
まだまだ残暑の強いMt. Shastaへ、日本から1人で来られたNさんを案内した。今回は5泊6日の1人旅。
Shastaでこんな長丁場は久しぶり。いつもの2泊3日の行程では訪れることのできない場所へも案内した。訪れた中にはこれま他人を案内したことのないスポットもあって、個人的にものんびりできた旅だった。
お1人だったため、希望にあわせて予定を臨機応変に変えることができた。過信かもしれないが、ハイキングや訪れるスポットについてすべて任せてくれたので、信頼されていると感じた。
このためこちらとしても「Nさんならここがいいかも、いやこっちの方で時間を取った方がいいかな」などと、 →続きを読むをクリック
(↑青くどこまでも伸びる空の下で、Medicine Lakeを体感)
少々引っ張りまわしすぎたかもしれない。だが終わってみれば、理知的なNさんとの今回の旅は、いつもとは一味変わった「オトナのシャスタ」として、思い出深いものとなった。

(いつ訪れても、清涼な水がほとばしるサクラメントリバーの源泉→)
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Nさんとは空港で出会った。日本からの到着直後だったが、さっそくいくつか希望を出されてきた。今からシャスタへ行った後に、ネイティブ・アメリカンの魂の浄化の儀式であるスウェット・ロッジを試したいとのことだった。
しかし体力的には日本から長時間のフライト後、Mt. Shastaへの5時間以上のドライブを重ね、それからスウェット・ロッジというのはとてもお勧めではない。時差に加え極度の緊張感と披露が重なり、最悪の場合は倒れてしまう。

(←McLooud FallsのMiddle Fall。水量が少ないとはいえ、勢いのある音は絶えない)
時間的には後で知ったことだが、この週から午後1時からの開始となっており、どちらにせよ間に合わなかった。このためNさんには、残念だが今回はスウェット・ロッジが体験できないことを伝えた。
Nさんは大変残念そうだったので、悪いなーとは思ったが、すぐにもう1つの希望を出されてきた。サンフランシスコのフェリー・ビルディングで開かれているファーマーズ・マーケットで、お気に入りのオリーブオイルを売っているので、どうしても買いたいとのこと。

(幻想的な色が美しいUpper Fall→)
スウェット・ロッジに案内できない代案として、快く引き受けた。なぜかというと、Nさんの希望は決して我がままな気持ちから出たものではなく、自分の希望を状況が許す範囲でかなえて欲しいという要望だと感じたからだ。
というのがNさんの対応を見ていて、すごく大人として成熟した理性的な判断のできる人だな、ということが感じられたからだ。こちらから「No」と言われて気分が害されたに違いないだろうが、そういう気持ちは微塵も見せずに納得してくれたからだ。

(←McCloudから約50分東へ進んだ場所にある、Barney Falls。周囲では1番高い滝で約40m。かっこいいブロンドのおねーさんが、フライフィッシングをしていた)
ふつう、こういう状況では「たっかい金払ってんだから、そのくらいこっちのいうことを聞け」というような形で文句を言ってくる人が多い。しかしその人をためを思えばこそ、いろいろな状況を考えても結局は「No」と答えた方がいいことがある。
はっきりとご自分の希望を出されてくる人とは、長丁場の旅の場合やりやすい。この直前に行ったオレゴンへの旅でも、Uさんご夫妻はこちらにもうまく気遣いながら、大人としての要望を出され旅を楽しんでいた。

(バニーフラットで、Mt. Shastaをバックに→)
逆にうじうじして好き嫌いをはっきり言わない人、あまりにもこちらのことを気遣いすぎて自分自身の旅を楽しんでない人、下調べもせずべったりおまかせの人、それに理性的な判断ができない単なるわがままな人とは、長丁場の旅の場合は必ずほころびが生まれ、それがだんだん拡大してしまいには「もうあんな人は雇わない」とか「もうあんな客は絶対取らない」となる。

(←野草も枯れ、泉も干上がらんばかりに水量が減ってからからのパンサー・メドウズ)
状況が許す範囲の中で相手を気遣いながら出される自己主張は、希望とか要望というのだと思う。しかし理性的な判断を超えた願いや相手への心遣いが感じられないものは、わがままというんだと思う。
希望とか要望がかなえられなくても、次のチャンスがまた来るさという、余裕をもって物事を判断できる人だったら、ネガティブな反応は生まれない。しかしわがままな人は自分しか見えていないから、願いが通らないと怒りやねたみ、責任転化といった負のエネルギーを発散するので、周りにいる人はやりきれない。
そういった負のエネルギーを微塵も感じることなく、Nさんを6日間もお世話できたことに感謝する。
その2へ続く。

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