その1からの続き。
そこから峡谷沿いに、同じような割と平坦な道を15分も歩くと、15人ほどの団体に出あった。彼らに湖の場所を聞くと、あと20分も行った所にあるという。
その後、10分後に白人女性の2人連れに出あい、あと10分も歩けば湖に着くことが分かった。だが現地と思われるところに到達すると、Sission-Callahan Trailという東西に伸びる道と、南へ向かうPCTが交錯していた。さらにMt. Eddyへ向かう地図に載っていない道まであることが分かった。
(←コケむしたスプルースの大木の森を、ずんずん進む)
この三叉路で少し迷ったが、そのままPCTを続けていくことにした。ここまではあまり景色がよくなかった。このため、湖もあまり期待していなかった。
すると突然、 →続きは、火山岩のボウル、をクリック

(峡谷に沿った山肌に伸びる平坦なトレイル→)
右手の木立の間から、エメラルドグリーンの湖面が見えた。たぶん、Lower Deadfall Lakeだろう。とすると、もう少し歩けばさらに大きなMiddle Deadfall Lakeに行き当たるはずだ。
小さい湖の全体が見えてきた。湖底と周りが黒っぽい火山岩で囲われている。しかしほとんど水が干上がっていて、木立の間から見えた時と比べてみすぼらしく見えた。

(←ちょっと分かりにくかった三叉路になっているトレイルの分岐点)
ここをやり過ごし、3、4分も歩いただろうか。小高い丘に向かって道がわずかに登り勾配になった。そのままずんずん進むと、左手に高い頂が見えてきた。Mt. Eddyだろう。
さらに進むと正面から左右にかけて、3、4キロ四方の天然の大きなシアターのような形の盆地に出てきた。そのまま上がり勾配を登っていくと、眼前に真っ青な湖面が見えてきた。Middle Deadfall Lakeだ。

(キラキラと輝くMiddle Lakeの湖面→)
一歩歩くごとに体が上下するので、前方の視界には3センチ、5センチ、10センチと湖面が見え隠れする。だが1分もしないうちに全体が見えてきた。真っ青でかなり広い。
風が強い。キャンプをした後が見える。石組みのキャンプファイヤーをした後が、そこここにある。15くらいのキャンプサイトがあるようだ。しかし今はだれもいない。

(←こんなだれもいない湖で、1日ぼーっと過ごせたらそれ以上のぜいたくはないだろう)
Mt. Eddy方面からの強い吹き降ろしが気持ちいい。だが標高は2000m以上なので、夜にはかなり冷え込んで風も強くなるのだろう。石組みの風除けもそこここにある。
不思議なことに気付いた。明るくて陽のエネルギーを感じるのだが、回り軒からも湖からも、強い生命力が伝わってこない。景色はすごくきれいなのだが、生命の深みが伝わってこないというか、風の音以外、何も聞こえない。

(ややこぢんまりしたLower Lake→)
動物のフンや足あとがそこここあるのだが、小魚やシカ、リスなど何にもいないのだ。ふ〜む…。これは、どう解釈したらいいのだろう。訪れたシーズンが悪かったのか、時間帯が悪かったのか。
Middle付近は景色がいいのだが、あまりに風が強い。このため、Lowerへ下りて食事を摂ることにした。Upperに比べかなり小さいLowerは、真っ黒な火山岩のボウルの底にたまった池のように見える。

(←Lower Lakeでお昼を食べた。デザートはホワイトピーチ)
ただし周囲の黒い岩に残った喫水線は、現在の水面より3m以上高く、雪解け時にはその辺りまで水が回復するであろうことを示していた。そのころに訪れると、かなり大きな湖に見えるだろう。
午後2時を過ぎた。Middle Lake周辺の、明るすぎるくらいな陽のエネルギーがある半面、生命力が感じられないという不思議な環境を今一度解釈したいと思い、帰る直前にもう一度だけMiddle Lakeへ寄ってから帰ることにした。

(Lower Lakeの干上がった湖底には、無数の火山岩がたまっていた→)
再び訪れたMiddleでは、やはり強い生命力が感じられなかった。しかし風景はすごく美しい。左手にMt. Eddy、正面に真っ青な湖、周囲には半月上の山並み。キャンプをしたら、すごく美しい夜空が楽しめるに違いない。
今回は、湖周辺で強い生命力は感じられなかったものの、ほとんどアップダウンのない初級者向きの歩きやすさと、1時間半という所要時間、到達地点の湖や山々の美しさなどをかんがみると、お勧めのコースだ。

(←下山中に見た、真っ青な空に向かって残る山火事の後の大木)
このときは時間がなくてトライできなかったが、もっと早めにハイキングをスタートすればMt. Eddy登頂も難しくはないと思う。来年にはぜひトライしてみたい。
マウント・シャスタエリアやShasta Trinity National Forestエリアには、こういったガイドブックにあまり載っていない秘境や、人知れず山奥に残る美しい湖などが数百箇所以上ある。
これからもどんどん、そいうった秘境開拓を続けていきたい。
終わり。

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