それは、私たち家族がアメリカに移住してきて数ヶ月後の寒い冬に起きた事件でした。
娘2号のフー
結核疑惑
…なんのことはない、日本人が普通に受けるBCGワクチン接種のせいなんですが。
アメリカでは、学校や病院関係者(児童も職員も)、さらには永住権を取得する外国人まで
全員がもれなくツベルクリン反応の検査を受けなくてはならないのですが、当時4年生のフーはこれでひっかかったのです。
当然です。
日本ではツ反が陽性になるまで繰り返しBCGを受けさせられ、小学生の
ほぼ全員がツ反陽性(でなくてはならない)の国ですから。
世界中の先進国で、BCGという結核のワクチンを全児童に接種する国は実は
日本だけってご存じでしょうか。
そのために、有無を言わせずBCG接種をされてしまう日本人の子どもがアメリカなどの諸先進国へ入国するといらない
トラブルに巻き込まれることが多々あります。
当時うちの子どもたちが通っていた学校は国際児童が多く、スクールナースは
当然それを承知していると思ったのですが、そうではありませんでした。
地域の保健センターでツベルクリン反応(TBテスト)と数々の予防接種併せて5本くらいをまとめて受けたうちの子どもたちのうち、2日後の
ツ反判定(これは各学校のナースが行います)で次女のフーだけがひっかかり、家に電話がかかってきたのです。
「お子さんのツベルクリン反応の判定が10mmなのでダウンタウンの結核予防センターへ連れて行くように」
という電話だったのですが、当時の私は「結核」というコトバを聞き取るのがやっと…という状況で訳がわからず、しばらく電話で押し問答した挙げ句、「今からそちらに向かうから」と学校へ飛んでいきました。
学校の保健室にたどり着くと
(これがまた大変。迷路のようなんだもの)困ったような顔のフーとナースがいました。
ナースは
「とにかくすぐダウンタウンの結核センターへ行きなさい」と問答無用。当時はとにかく
英語もしどろもどろ、
運転だって右側通行にはようやく慣れたものの、一人で運転して
ダウンタウンへ行くこと自体が大きな障害だったので、つたない英語ながら、
「これは日本で結核のワクチンを接種したためで、この子が結核にかかっているわけではないんです」と訴えましたが、
「ここから先は私の仕事ではない」と取り合ってもらえませんでした。
後で聞けばこのナースは赴任したばかりで、なんとか仕事を
きっちりこなそうとあらゆる例外を認めず大変
四角四面に正しくやっていた、ということです。
(はい、かなりちょっぴり根に持ってます(爆))
何故他の二人は大丈夫だったかと言うと、ブーの場合は5年生で
学校が別だったのでそこのナースの判断で「日本人だから良いでしょう」ということになった。実はブーの反応の方がフーよりも大きかったのですが、そこのナースは日本人を見慣れていて事情をわかっていたようです。
当時7歳のウーは日本の小学校で1学期を終えたのですが、その時点で私がアメリカ移住の可能性を伝えて
BCGを免除してもらうようにお願いしたのです。意外なことにこれはすんなりと通りました。おかげでウーは難を逃れたわけです。
ともあれ、仕方がないので了解し、家に帰ってネットで一生懸命情報を引き出そうとしました。その時点で出ていた海外在住者の結核疑惑に関するサイトの管理者に片っ端からメールを出し、アドバイスを求めましたがどこからも決定的な答えは得られず、ただ
・BCGの影響が10年以上残ることも珍しくない。
・10mmの反応は擬陽性とも呼ばれ、結核感染を表す陽性とは反応が違う
というような
情報を頭に入れました。
そして結核予防センターへ予約を入れ、翌日だったか地図を準備し教えられた住所を片手に半泣き状態でダウンタウンの結核予防センターへ向かうことになりました。
実は、
”アメリカでは小学校でツ反が陽性の者は全員が、胸部レントゲンを受けさせられる”ということは海外在住者の間では
比較的知られています。私も何冊も本を読んだりネットで調べたりして臨み、
準備していました(そのつもりでした)。
でも
”ちゃんと説明できれば問題なし”と結ばれていることが多かったのです。「私がちゃんと英語を話せないせいだ…」どれだけ悔しく思ったか。
でもともかく。「ダウンタウンに行って、レントゲンを撮れば
疑いが晴れるんだから…」それだけを励みに、新車のプリウスにフーを乗せ、慣れないハイウェイを飛ばした私でした。
ところが…。
(続く)
これ、「アメリカでびっくり」のカテゴリーに入れておきますが本当は「アメリカでの闘い」なんちうカテゴリー作ってしまいたいくらいっすよ、ホント。
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