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2008/9/29

『おくりびと』  映画道

『おくりびと』

2008年日本映画 130分
監督:滝田洋二郎  脚本:小山薫堂
撮影:浜田毅  美術:小川富美夫  音楽:久石譲
出演:本木雅弘(小林大悟)、山﨑努(佐々木生栄)、広末涼子(小林美香)、余貴美子(上村百合子)、笹野高史(平田正吉)、吉行和子(山下ツヤ子)、杉本哲太(山下)、峰岸徹(大悟の父)、山田辰夫(遺族)、宮田早苗(その妻)、橘ユキコ、橘ゆかり(山下理恵)、飯塚百花(山下詩織)、朱源実、石田太郎(楽団オーナー曽根崎)、小柳友貴美(トメオの母)、大谷亮介(トメオの父)、岸博之(遺族)、星野光代(大悟の母)、諏訪太朗(遺族)、奥田達士(楽団員)、飯森範親(指揮者)、樋渡真司(葬儀屋)、白井小百合(ニューハーフ・トメオ)




東京で念願だったオーケストラのチェロ奏者となった小林大悟だったが、楽団の解散で演奏家の道を諦め、故郷の山形に戻ることにする。6歳の頃、父親が恋人と家を出て行った後、母が経営していたスナックがあった場所でウェブデザイナーの妻・美香と暮らし始める大悟。ある日、大悟は求人広告で見つけた好条件の会社NKエージェントの面接を受けに行く。求人広告に“旅のお手伝い”と書かれていたことから旅行代理店だと思っていた大悟だったが、古びた事務所には棺桶が立てかけられていた。ほどなく現れた社長の佐々木は、履歴書に目を通すこともなく即座に採用を決め、事務員の上村に名刺を作るように言う。呆気にとられながらも大悟が仕事の内容を尋ねると、佐々木は納棺、遺体を棺に納める仕事だと答える。求人広告の“旅のお手伝い”は誤植で、正しくは安らかな“旅立ちのお手伝い”だった。本日分の給料として2万円を受け取った大悟は米沢牛を買って帰り、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたと答えてしまう。翌日、社長に呼び出されて劇場に行ってみると、そこでは佐々木が研修用のDVDを撮影していた。大悟は言われるがままに死体役のモデルを務めるが、佐々木が持っていた剃刀で怪我をする。納棺師としての初仕事は見ているだけでいいと言われるが、長い間放置されて腐っていた遺体を運ぶうちに吐き気を催す。その帰り、自分の臭いが気になった大悟は銭湯に立ち寄る。そこは同級生の山下の実家だったが、役所勤めの息子は母・ツヤ子を説得してそこにマンションを建てようとしていた。仕事を辞めようと思っていた大悟だったが、社長に連れられてとある葬式の場へ行く。5分の遅刻だと言って腹を立てる喪主だったが、化粧を施された妻の顔を見て号泣し、「今までで一番美しかった」と言ってくれた。そこから徐々に納棺師の仕事を理解していく大悟。子供の頃のチェロを引っ張り出して演奏をし始める。そんな矢先、山下に「もっとましな仕事につけ」と言われ、帰宅すると大悟が出演したDVDを見つけた美香になぜ黙っていたのかと責められる。美香は「汚らわしい!」と言い残して実家に帰ってしまう。彼女が出て行った後も、真摯な態度で仕事に臨む大悟。季節は移ろい、庄内平野に春が訪れようとしている時、美香が突然帰ってくる。妊娠したと聞いて喜ぶ大悟だったが、まだ納棺師という仕事に納得してはいなかった。そこへツヤ子が亡くなったという報せがもたらされる。

第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作。
青木新門さんの『納棺夫日記』を読んだ本木雅弘さんが映画化を企画。

冒頭から本木雅弘さんによる手際のよい納棺作業で魅せてくれる。
丁寧に遺体の顔を拭き、布団をかぶせて浴衣を脱がし、次は浴衣を乗せて布団を引き抜く。そして浴衣の下から体を拭いていく。まさに厳粛な儀式のように作業が進む。
あまり馴染みのない納棺師を描く映画なのだから、これで正解。
築地市場が舞台なのにうだうだと主人公がプロポーズできない場面から始まる『築地魚河岸三代目』とは大違い。同じ松竹製作なのになぁ。
などと感心していたら、「アレがある」というオチ。化粧は男性用と女性用のどちらにしましょうと遺族に確認するあたりも笑わせてくれる。

あまりにも本木雅弘さんの身のこなしが美しいのですっかり忘れそうになっていたが、山下や美香によって納棺師という仕事が汚らわしいものであるという視点が持ち込まれる。
ケガレ思想というのは日本古来よりあるもので差別を生み出す温床となっている。月給が50万円であっても今までNKエージェントに社員がいなかったというのもなるほどと納得できる。
ただ、せっかくこうした触れにくい部分を持ってきた割には、山下にしても美香にしても中途半端なままに終わってしまったのが惜しい。殊に夫が1800万円のチェロを買っても許してきた美香がどうしてそこまでの拒絶反応を示すのかが説明不足。
中途半端と言えば、大悟が仕事を続けるか否か、亡くなったと知らされた父親の下へ行くかどうかで悩むシーンももう少しすっきりさせて欲しかった。特に後者では、自分も帯広に子供を置いてきたという上村が行ってあげてと説得するわけだが、それでは説得力がない。自分も親に捨てられた過去があるというならまだよかったけど。

役者陣は総じてよかったが、単なる銭湯の常連客かと思いきや火葬場の職員だったという笹野高史さんが相変わらずいい味を出していた。ツヤ子と一緒にクリスマスを祝った際、一緒に銭湯をやって欲しいと言われた彼の「俺、焼くのうまいからな」という一言が深い。彼もまた「おくりびと」なのだ。
まぁ実際の葬儀屋とか火葬場の職員って大悟の父親を棺に納めようとした樋渡真司さんのように事務的な人が多いけどねぇ。


★★★
2



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