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2006/5/31

田村高廣さん追悼『泥の河』  映画道

『泥の河』

1981年日本映画 105分
監督;小栗康平  脚本:重森孝子  原作:宮本輝
出演:田村高廣(板倉晋平)、藤田弓子(板倉貞子)、朝原靖貴(板倉信雄)、加賀まりこ(松本笙子)、桜井稔(松本喜一)、柴田真生子(松本銀子)、初音礼子(タバコ屋)、西山嘉孝(倉庫番)、蟹江敬三(巡査)、殿山泰司(屋形船の男)、八木昌子(佐々木房子)、芦屋雁之助[特別出演](荷車の男)

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昭和三十一年、大阪。川沿いで食堂を営む板倉晋平の一人息子・信雄は店先で荷車のオッチャンが事故で死ぬのを目撃する。信雄は雨の日、置き去りにされた荷車から鉄屑を盗もうとしていた少年・喜一に出会う。彼は対岸に繋がれたみすぼらしい舟に住んでいた。後日、舟を訪れた信雄は、そこで銀子という姉にも会い、奥から声だけが聞こえる母親から黒砂糖をもらう。二人の母・笙子はその舟で客を取って日銭を稼いでいた。


先日亡くなった田村高廣さんの代表作。
原作は宮本輝さんの太宰治賞受賞作で、数年前に読んだことがある。
この映画は舞台は大阪だが、撮影は名古屋市の中川運河で行われているということもあって、機会があれば観たいと思っていたのだけど、田村さんが亡くなってからになるとはなぁ…。

一応、田村さんがトップにクレジットされているが、物語の実質的な主人公は息子の信雄
小学3年生の彼を通して、戦後10年、「もはや戦後ではない」と言われながら、今なおそこかしこに戦争の爪跡が残る大阪の街を描いていく。モノクロームの映像が、決して戦争は終わっていないのだという雰囲気を醸し出す。
冒頭の荷車のオッチャンの死、凄まじい環境の中でたくましく生きている姉弟、男を相手に商売をしているその母……幼い信雄にはあまりに重たい現実をその小さな体で必死に受け止めようとする。
天神祭の夜、喜一たち住む舟を眺めながら流す彼の涙のなんと清らかなことか。

田村さん扮する晋平は40歳にしてできた一人息子を可愛がる一方、戦争も体験しており、言葉の端々に複雑な思いを覗かせる。
喜一と銀子を招いて、馴染み客を追い払ったかと思うと手品を披露したり、喜一の軍歌に聞き惚れたりといった一連のシーンが特にいい。
加賀まりこさんも少ない出番ながらも鮮烈な印象を残す。
びっくりするぐらい綺麗で、妖艶という言葉がぴったり当てはまる。


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