九州からの女性5人を案内して、6月下旬にユタとアリゾナの国立公園を回ってきた。

NYの大学院時代の友人のお母さんが中心になって企画されたツアーで、参加者のほとんどがアメリカは初めて。しかし皆さん海外旅行の経験は数回あり、特に心配することはなかった。また今回のグループは、ご主人に先立たれた方々の団体の会員 →続きを読む
だが、皆さんそれぞれの思いを胸に、旅行を存分に楽しまれたようだった。
コースはザイオンNP(素通り)、ブライス・キャニオンNP、コダクローム・ベイズン州立公園、キャピトル・リーフNP、アーチーズNP、キャニオンランズNP、モニュメント・バレー、アンテロープ・キャニオンの各地を回り、最後はラスベガスに滞在するという予定だった。
当初は6泊の

グループと7泊のグループに3人ずつ分かれて6人で予約されてこられたのだが、6泊組の方のうち1人が体調を崩されてキャンセル。このため全員がラスベガスで2泊することとなり、ショーや街めぐりを楽しむことにした。このため変更に伴う手数料が必要となり、皆さんに予想以上の出費をお願いすることになってしまった。申し訳なかったです。
さて、ツアーは6月20日からスタート。サンフランシスコ空港の国際線ターミナルで待ち合わせした。数年前にお会いした友人のお母さんだったが、当時の面影そのままですぐ分かった。

すぐ国内線ターミナルへ移りラスベガスへフライト。レンタカーを借りて途中のスーパーでペットボトル入りの水を大量に購入し、一路ザイオンへ向かった。
皆さん、福岡から休み無しでフライトと乗り換えを続けていたので、車に乗ってやっと人心地ついたようで、宿までの約2時間のドライブを楽しんでいた。

15号線北行きはまあ混んでいたが、ラスベガスを過ぎてからは快調。景色を楽しんでいたが、ユタへ入った時点で時計は1時間進むのでちょっと焦る。セント・ジョージへ到着して時点で午後8時半過ぎだったので、日本からいきなりきついかな、と思ったがタコス屋へ入りブリトーなどを注文。そのまま9号線西行きへ乗り換えて駆け足でドライブを続け、ザイオンNP入り口に近いバンブルベリー・インへ午後10時前、ロビーは締まる寸前に滑り込んだ。
ここはこのあたりを回る時に定宿としているモテル。受付のおばちゃんも知っており、鍵はもう部屋の入り口に差し込んであるから、張り紙して帰ろうと思っていたのよ、と笑いながら手続きをしてくれた。なんとも無用心というか、のんびりしているというか、午後10時にロビーが締まるというのもすごいが、鍵を部屋の入り口に挿したまんまにしておくなんて、西海岸じゃ考えられないのんびり気分。ザイオンは今回の旅行では素通りするだけなので、早めに寝た。
2日目の6月21日は、ちょっと早めに午前7時出発。ザイオンの大自然と景観を車中から眺めながら9号線西行き、89号線北行きと進み、悠久の風景が広がる12号線へ入った。午前9時過ぎにはブライス・キャニオンに到達。午前中は園内の観光スポットを車で回り、途中で買ったサンドイッチをピクニック形式でほおばった。
皆さん、この時点では

まだふつうの名勝観光地へ来たのとあまり変わらない反応で、もっと近くで大自然に触れたいとうずうずしていらっしゃった。このため、ブライス自慢のフードゥーと呼ばれる尖塔の中を歩いた午後からのハイキングでは、空の青さとオレンジの尖塔の織り成す大自然を満喫。ひとかどごとに違った風景が広がるナバホトレイルとクイーンズ・ガーデントレイルを約2時間かけて歩き、歓声とため息を繰り返しながらハイキングを楽しんだ。
一旦ホテルへ戻り、夕食後に夕日を見るためにサンセットポイントを訪れ、オレンジに染まった砂岩の大地が織り成す夕焼けのショーをゆったりと見つめた。
連日の早起きで申し訳なかったが、翌6月22日は午前7時に出発。午前中はコダクローム・ベイズン州立公園という、カラフルな岩山と変化に富んだ様々な形の砂岩の群が織り成す景色の美しい場所を訪れ、トレイルハイクを楽しんだ。
午後からは一気に温度が上昇するなか、究極の乾燥地帯にある大景勝地、キャピトル・リーフNPを訪れた。シーニックドライブから見える数々のリーフは、まるでチョコレートケーキのようだ。この奥にあるグランド・ウオッシュと呼ばれるトレイルで、ハイキングを楽しんだ。ここはナローズと呼ばれる川が削りだした峡谷で、狭まった所は幅わずか数メートルしかない。川床は干上がり、気温が40℃を越えていたかもしれない。しかし雨が降ると一気に鉄砲水となって襲ってくるので、油断はできない。
このあたりには、

同じようなナローズといわれる地形の場所がごまんとあるが、このグランド・ウオッシュは中でも歩きやすく景色が美しいの有名。参加の皆さんも暑さを除けば割と楽なハイキングを存分に堪能した。時間があればウオーター・ポケットなどの「ユタの背骨」といわれるような場所へも行けたのだが、今回はほかの場所で思いのほか時間を取られてしまい、残念ながらあきらめた。
夕食は日本から持ってきたご飯やふりかけ、

サバの缶詰を持ち寄り、モテルの一室に集まって久しぶりの和食を味わった。皆さんも温かいご飯になじみある味噌汁や梅干で、元気回復したようだった。
翌4日目の6月23日は、このツアーのハイライトの1つ、アーチーズNPを訪れた。しかしあまりに暑かったので、予定していたウインドウズ・セクションのハイキングを取りやめ、疲れた方は車内で休憩してもらい、元気な人だけ連れてダブルアーチを見に行った。
赤いナバホ・サンド・ストーンの巨岩と2000個を越えるアーチが広がる園内は、まさに砂漠そのもの。午後からはこのツアーで1番きついが1番美しい景色が見られるデリケート・アーチへのトレイルハイクにトライした。気温は既に40℃近いので、日焼け防止のため着ていた長袖シャツや手袋はすべて脱いでもらい、日焼け止めクリームをたっぷり塗って脱水症状を防ぐことに専念した。
デリケート・アーチへのトレイルは、日差しが強く風がないときはまさに死刑台へのエレベーターのようにつらく、長く、死に物狂いのハイキングとなるが、この日は風があり助かった。「つらいぞ、暑いぞ、死にそうになるぞ」と皆さんを脅しまくったせいか、

「それほどつらくなかったですよ」との声が出るくらいだった。
登りいっぺんの道を約1時間かけて到達した山上にたたずむ、華麗なデリケート・アーチが見えたとき、参加者の皆さんから感嘆が漏れ、来てよかったなと実感した。
モアブのモテルに滞在し、夕食は中華レストランでビールとともに中華料理をゆっくり味わった。 →2へ続く。

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