以前「DOKUDAN」でも触れた事があるんだけど、私ゃいわゆる「マスオ君」で、最近93歳の誕生日を迎えたウチのヤツの母親と同居しているんだよね。私と40歳以上離れているのは、ウチのヤツが私より7歳歳上で、しかも「ばちっこ長女」だから。んで我が家の構造は、茶の間のドア1枚向うが、独立した台所と便所が備わった「婆さんエリア」になっている。以前は「風呂」以外は、婆さんが自分のペースで生活していたんだけど、さすがに4年程前からはそうも行かなくなってさ。そう...いわゆる「ボケ」ってヤツでね。
それまでは「骨」に「皮」というテクスチュアを貼付けたようで、どこの筋肉使って手足を動かしてんだ?っていう体型をしているとは言え、別に「どこが悪い」という所も無くて元気だったんだけどさ。ところが6年前に「腸閉塞」を患って、全身麻酔の手術をしたのね。この麻酔の影響なのか、何かこうヘンになっちゃって...幻覚とか見たりね。それでもその時は半年近くかけて、私が誰なのかをちゃんと認識できるし、以前と同じように自炊して自分で風呂に入れるくらい元通りにはなった。でも4年前に、健常者ならどうってことのない自分の台所で転んで、大腿骨を骨折して大手術。そこからジワジワとボケてきたんだよ。
昔、嫁さんに向かってジイさんが、ついさっき夕食を食べたにもかかわらず「メシゃ〜まだかいの〜」って言うシーンがあるドラマを見た事があるんだけど、あれって「まさかよ...んなワケねぇ〜だろ?」って思ってたんだが、実際ホントにあるんだと実感。ウチの婆さんも、ウチのヤツが仕事の時に「ご飯」の用意をしに来てくれるデイサービスの人が帰った後や、夜中や早朝に、朝昼晩ちゃんと食べているにもかかわらず、自分のエリアにある冷蔵庫を開けて、ガサゴソとオカズを取り出しては食べてた。やっぱ個体を維持して生存するための「食欲」という本能は、強烈なんだろうねぇ〜。
骨折の影響でうまく歩けないから、ケアマネージャーさんのアドバイスで、婆さんエリアにゃ至る所に「手すり」を取り付けてる。それでも真夜中に階段の下まで歩いてきて「ちょっと〜...誰か居ないの〜〜」と声を出したりもしてた。降りて行って話を聞くと「もう1時なんだけど、お昼ご飯作ってくれない?」とか、「帰りたいんだけど...」とか・・・自分のエリアにトイレがあるのに、わざわざこちらまで遠征してきて用を足したりね。
もちろん、ウチのヤツが「自分の娘」という認識もなくなってしまう事も多いし、まして「娘の亭主や、孫」なんか・・・週に3回、お風呂に入りに「ケアセンター」に行って帰ってきた時に、ウチのヤツがいない時は、私が婆さんエリアまで連れてって「お帰り」って声をかけるんだけど、しきりに「帰らなきゃ」ってボソボソ言うんだよね。「帰るって、どこに?」「うちに・・・」「きょうはもう帰らなくていいから、泊まっていったら?」「そうかい?・・・じゃぁ〜やっかいになるわ」って、毎回会話してるよ。
異変に気が付いたのはウチのヤツなんだけど、「ヨチヨチ歩きの時に右に傾く」って言うんだよね。確かにそうだし、それに1ヶ月程前から、以前よりもまして言動が支離滅裂になってきた。夜中に起き出す事がなくなった代わりに、今までトイレは、自分で何とか後始末まで出来ていたんだが、それも出来なくなってきた...具体的に書こうと思えば書けるんだが、止めておくわ。とにかくそんなこんなで、先週ウチのヤツが病院に連れて行ったら「軽い脳梗塞ですね」だとさ。医者が言うには「脳梗塞に関しては、薬を飲んでりゃ治る」って事らしく、その点では一安心。「寝たきりになった」というわけでもないし、とりあえずは一応メシも自分で喰えるから「まだ良い方だ」と、ポジティブに考えなきゃな。
先日ウチのヤツと笑ったんだが、「いや〜、こうなりゃ『夜中に起き出してメシ喰ってくれてた方が、まだまし』って思わんか?」「そうだよね〜、そん時はガミガミ言ったけど、今思えばカワイイもんだよね」
今まで私は、ウチの婆さんに対しては「メシが喰いたきゃ喰わせておく」とか「支離滅裂な事を言っても話を合わせる」とか、ホントは無責任で良くないかも知れない接し方をしてきたんだが、ウチのヤツにとっては実の母親だからね。ヘンな挙動に対しては一々指摘したり、間違いを正そうとするんだよ。「そんなにウルサく言わんでも良いだろうに」と思った事もあるけど、ウチのヤツも少し変わるかもね。ただ、身体は元に戻ったとしても、頭ん中は変わらんし、ボケはどんどん進むだろうから、ウチのヤツはそろそろバイトを止めるってさ...しゃあないわな。
今回のタイトルは少々意味合いが違うけど、こういう時に最適な「諺」が思いつかなかっただけ。何て言うかなぁ〜「思いっきり頭をぶん殴った痛さで、歯の痛さを忘れさせる」みたいな・・・これもちょっと...っていうか全然違うか(笑)
おかげさんで私のお袋は、まだ75歳。ちょくちょくケータイでメール送ってよこしたり「あっち痛てぇ〜」だの「こっち痛てぇ〜」だの言ってるが、まだ一応元気で「認知症」だのとは無縁。でもさ、私ゃ男ばかり3人兄弟の長男だから、もしお袋がウチの婆さんみたいになったらどうしようか?と時々思う事がある・・・が、まぁそん時ゃそん時だ。生活設計上55歳で退職するつもりでいるし、だからあと3年元気でいてくれりゃ、面倒みてやるさ。
もし最後まで読んでくれた人がいたら、ありがとね。たまにはこういう「日常」も、書いてみたくなるんだわ。ちょっと、すっきりしたかな?