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2008/2/27

『奈緒子』  映画道

『奈緒子』

2008年日本映画 120分
脚本・監督:古厩智之  脚本:林民夫、長尾洋平
原作:(作)坂田信弘、(画)中原裕
撮影:猪本雅三  美術:中澤克巳  音楽:上田禎
主題歌:ポルノグラフィティ「あなたがここにいたら」
挿入歌:RYTHEM「首すじライン」
出演:上野樹里(篠宮奈緒子)、三浦春馬(壱岐雄介)、笑福亭鶴瓶(西浦天宣)、佐津川愛美(吉澤結希)、柄本時生(奥田公靖)、綾野剛(諫早学院・黒田晋)、富川一人(宮崎親)、タモト清嵐(吉崎悟)、結城洋平(藤本卓治)、五十嵐山人(佐々木黙然)、佐藤タケシ(五島伸幸)、兼子舜(上原高次)、藤本七海(12才の奈緒子)、境大輝(10才の雄介)、光石研(篠宮隆文)、山下容莉枝(篠宮加奈子)、嶋尾康史(壱岐健介)、奥貫薫(壱岐和子)、嶋田久作(医師)




長崎県波切島。日本海に浮かぶ小さなその島に喘息の療養でやってきた12歳の奈緒子は、走ることが好きな10歳の少年・雄介に出会う。両親に連れられて釣り舟で沖合いに出た奈緒子は過って海に落ちてしまい、雄介の父・健介に助けられる。ところが健介が波にさらわれ、命を落としてしまう。6年後、東京で陸上競技会の受付の手伝いをしていた奈緒子は、“日本海の疾風”と呼ばれる天才ランナーに成長した雄介に再会する。自分が6年前の少女であることを告白する奈緒子に、「もう忘れた。誰も恨んじゃいねぇ」と吐き捨てる雄介。100mで優勝した雄介は、駅伝への転向を発表する。奈緒子は雄介にとって初めての駅伝挑戦となる九州オープン駅伝を観に一人で九州までやってくる。第一走者の奥田が転倒し、苦しいスタートとなりながらも驚異的な追い上げを見せる雄介。奈緒子は人手が足りないという補欠の吉崎から給水係を頼まれるが、奈緒子の姿を見た雄介は差し出された水を受け取らずに走り去る。一時はトップを走る諫早学院の黒田に並ぶ雄介だったが、脱水症状で倒れてしまう。そんなふたりの複雑な事情を知った波切高校陸上部の西浦監督は奈緒子の両親に手紙を書き、事故以来止まったままの雄介と奈緒子の時間を再び動かすため、奈緒子にマネージャーとして夏合宿に参加させることを提案する。参加を決意した奈緒子を雄介ら7人の部員とマネージャーの結希が迎え入れる。この夏を特別なものにしたいという思いがあった西浦は、地獄のような猛特訓を開始する。ある時、雄介は西浦に反発して岬へと走り、奈緒子はその後を追いかけてふたりでフェリーを眺める。合宿所に戻った2人は、西浦が倒れているのを発見する。西浦の体はがんに蝕まれていた。雄介はそのことを隠してチームを引っ張ろうとするが、部員たちの間には不協和音が響き始める。雄介はどうすることもできないまま、長崎県高等学校駅伝競走大会を迎える。

「ビッグコミックスピリッツ」に連載された同名コミックを『ロボコン』の古厩智之監督が映画化。坂田信弘さんはゴルフだけじゃないのね。

開巻から引き込まれる。
藤本七海ちゃん、『子猫の涙』の時より髪も伸びて大きくなってるな、とか『青空のルーレット』の嶋尾康史さんが演技うまくなってる、なんて思っているうちに大変なことに。
大騒ぎとなっている島の人たちと、ひとりぽつんと放心状態の奈緒子の対比が際立っている。

それ以後も古厩監督の演出が冴え渡る。
例えば、奈緒子が合宿所のゴミ捨て場に行く場面。
いくつも抱えていたゴミ袋のうち1つが落ちるが、ひとまず奈緒子はその他の袋を捨ててから取りに戻る。そのゴミ袋も捨ててから、今度は地面に落ちていた空き缶を拾ってゴミ箱に放り投げる。
その一連の動作をとらえていたカメラが引くと、そこに雄介の姿。
何気ないシーンではあるが、2人の微妙な距離感が非常によく出ている。
映画全体で減点するところがあるとすれば、無理やりやらされたであろう挿入歌が入るところぐらい(笑)。

上野樹里さんがあちこちのインタビューで答えている通り、台詞は少ない。
奈緒子と雄介の場合、走ることが感情表現の手段となっている。
特に奈緒子にとっては、走ることの意味は大きかったように思う。
喘息の持病がある彼女が陸上部に所属していたのも、いずれ雄介と再会できると思ったからだろう。子供の頃、船から見た走る雄介の姿はずっと脳裏に刻まれていたに違いない。西浦監督が言う通り、彼女の時間はそこで止まったままだった。
もちろん、再会できたからと言って何ができるわけではない。だが、自分のせいで雄介の父親が死んだという罪の意識に苛まれるたび、走らずにはいられなかったのだろう。そんな彼女が西浦監督の提案を二つ返事で引き受けたのも当然のなりゆきである。
2人の関係に限らず、部員たちとの関係にしても、走ることで分かり合えたというのはひどく抽象的な面もあるかも知れないが、ゴールして喜びを分かち合う彼らの姿を見れば、そんなことはどうでもよくなってしまう。
まさしくしぇーしゅんだねぇ(遠い目)。

この映画において上野樹里さんの魅力に欠けるという意見を散見するが、そういう人はのだめのような分かりやすいキャラクターじゃないと魅力を感じないということだろう。
恐らく彼女の出演作はすべて観ているが、今までの中でも一、二を争う演技だったと思う。
それにしても奥貫薫さんは未亡人の役がよく似合う(笑)。


★★★
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