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2008/12/26

『その日のまえに』  映画道

『その日のまえに』

2008年日本映画 139分
監督・撮影台本・編集:大林宣彦  脚本:市川森一
原作:重松清  撮影台本・監督補佐:南柱根
撮影:谷川創平  美術:竹内公一  助監督:佐野友秀
音楽:山下康介、學草太郎[大林宣彦]  主題歌:クラムボン「永訣の朝・抄」
出演:南原清隆(日野原健大)、永作博美(日野原とし子)、大谷耀司[新人](日野原健哉)、小杉彩人[子役](日野原大輔)、筧利夫(佐藤俊治)、今井雅之(石川剛史・できめん)、勝野雅奈恵(看護師・山本美代子)、原田夏希(くらむぼん/宮澤とし子)、柴田理恵(川田孝子)、森田直幸(川田タダシ)、宝生舞(入江睦美)、斉藤健一[ヒロシ](武口修太)、風間杜夫(永原医師)、村田雄浩(村山伸吾)、窪塚俊介(工藤良太)、伊勢未知花[新人](安藤美紗)、小日向文世(睦美の夫・富永)、寺島咲(女子高生)、厚木拓郎(駅長君)、山田辰夫(とし子の父)、左時枝(とし子の母)、峰岸徹(健大の祖父)、入江若葉(石井さん)、高橋かおり(佐藤俊治の妻)、笹公人(とし子の兄)、柴山智加(とし子の兄嫁)、根岸季衣(かもめハウスのおばば)、吉行由実(オカちゃんの母)、並樹史朗(喫茶店「朝日のあたる店」の男客)、大久保運(相模ベーカリー店主)、三浦景虎(繁寿司店主)、油井昌由樹(魚勝店主)、小林かおり(お惣菜専門店浜ちゃんのおかみさん)、鈴木聖奈(健大デザインのエコバッグを配る女)、佐野友秀(宮澤賢治)




売れっ子イラストレーターで、デザイン事務所を経営する日野原健大。育ち盛りの息子二人の子育てに奮闘中の妻・とし子。二人は、18年ぶりに結婚当初に住んでいた街を訪れる。その頃 健大は収入もなく、暮らしは貧乏だった。すっかり様変わりした商店街を懐かしそうに歩く二人。暮らし始めていちばん最初に食器棚を買った家具屋で、思わず店内に入ってしまう二人。「あの頃って、おまえ不安じゃなかったか?」「私、もう一度生まれ変わっても、同じように無職の男と結婚して、一番安い食器棚を買うと思う」とし子の余命は、あとわずかだった。絶望の中から、来るべき「その日」までを一所懸命生きようと決めた二人は、今は思い出の中だけに残る情景を確かめていた。同じく、何かを求めてこの町に降り立った佐藤俊治。シュンと呼ばれた少年時代を過ごした街で、どうしても会って話したい旧友を訪ねるために、もう治る見込みのない身体に無理をしてやって来たのだった。「今朝、目が覚めたら、妙に気分が良くてさ、…気がついたら、電車に乗って、ここに来てた。なぜかな…」そう打ち明ける俊治に、幼馴染の"できめん” こと石川は、やさしくうなずく。喫茶店《朝日のあたる家》で働く入江睦美と、カメラマンを目指しながらコンビニ勤めで今は生計を立てる武口修太は、ひっそりと隠れるように、この街で暮らしている偶然、睦美が中年男性に襲われたところに居合わせた、健大ととし子。危害がとし子にも及びそうになった寸前に助けに入り、睦美を守った武口。「彼女、僕の店で万引きしてたんです。ぼくはずっと、それを見逃してやってきました」夫の家庭内暴力に耐えられず、心の病を負い、家を飛び出した睦美に 寄り添う武口。傷ついても精一杯生きようとする恋人たちを、健大ととし子は優しく見つめる。健大ととし子の二人の息子・健哉と大輔は、母の本当の病状を知らなかった。「わたしね、最後の最後のぎりぎりまで、二人の元気な顔を見ていたいの。」「お母さんは、与えられた命を最後まで、強く、美しく全うした、そう格好良く思われたいじゃん」しかし、とし子の「その日」はもう目前だった。

重松清さんの同名小説を大林宣彦監督が映画化。

賛否両論あったのでまた『22才の別れ Lycoris 葉みず花みず物語』みたいなのだったらどうしようと思っていたのだけど、何のなんのこれは間違いなく大林宣彦監督の最高傑作と言っていい。
確かに演出方法としては独特のものがあり、『22才の別れ〜』同様、本篇中切れ目なく音楽が流れていたり、映像処理が凝りに凝っていたりするが、これだけのベテランでありながら「70歳の新人監督のつもりで撮った」という言葉通り、いまだに映画というもので新たなチャレンジをし続けているという姿勢が素晴らしい。

ヒロインの名前すら変えてあるそうなので(もちろん宮澤賢治がらみでの改変だろう)どこまで原作に忠実なのかは分からないけど、その核となる部分は恐らく外してはいないと思う。
重松さんお得意の連作短篇という形式なので、日野原夫妻以外にも様々なエピソードがからんでくる。一見、それらが余分のように思えるかも知れないが、そんなことは決してない。
誰にも等しく「その日」は訪れるものであり、その意味ではこの作品には主役はいない。石川が俊治との再会を懐かしむシーン、くらむぼんが大輔に別れを告げるシーン、タダシ(公式サイトではトシとなっていたが…)と孝子のやりとり、そんな何でもないシーンがやたら目頭を熱くさせる。かえってとし子の臨終シーンは冷静に見られたくらい(笑)。
忠実に映像化するだけでは能がない。どうせやるならこれぐらいやってくれなくちゃ。

もう一つ感心したのが、主題歌をクラムボンが担当していること。
クラムボンは宮澤賢治の童話「やまなし」に登場する正体不明の生物からその名前がつけられているが、ちゃんとそんなバンドのことまで押さえているんだねぇ。
それにしても「あめゆじゅとてちてけんじゃ」はしばらく頭に残りそう(笑)。


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