「わかっとるわかっとる。儂は静かな居場所が早く欲しいのだ。さあさっさとやってくれ」
女神の念押しに、蛙の神はいらついた声で応じる。
「では姫よ」
「はいっ」
少女のような女神の声。
「街場の女と同じことをしてみたいのだな」
「はい。私が結婚するまでの間だけでも……」
「あいわかった。そなたが結婚するまでの間、その願いかなえてやろう」
「ありがとうございますっ」
私は礼を言って頭をあげた。
「え……」
そこにはミリもリリンラもいなかった。
慌てて周囲を見回しても2柱の姿はない。
「ミリ様?リリンラ様……?」
不意に迫ってくる不安に、私は身動きもならないままじっとあたりの気配を探った。
気がつけば、空気の匂いが変わっていた。
「ここは、どこ?」
(続く)

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