだが、是枝監督も業田さんのファンで原作は発売当時に購入して映画化を思い立ったと言い、主演のペ・ドゥナさんも前々からファンだったとか。監督とは気が合いそうだ(笑)。

今年最も期待する映画の一つだったが、きっちり期待に応えてくれた。
監督は毎日幸せを感じながらこの作品の撮影を行っていたとおっしゃっていたが、私もまたこの映画を観ながら幸せを感じずにはいられなかった。

ストーリーももちろんキャストは隅々に至るまで適役。
中でもペ・ドゥナさんは最高の一言。
トコトコとした歩き方、豊かな表情、カタコトの日本語…。
空気人形=オランダ人の妻という役どころなだけにヌードも随所に。
ありがたやありがたや(笑)。

脇も堅実な仕事ぶり。
テレビで見た事件の関係者だと交番に話に行く未亡人、自分も空っぽだと嘯く老人、若いだけでチヤホヤされる同僚に嫉妬し、留守番電話に自分を励ますメッセージを録音する受付嬢、普段は愛想よくしながらも一人寂しく毎朝玉子かけご飯を食べるレンタルビデオ屋店長、散らかし放題の部屋で実家から送られてくるリンゴには見向きもせず過食に走るOL、不器用ながらも健気に暮らしている父子家庭の親子。
この辺りの人々はいわばサイドストーリーなのだが、それぞれのフラグメントがあわさって“孤独”を形成している。だが、そのうちの一人が最後につぶやく「きれい」という言葉が微かな希望を残す。
心を持つのは切ないこと。しかし、心を持っているからこそ人は何かを見て感動することができる。「生んでくれてありがとう」空気人形が人形師に言う台詞が胸に響く。

リー・ピンビンさんによる撮影、world's end girlfriendさん(ユニット名かと思ったら個人名なんだそうで)による音楽、どれをとっても素晴らしい。
『仁義なき戦い』、『メリーに首ったけ』、『スタンド・バイ・ミー』、『リトル・マーメイド』からハーヴェイ・カイテルさん主演の『バッド・ルーテナント』やテオ・アンゲロプロス監督の『蜂の旅人』といった作品名が随所に出てくるのも映画ファンとしては嬉しいところ。

必見。


★★★★
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