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赤祖父俊一
『北極圏へ−オーロラと地球温暖化に挑む』
北極圏は、すばらしい自然に満ちている。人類未踏の地がいまなお残る宇宙と同じフロンティアだ。どうしてオーロラ研究をすることになったのか。北極圏は地球温暖化といかに密接に関係しているか。“世界の赤祖父”が、科学と人生を素直に書き下した。
本書は、いわゆるオーロラ解説本ではなく、オーロラ研究の第一人者として知られる、アラスカ州フェアバンクスの
国際北極圏リサーチ・センター(通称IARC)所長の赤祖父先生の自伝的作品です。
ご自身の人生を語る上でオーロラは不可欠ですから、オーロラ研究に関する記載のヴォリュームも多く、沢山の画像も盛り込まれています(他解説書の中で拝見したことがあるものも多いです)。
これまでの著書と趣を異とするのは、日常生活やご家族のことはもとより、研究生活の裏側が多く語られている点ではないでしょうか。
UAF(アラスカ州立大学フェアバンクス校)の
Geophysical Institute(通称GI)所長の後にIARC所長に就任、様々なご苦労も多かったことがうかがい知れます。
以前、赤祖父先生の講演会を拝聴した際に、「IARC設立の折には、日本からは沢山の援助を頂いたのだから、日本にはご恩返しをしなくては」というようなことを何度も口にされていた姿が思い出されます。
研究者はその研究を続けるための資金援助を取り付けるということも、大きなお仕事の一つで、それは研究に限ったことではなく、一般企業内でもそうなのですが…。
オーロラや地球温暖化の研究の裏側を垣間見られることは言うまでもなく、研究生活や資金を巡る人間模様、それらを支える創造性の大切さなど、これからの日本への警鐘や提言が綴られた一冊です。
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北極圏へ――オーロラと地球温暖化に挑む
出版元・白日社のサイト内、本書紹介ページ。
著者プロフィール、まえがき、目次、あとがきが掲載されています。

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