アイスフィールドを飛ばしに飛ばしてようやくたどり着いた、第6チェックポイント Lake Louiseのコントロールセンター。うろたえる私たちを見かけた、すでに顔見知りになっている他の家族が「あなたのhusband、さっきあっちの方へ歩いていいったわよ」と教えてくれる。
もう、「間に合わなかった!」と思っていたので「どれくらい前?」と訊いてしまった。「ほんの2,3分前よ」と言うのでうれしいやら驚くやら。あわてて、母子4人、指さされた方向へ走り出した。
ロッジの建物を半周したとき、走ったジャージ姿そのままのオットを発見。感動のご対面でした(笑)。
本人は大変落ち込んでいましたが、我々は530km、あの山を走りきっただけで充分と思っていました。そして、オットと一緒にコントロールセンターへ戻ると「見つけたのね!」と拍手喝采を浴びてしまいました。みんなほめ上手。
少しはオットの気分も明るくなったようです。
ともあれ、ここから我が家は全員揃って、観光へと方向を変えることになりました。でもその前に日本からの参加者でまだ到着していない2人をチェック。
どうやらふたりともこの時点でかなり残り時間が厳しくなっている様子。
道に迷うといけないので曲がり角まで出て待つことにした。なんといっても、道しるべは、長さ20cmくらいの小さな矢印が一カ所にあるだけ。絶対見落とす人がいるだろう…と思っていたら案の定、私たちの到着前に1時間もそのあたりでさまよってしまった人たちがいたらしい。このあたりはもう少し改善して欲しいところですね。
さて、多くの自転車たちに行くべき方向を指示したが、いつになっても二人は現れない。一度コントロールに戻って休憩と食事をして、また曲がり角へ戻った。
あまりヒマだったのでガソリンスタンドで新聞を買ってみた。その日のトップニュースは、知人の9歳の娘を連れ出して殺した中国人留学生が捕まった、という、なんともやりきれないもの。ちょっと疲れていたときに読むべき記事ではなかったようだ。思わず、一緒にいる子どもたちを見つめてしまう。どうか犯罪に巻き込まれることなどありませんように。
カナダの長い日も暮れかかった頃、制限時間まであと15分、というところで日本人参加者が現れた。声を限りに方向を指示、なんとか間に合いました。
その日は行き場を失い、コントロールセンターで、参加者やボランティアスタッフと一緒に過ごすことになりました。アメリカから来た日本人、ということで日米の違いや、さらにカナダではこうだとかいう話が大変盛り上がり、楽しい夜でした。そこで出会ったスタッフ達はほとんどがバンクーバーから来ており、しきりに、バンクーバーは素晴らしい街だ、移住してきなさい、と勧めてくれる。
その時点ではバンクーバー初日のイメージを引きずっていて、どうも「良い街だ」というのが半信半疑だったけれど、「移民が多く、多文化の街。だから外国人が快適に暮らせる」と聞き、なるほどと思いました。
事実、私が何より驚いたことには普段トラブルの源である私の英語がここでは問題にならないのでした。誰もが私の英語を理解してくれるし、私もみんなが話しかけてくることはもちろん、カナダ人同士の話もほぼ聞き取れます。
これも、外国人が多い故にカナダ人はクリアな英語を話すし、外国人のアクセントにも慣れているから、ということで感心するとともに感激しました。
いや…実を言うと、この時点まで「今回のカナダ旅行でずいぶん英語力が上がったのね」なんて誤解していたんですね…(^^;)(^^;)(^^;)
そーいう事情だったとは、納得です。実際、後日アメリカに帰ったところ、やはり元の木阿弥の英語力に戻っていました。ははは。
ともあれ、ここですっかり盛り上がったので住所や名前を交換し、D氏が帰りのバンクーバーでは街を案内してあげよう、と申し出てくださる。また、別のスタッフも地図で懇切丁寧にバンクーバーの見所を教えてくれた。
やっぱり旅で一番楽しいのは人との出会いですね。
さて、すっかり疲れ切っているはずのオットは、気が高ぶっているのか案外元気で、夜も他の参加者たちに、次のチェックポイントまで行って折り返してくるコースの説明やら何やらをしていました。自分の分も頑張って欲しいという気持ちだったのかも知れません。
そして、参加者たちが出発したあとはセンターの庭で星を見ました。その日の星空はかなりコンディションが良かったのか、いつもそうなのかはわかりませんが、素晴らしいものでした。 星が多すぎて星座の形が確認しづらい。こんな贅沢は久し振りです。30°ほどにわたる大きな流星も見ました。
天の川もくっきりと見えて、ベガ(織り姫星)とアルタイル(彦星)の間に流れる川が、昔話の時代にはこんなふうに見えていたのだということがよくわかりました。
こんな星空を子どもたちにも是非見せたいと思い、シュラフにくるまって熟睡中の背中に一つずつ、声をかけていきました。
・息子(10歳)微動だにせず
・娘(12歳)「うーん…今はいいや」←今見なくて一体いつ見るんだ!と突っ込むが反応なし
・娘(14歳)「見・・・みる・・・みたい・・・み・・み・・み・・た・・い・・・zzz」しばらくもがいていましたが睡魔に負けた様子。
あ〜あ、もったいない。まあこれは次回のお楽しみにとっておきましょう。
こうしてレイク・ルイーズの夜は更けていきました(つづく)

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