時代の声、資料の声

2010/5/10  19:43 | 投稿者: 益子

 吉村昭の「時代の声、資料の声」を読んだ。各方面の書き物をする人と吉村氏との対談集。吉村氏が亡くなってから、タイトルにあわせてあちこちから集めてきて本にしてある。亡くなっても、というか亡くなってからだからこそ、こういう本で儲けさせてという出版社の考えか。でも、私のように最近のにわか吉村ファンにとっては長年にわたってあちらこちらの雑誌等に書いてきたいろいろなものをなんらかのテーマでまとめて一つにしてくれれば、それはそれで読みやすいし、こういうものがなければ、読む機会もなくありがたい。初出は一番古くて70年というものもある。城山三郎と対談が一番新しくて00年。
 吉村さんの小説がとことん調べて調べて、でも調べ上げたたくさんの資料をばっさばっさと切り捨てて、吉村さんのテーマ、これを書きたい(描きたい)ところを書いていくというその手法は「ノンフィクション」なのか、または「ノンフィクション」とどう違うのか?というような話題も何度か出てくる。吉村さんは「小説だ」「事実を小説としての効果を考えながら書く」としながらも、そこのところにはあまりこだわっていないようだった。自分の中にある「どうしても」「これを書いておかないと前に進めない」という心の中に突きあがってくる、湧き出てくる想いの表現、あるいは表現方法ということか。戦争のこと、戦争時代の日常の思い出、戦後の生活やそのころの戦争に対する思い、結核を乗り越えて生きてきた思いなどなどを10人の人と語っている。
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