アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のSWAN LAKE。大好きなアンヘル・コレーラが王子役、しかも話題のケビン・マッケンジー版ということでamazon.comにて衝動的に購入。
別に送料無料に引かれて余分に買いすぎてしまったわけではありません。ありませんったらありません。「ショーシャンクの空に」特別版と
africaさんに教わった「ぼくのうちに波がきた」の英語版やら「わすれられないおくりもの」の英語版なんかも一緒にやってきました。ほくほく。
しかし、よりによって
この時期になぜNutcracker(くるみ割り人形)ではなく、Swan Lakeなのか?我ながら
ひねくれていますね。
欧米の12月と言えばNutcrackerです。日本で第九が演奏されるように、各地のバレエ団はもちろん、クラシックのコンサートでもしきりにくるみ割り人形が演目になるのです。日頃バレエに縁もゆかりもない人々がこぞって劇場に足を運ぶのが年末のくるみ割り人形。去年は私も
The Pacific Northwest balletのNutcrackerをテレビで見て拙い感想文を書いたり、うちの
バレエスクールでの小さなパフォーマンスを紹介したりしたんですが、今年はどうやら機会を逃したようです。でも我が家にもくるみ割り人形を飾ってあるし、クリスマスの飾りにもくるみ割り人形を模したものは多いのです。
なのに敢えてスワンレイクを観たくなったのは、初めて少しバレエから遠ざかった冬だからかな?
さてさて、スワンレイク。日本語では白鳥の湖、ギョーカイ用語ではハクチョーコなんて呼ばれたりしますが、昔はバレエと言えば白鳥の湖でしたよね?ね?「バレエ」と聞けば反射的に「♪た〜ん たららら た〜ら た〜ら た〜ら ららららら〜〜♪」なんて怪しく歌いながら上靴で不器用につま先立ちのマネをするお調子者、いましたね?近頃はどうなんでしょう?バレエは身近な習い事になったけれど、むしろ白鳥の湖は、子どもたちにあまり親しみがなくなってしまったかもしれません。
私が子どもの頃は森下洋子さんの影響でか、少女漫画はバレエキャラでいっぱいでした。誰もが「白鳥の湖」を知っていたなあ。
さて、ABTのスワンレイク。実はスワンレイク自体は特別に好きな演目ではないので真剣に見たのは久しぶりです。いつだったか、最後に見たボリショイのビデオがあまりにも良くて、それ以来他のバレエ団を見ていませんでした。でも今回はあちこちで評判を目にしてつい衝動買い。
感想は…とにかくダンサーたちの体型がものすごかった。
細っ!足長っ!オドロキました。ABTのダンサーたちはもう人間の限界を超えてますよ。現代のバレリーナたちが拒食症とか栄養障害を起こすのはABTのせいでは?と思ってしまうほど。完璧と言えば完璧だけどちょっと行きすぎにも感じます。
それにしても主役のオデット/オディールを演じるジリアン・マーフィの美しいこと。完璧な体型と完璧なテクニック、そして演技力。こういう人を見ると
「天才とは1%の素質と99%の努力」なんて言葉が空々しく思えてしまう。
言うなれば
「80%の素質と120%の努力」じゃないのかなー、なんて。
どちらにしてもこういう人と同時代を生きられてこんな舞台を家で見られるなんて至福の幸せ。実際にあったら「ありがとうございます〜」とひれ伏してしまいそうです。
コレーラ君も海賊の奴隷役からずいぶん出世して本当に「のほほんと素直に育った王子」にしか見えない成長ぶりです。この人ってきっと素でもこんな感じなんだろうなあ。昔に比べると回転のキレは落ちているようにも見えるけれど、それにしても魔法のシューズでも履いているかのように綺麗に回ってくれる。一瞬氷の上かと錯覚するほどです。
悪魔ロットバルトは恐かったなー。ちょっと恐すぎ。演出は基本的にはクラシックの王道を行っているのだけれど、あちこちにところどころ新しい工夫がされている。私は保守的な人間なので(笑)いろいろな意味でアメリカンテイストいっぱいな白鳥の湖だなーと思ってしまいました。
それにしても。子どもの頃から思っていたんですが、オデットとオディールの演じ分けが見事なら見事なほど、
騙される王子がアホに見えてしまうんです。だって、顔かたちが同じとはいえ、正反対なキャラじゃない?どうして騙されるんだよ!王子!と突っ込みたくなるのです。まあ、コレーラ君なら騙されそうだけど。
全体的にお見事。お見事なんだけど…うーん。本来なら2幕のソロからコーダなんて鳥肌が立つほど感動的なはずなのに、なんとなく冷静に見ちゃいました。なんでかなあ。1回見てお腹いっぱいな感じ。良くなかったわけじゃないんですよ。でも、そうだ、なんだか泣けるほどの感動がないスワンレイクだったのでした。ボリショイでも見返そうかな。
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